「毎日サイトを見ているのに気づかなかった」
2026年8月に当社(株式会社Medi Face)が受けたSEOポイズニング攻撃では、攻撃者はジオクローキング技術を使って日本からのアクセスには正常なページを表示していました。担当スタッフが毎日確認しても、絶対に目視では発見できない設計でした。
そこで最初の異常を検知したのが、Googleサーチコンソール(GSC)でした。
GSCは無料で使えるGoogleの公式ツールです。Googleが「あなたのサイトをどう見ているか」を直接確認できる唯一の窓口であり、改ざん検知において最も信頼できるツールです。
本記事では、医療サイトの改ざん早期発見に特化したGSCの活用方法を解説します。
GSCで確認すべき5つのポイント
ポイント1:検索パフォーマンスの急激な変化
場所: 左メニュー「検索パフォーマンス」→「検索結果」
確認する内容:
- クリック数・表示回数のグラフで急激なスパイクがないか
- 「クエリ」タブで見覚えのないキーワード(特にインドネシア語・賭博関連語)が上位に来ていないか
当社事例: 2026年8月12日(攻撃日)の表示回数は439,514回。前日の数百〜数千回から一夜で数十倍に急増していました。翌13日朝、この異常なスパイクが最初のアラートとなりました。
正常なWebサイトで表示回数が一夜にして数十倍になることはあり得ません。グラフに急峻な山が現れたら即調査してください。
確認頻度: 週1回(月曜朝の5分ルーティンに組み込む)
ポイント2:セキュリティの問題
場所: 左メニュー「セキュリティと手動による対策」→「セキュリティの問題」
確認する内容: Googleがサイトのセキュリティ上の問題を検知した場合、ここに警告が表示されます。
- マルウェアの検出
- 不審なダウンロードの検出
- フィッシングコンテンツの検出
- ハッキングされたコンテンツの検出
重要: この警告が表示されると、Google検索結果にも「このサイトはコンピュータに損害を与える可能性があります」という警告が表示され、患者が訪問をためらうようになります。早期発見と対処が不可欠です。
確認頻度: 週1回
ポイント3:手動による対策
場所: 左メニュー「セキュリティと手動による対策」→「手動による対策」
Googleの審査担当者が直接サイトを確認し、スパムや品質ガイドライン違反を検出した場合にここに記録されます。
SEOポイズニングが長期間放置されると、Googleから「スパムの手動ペナルティ」が課せられ、検索順位が大幅に下落します。このペナルティの解除には数週間かかることもあります。
「問題なし」の表示を定期的に確認してください。
ポイント4:ユーザーと権限(最重要)
場所: 左メニュー「設定」→「ユーザーと権限」
確認する内容: 登録されているGoogleアカウントのメールアドレスを全件確認してください。
当社事例: 攻撃者はWordPressのHTMLファイルに不正な確認トークンを埋め込み、攻撃者自身のGoogleアカウントをGSCに「オーナー」として登録しました。これにより、攻撃者はGoogleのインデックスを直接操作できる状態になっていました。
見知らぬアカウントが「オーナー」または「フルユーザー」として登録されていた場合:
- 即座に削除する
- 同時にWordPressのファイルに不審な確認トークンのmetaタグが埋め込まれていないか確認する
確認頻度: 月1回(毎月1日に確認する習慣にする)
ポイント5:確認トークンの管理
場所: 左メニュー「設定」→「所有権の確認」→「確認の詳細」
ここには、サイトのオーナー確認に使われたトークン(認証キー)の一覧が表示されます。
確認する内容: 自分が設定した覚えのないHTMLタグ確認トークンが登録されていないか確認してください。
不審なトークンが見つかった場合の対処:
- GSCでそのトークンを削除する(確認権限の取り消し)
- WordPressの全ページに埋め込まれたトークンのmetaタグを検索・削除する
# WordPressのDBで不審なトークンを検索
wp db query \
"SELECT ID, post_title FROM wp_posts \
WHERE post_content LIKE '%google-site-verification%';" \
--path=/path/to/wordpress週1回の5分チェックルーティン
以下の手順を毎週月曜日の朝に実施することで、ほとんどの改ざんを早期発見できます。
□ 1. search.google.com/search-console にログイン(1分)
□ 2. 「検索パフォーマンス」でグラフに異常なスパイクがないか確認(1分)
□ 3. 「セキュリティの問題」に警告がないか確認(30秒)
□ 4. 「手動による対策」に「問題なし」以外の表示がないか確認(30秒)
□ 5. 異常があれば担当エンジニアに連絡(異常なければ完了)月1回の追加チェック:
□ 「ユーザーと権限」で見知らぬアカウントがないか確認(2分)
□ 「確認の詳細」で不審なトークンがないか確認(1分)GSCアラートメールの活用
GSCはいくつかの問題を自動的にメール通知します。
通知が届くケース:
- Googleがサイトのマルウェアを検出した場合
- 手動ペナルティが適用された場合
- AMPページにエラーが生じた場合
- サイトクロールに問題が生じた場合
設定確認方法: GSCの「設定」→「ユーザーと権限」で、自分のアカウントのメール通知がオンになっているか確認してください。
重要: 攻撃者が不正にGSCにアクセスした場合、この通知先を変更される可能性があります。定期的に通知設定が正しいメールアドレスになっているか確認してください。
GSCだけでは検知できないケース
GSCは強力なツールですが、万能ではありません。以下のケースはGSCだけでは検知困難です。
| 検知困難なケース | 代替手段 |
|---|---|
| Googlebotがまだクロールしていない新しい改ざん | サーバーのアクセスログ監視 |
| ジオクローキング(Googlebotにも正常を見せる) | 外部からの定期スキャン(Sucuri等) |
| PHPバックドア単体の設置(コンテンツ改ざんなし) | サーバーのファイル変更監視 |
GSCの監視を基本としつつ、サーバーサイドの監視ツールを併用することを推奨します。
まとめ
Googleサーチコンソールは、医療サイトの改ざん検知において最も費用対効果の高いツールです。無料で使え、Googleの視点から直接確認できます。週1回5分のチェックを習慣にするだけで、多くの攻撃を早期発見できます。
当社がGSCで最初に異常を検知した際の詳細:MF-2026-0812 技術解析レポート(GitHub)
株式会社Medi Face お問い合わせ:info@medi-face.co.jp