ビッカースタッフ脳幹脳炎
Bickerstaff Brainstem Encephalitis
ビッカースタッフ脳幹脳炎(Bickerstaff Brainstem Encephalitis)|ビッカースタッフ脳幹脳炎(BBE)は、かぜや下痢などの感染症の後に急に起こる、自己免疫性の脳幹の病気です。主な症状は、両眼が動かなくなる外眼筋麻痺、ふらつく運動失調、意識障害です。小児から高齢者まで発症し、急性期には人工呼吸管理が必要になることもあります。多くは数か月で回復に向かい、再発は少なく、単相性の経過をとります。
ビッカースタッフ脳幹脳炎の要点
ビッカースタッフ脳幹脳炎は、かぜや下痢などの感染後に自己免疫の機序で脳幹が障害され、外眼筋麻痺・運動失調・意識障害が急に現れる病気です。抗GQ1b抗体が関与してフィッシャー症候群と連続する病態で、多くは単相性の経過をとり、日本の指定難病です。
| 別名・略称 | ビッカースタッフ型脳幹脳炎、Bickerstaff脳幹脳炎、ビッカースタッフ脳炎、BBE、Bickerstaff brainstem encephalitis、Bickerstaff encephalitis |
|---|---|
| 分野 | 神経・筋疾患 |
| 病態 | 先行感染後の自己免疫性(免疫介在性)の脳幹炎症 |
| 好発年齢 | 小児から高齢者まで |
| 主な症状 | 外眼筋麻痺、運動失調、意識障害、腱反射亢進などの錐体路徴候 |
| 主な検査 | 血清抗GQ1b IgG抗体(約3分の2で陽性)、神経学的診察 |
| 主な治療 | 免疫療法(免疫グロブリン静注療法・血漿交換など)、重症時は呼吸管理 |
| 受診する主な診療科 | 神経内科 |
ビッカースタッフ脳幹脳炎とは
ビッカースタッフ脳幹脳炎は、急性に進行する左右対称性の外眼筋麻痺と運動失調に、意識障害または腱反射亢進・バビンスキー徴候などの錐体路徴候を伴う疾患です。病変の主体は脳幹(中脳・橋・延髄)で、先行感染をきっかけに起こる免疫介在性の炎症と考えられています。約3分の2の患者で、血清中に抗GQ1b IgG抗体が見つかります。この抗体はフィッシャー症候群やギラン・バレー症候群の一部でも陽性になるため、これらと連続した病態(抗GQ1b抗体症候群)として理解されています。日本では指定難病(告示番号128)に指定されています。
1951年に英国の神経内科医Bickerstaffらが「中脳菱脳炎」として報告し、1957年に予後良好な脳幹脳炎として独立した病型にまとめました。当初はウイルス性脳炎の一型と考えられ、末梢神経障害が主体のフィッシャー症候群とは別の病気とされていました。しかし1990年代以降、両者で抗GQ1b抗体が共通して陽性になること、両者の症状が重なる症例が多いことが日本の研究を中心に示されました。現在は、中枢神経(脳幹)が主に障害される側をBBE、末梢神経が主に障害される側をフィッシャー症候群とし、その間に移行型があると考えられています。四肢の筋力低下が強い例は「ギラン・バレー症候群合併BBE」(オーバーラップ)と呼ばれ、呼吸不全を起こしやすいため臨床上の区別が重要です。
ビッカースタッフ脳幹脳炎の疫学・患者数
まれな疾患で、日本の全国調査でも年間の新規発症は限られた数と推計されています。正確な有病率は確立していません。発症年齢は小児から高齢者まで幅広く、平均は30〜40歳代とする報告が多くあります。性差ははっきりしませんが、やや男性に多いとする報告があります。90%前後の患者で発症の数日〜数週間前に感染症の先行があり、多くは上気道炎、一部は胃腸炎です。病原体はインフルエンザ菌やカンピロバクター・ジェジュニ、マイコプラズマ、サイトメガロウイルスなどが報告されていますが、特定できないことも少なくありません。季節性や地域差は明らかではありません。遺伝性はなく、家族内発症は通常みられません。
ビッカースタッフ脳幹脳炎の原因・病態生理
病因の中心は、病原体と神経の糖脂質がよく似ていることによる自己免疫反応(分子相同性)と考えられています。インフルエンザ菌やカンピロバクターなどの菌体表面のリポオリゴ糖には、ヒトのガングリオシドGQ1bに似た糖鎖構造をもつものがあります。感染に対してつくられた抗体が、交差反応で自己のGQ1bを攻撃すると推定されています。GQ1bは動眼・滑車・外転神経の傍絞輪部、筋紡錘を支配する感覚ニューロン、後根神経節などに豊富に存在します。このため、外眼筋麻痺や運動失調が起こりやすいと説明されています。遺伝子変異が直接の原因となる疾患ではありません。
抗GQ1b抗体は神経筋接合部や神経終末に結合して補体を活性化し、神経伝導や神経伝達を障害すると考えられています。BBEで意識障害や錐体路徴候が起こることから、脳幹網様体など中枢神経にも抗体や炎症細胞が作用すると推定されます。ただし、血液脳関門を抗体がどのように通過するかは十分に解明されていません。剖検例はごく少数ですが、脳幹に血管周囲のリンパ球浸潤、浮腫、ミクログリア増生がみられたと報告されています。抗GQ1b抗体陰性例も約3分の1あり、他の抗ガングリオシド抗体や、まだ同定されていない抗体、細胞性免疫の関与が想定されています。陰性例には異なる病態の疾患が混在している可能性もあり、より慎重な鑑別が必要です。
ビッカースタッフ脳幹脳炎の症状
- 外眼筋麻痺・複視: 眼球が左右・上下に動きにくくなり、物が二重に見えます。多くは両側性で対称性に進行し、完全に眼球が動かなくなることもあります。
- 運動失調: 立つ・歩くときにふらつき、手足の動きがぎこちなくなります。小脳性・感覚性の両方の要素があり、体幹失調が目立つことがあります。
- 意識障害: 眠気(傾眠)から昏睡までさまざまな程度で現れます。脳幹網様体の障害によると考えられ、BBEを特徴づける症状です。
- 錐体路徴候: 腱反射の亢進やバビンスキー徴候陽性など、中枢神経障害を示す所見です。意識が保たれている例では診断の重要な手がかりになります。
- 眼瞼下垂・瞳孔異常: まぶたが下がったり、瞳孔が散大して対光反射が鈍くなったりします。眼球運動障害と同時に出ることが多くみられます。
- 顔面神経麻痺: 顔の筋肉が動きにくくなり、目が閉じにくい、口角が下がるなどの症状が出ます。両側性に起こることもあります。
- 球麻痺(嚥下・構音障害): 飲み込みにくさやむせ、ろれつの回りにくさが出ます。誤嚥性肺炎の原因になるため、急性期の評価が重要です。
- 四肢の筋力低下: 約半数以上で手足の脱力を伴い、ギラン・バレー症候群との合併型とされます。腱反射が逆に低下・消失する例もあります。
- 感覚障害: 手足のしびれや表在覚・深部覚の低下がみられることがあります。深部覚の障害はふらつきを悪化させます。
- 呼吸障害: 脳幹障害や呼吸筋の筋力低下により呼吸が浅くなり、人工呼吸器が必要になることがあります。
- 自律神経障害: 血圧の変動、不整脈、発汗異常、排尿障害などが起こり得ます。急性期の急変の原因となるため、モニター管理が必要です。
ビッカースタッフ脳幹脳炎の経過と合併症
多くは先行感染から数日〜数週間後に、複視やふらつきで発症します。数日以内に急速に進行し、通常は発症から数日〜2週間ほどで症状が最も重くなります。極期には意識障害や球麻痺、呼吸不全で集中治療を要することがあります。その後は数週間かけて意識が回復し、眼球運動障害や運動失調も徐々に改善します。多くの患者が発症後6か月程度までに大きく回復するとされますが、回復の速さには個人差があります。軽い複視やふらつきが長く残る例もあります。基本的に単相性で、再発はまれとされます。
急性期の合併症として、呼吸不全、誤嚥性肺炎、不整脈・血圧変動などの自律神経障害、深部静脈血栓症、褥瘡、尿路感染などがあります。ギラン・バレー症候群との合併型では四肢麻痺が強く、呼吸筋麻痺による人工呼吸管理が長くなる傾向があります。意識障害が長引く場合には、廃用による筋力低下や関節拘縮が問題になります。治療に関連する合併症も起こり得ます。免疫グロブリン療法では頭痛・無菌性髄膜炎・血栓症・腎障害、血漿浄化療法では血圧低下やカテーテル感染、ステロイドでは高血糖や感染症などが知られています。
ビッカースタッフ脳幹脳炎の診断・診断基準
診断は臨床症状が中心です。「4週間以内に進行する左右対称性の外眼筋麻痺と運動失調」があり、「意識障害または錐体路徴候」を伴う場合にBBEを疑います。そのうえで、ほかの疾患を除外することが最も重要です。脳幹梗塞・出血、感染性脳幹脳炎、ウェルニッケ脳症、腫瘍などの緊急性の高い疾患を、頭部MRIや髄液検査、血液検査で速やかに否定します。補助所見としては、抗GQ1b IgG抗体陽性、先行感染、髄液所見、MRIでの脳幹病変、脳波での徐波化があり、これらを組み合わせて総合的に判断します。指定難病の申請では、厚生労働省の診断基準(主要症候、検査所見、鑑別診断)と重症度分類に基づいて判定されます。抗体が陰性でも、臨床像が典型的であれば診断される場合があります。
- 神経学的診察: 眼球運動、瞳孔、眼瞼、運動失調、意識レベル、腱反射、病的反射、球麻痺、四肢筋力、呼吸状態を評価します。進行を追うため、繰り返し診察することが重要です。
- 血清抗GQ1b IgG抗体: 約3分の2で陽性となる最も重要な補助検査で、フィッシャー症候群との共通性を示します。GT1aなどほかのガングリオシド抗体を同時に測定することもあり、治療開始前の検体採取が望ましいとされます。
- 頭部MRI: 脳幹・小脳・視床などにT2強調像/FLAIR像の高信号を認めるのは一部(約3割程度)にとどまり、正常でも本症は否定できません。脳梗塞・腫瘍・脱髄疾患などの除外に不可欠です。
- 脳脊髄液検査: 細胞数の軽度増加(リンパ球優位)や、蛋白が上昇して細胞数は正常な蛋白細胞解離がみられることがあります。細菌・ウイルス性脳炎の鑑別のため、培養やPCRも行います。
- 脳波: 意識障害を反映して、θ波・δ波などの徐波化がみられることがあります。非けいれん性てんかん重積の除外にも役立ちます。
- 神経伝導検査: 四肢の筋力低下や反射低下を伴う例では、軸索障害や脱髄所見の有無を調べ、ギラン・バレー症候群の合併を評価します。
- 感染症関連検査: 便培養やカンピロバクター抗体、マイコプラズマ・各種ウイルスの抗体などで先行感染を推定します。同時にリステリアなど治療が必要な感染症を除外します。
- その他の除外検査: ビタミンB1、血糖、電解質、抗アセチルコリン受容体抗体、抗アクアポリン4抗体・抗MOG抗体、必要に応じて腫瘍検索などを行い、類似疾患を除外します。
ビッカースタッフ脳幹脳炎と鑑別すべき疾患
- 脳幹梗塞・脳底動脈閉塞症: 突然発症で非対称な症状が多く、MRI拡散強調像とMRAで鑑別し、超急性期治療の適応を判断します。
- ウェルニッケ脳症: 眼球運動障害・失調・意識障害の三徴が類似しますが、栄養障害やアルコール歴があり、ビタミンB1低値や乳頭体・第三脳室周囲のMRI病変が手がかりで、疑えば直ちにビタミンB1を投与します。
- 感染性脳幹脳炎(リステリア、エンテロウイルス、ヘルペスなど): 発熱や髄液の著明な細胞増多を伴い、培養・PCRで病原体を確認しますが、リステリアは抗菌薬治療が急務です。
- 多発性硬化症・視神経脊髄炎・MOG抗体関連疾患: MRIでの脱髄病変の分布、再発性の経過、抗アクアポリン4抗体や抗MOG抗体で区別します。
- 重症筋無力症・ボツリヌス症: 眼筋・球症状が類似しますが、意識障害や錐体路徴候を欠き、抗体検査や反復刺激試験、食歴で鑑別します。
- フィッシャー症候群: 同じ抗GQ1b抗体症候群ですが、意識障害や錐体路徴候がなく腱反射が低下する点で区別され、移行例も存在します。
ビッカースタッフ脳幹脳炎の治療
現時点で、BBEに対する治療効果をランダム化比較試験で確かめた報告はなく、確立した標準治療はありません。実際の診療では、病態の近いギラン・バレー症候群の治療に準じて、急性期に免疫治療を検討することが多くあります。具体的には免疫グロブリン大量静注療法(IVIg)や血漿浄化療法で、ステロイドを併用することもあります。軽症例は自然に回復することもあり、免疫治療の必要性や方法は、重症度、進行の速さ、呼吸・嚥下状態、合併症を踏まえて神経内科専門医が判断します。並行して、呼吸・循環の全身管理、誤嚥や感染の予防、早期リハビリテーションを行うことが予後改善に重要です。治療の選択や保険適用の可否は主治医と十分に相談してください。
- 免疫グロブリン大量静注療法(IVIg): ヒト免疫グロブリン製剤を数日間点滴し、病的抗体の働きを抑えると考えられています。ギラン・バレー症候群での有効性を根拠に、BBEでも用いられることがあります。
- 血漿浄化療法: 単純血漿交換や免疫吸着療法で、血中の自己抗体や炎症物質を除去します。報告上は有効例が多いものの、効果を比較した高い水準の根拠はまだありません。
- 副腎皮質ステロイド: 中枢神経の炎症を抑える目的で、ステロイドパルス療法などが行われることがあります。ギラン・バレー症候群では単独での有効性が示されていないため、適応は個別に判断されます。
- 呼吸管理: 呼吸機能や意識レベル、嚥下状態を頻回に評価し、必要に応じて気管挿管・人工呼吸管理を行います。長期化する場合は気管切開を検討します。
- 循環・自律神経管理: 心電図・血圧モニターで不整脈や血圧変動を監視し、急変に備えます。排尿障害には導尿などで対応します。
- 栄養・嚥下管理: 球麻痺や意識障害がある間は経管栄養などで栄養を確保し、誤嚥性肺炎を予防します。回復に応じて嚥下評価を行い、経口摂取を再開します。
- 合併症予防: 深部静脈血栓症の予防、体位変換による褥瘡予防、眼が閉じにくい場合の角膜保護、口腔ケアを行います。
- リハビリテーション: 急性期から関節可動域訓練を始め、回復に合わせて立位・歩行・バランス訓練や作業療法、言語聴覚療法へ進めます。
- 複視への対症療法: 回復期に残る複視には、片眼遮閉やプリズム眼鏡などで日常生活の負担を軽くします。
ビッカースタッフ脳幹脳炎の予後・長期フォロー
全体として予後は比較的良好とされ、多くの患者は発症後6か月前後までにほぼ日常生活に支障のない程度まで回復すると報告されています。一方で、ギラン・バレー症候群との合併型、長期の人工呼吸管理を要した例、高齢者などでは回復が遅れることがあります。軽い複視、ふらつき、手足のしびれ、疲れやすさが残る例もみられます。死亡はまれですが、急性期の呼吸不全、感染症、自律神経障害に関連した死亡例の報告もあり、急性期管理の質が予後を左右します。再発はまれですが、ゼロではありません。
退院後も外来で、眼球運動、歩行・バランス、筋力、感覚、自律神経症状の回復を定期的に評価します。複視が長く残る場合は眼科、歩行障害が残る場合はリハビリテーション科との連携が役立ちます。発症後しばらくは、疲れやすさや集中力の低下が続くことがあります。復職・復学は主治医と相談しながら段階的に進めます。新たに複視やふらつきが出た場合は再発や別の疾患の可能性があるため、早めに受診してください。
ビッカースタッフ脳幹脳炎の日常生活の注意点と公的支援(医療費助成)
回復期はふらつきによる転倒に注意し、手すりの設置、段差の解消、夜間照明などで住環境を整えます。複視が残る間は、自動車の運転や高所での作業、危険を伴う機械操作を控え、再開の時期は主治医に相談します。嚥下機能が完全に戻るまでは、食事の形態や姿勢を工夫して誤嚥を防ぎます。手洗いやうがいなどの一般的な感染予防は大切ですが、特定の食品や生活習慣で発症を防げるという根拠はありません。予防接種の可否や時期は主治医と相談して決めます。本症は遺伝性疾患ではなく、家族に遺伝する心配や、家族が同じ病気になりやすいという根拠はありません。患者さんから家族へうつる病気でもありません。
利用できる制度・相談窓口
ビッカースタッフ脳幹脳炎は指定難病であり、診断基準を満たし、重症度分類で一定以上と判定された場合などに、難病指定医の診断書(臨床調査個人票)をもとに都道府県・指定都市へ申請すると、医療費助成(自己負担の上限額設定)を受けられます。重症度の基準を満たさなくても、医療費が一定額を超える月が続く場合は「軽症高額該当」として対象になることがあります。急性期の高額な医療費には、健康保険の高額療養費制度や限度額適用認定証も利用できます。後遺症が残った場合は、程度に応じて身体障害者手帳や障害年金の対象となる可能性があります。休職中は、傷病手当金(被用者保険の加入者)も利用できます。相談窓口として、各都道府県の難病相談支援センター、保健所、病院の医療ソーシャルワーカー(医療福祉相談室)、難病情報センターの情報などを活用してください。
ビッカースタッフ脳幹脳炎に伴う心のケア・心理社会的支援
BBEは健康だった人に突然発症し、短期間で意識障害や人工呼吸管理に至ることがあるため、本人だけでなく家族にも大きな心理的衝撃を与えます。集中治療室での体験の後には、不安、不眠、悪夢、抑うつ、心的外傷後ストレス症状などが現れることがあります。回復期には、「元通りに戻れるのか」という見通しへの不安が生じやすくなります。また、複視やふらつきなど外からは見えにくい後遺症が、職場や学校で理解されにくいことも悩みにつながります。家族は急性期の付き添いや先の見えない不安から疲れ切ってしまうこともあります。気分の落ち込みが2週間以上続く、眠れない、意欲がわないといった状態は、適応障害やうつ病のサインの可能性があります。一人で抱え込まず、主治医、看護師、医療ソーシャルワーカー、心療内科・精神科、公認心理師などに早めに相談してください。多くは回復が期待できる病気であることを正しく理解することも、安心につながります。
Medi Faceでは、慢性疾患に伴うこころの不調についてのオンライン相談も行っています。お問い合わせはこちら。
ビッカースタッフ脳幹脳炎の受診の目安
- かぜや下痢の後に、物が二重に見える、まぶたが下がるといった症状が出た場合は、早めに神経内科を受診してください。
- 急にまっすぐ歩けない、ふらついて立てないといった症状が出た場合は、速やかに受診してください。
- 呼びかけへの反応が鈍い、異常に眠そうなど意識の変化がある場合は、救急受診してください。
- 飲み込みにくい、むせる、ろれつが回らない、息苦しいといった症状がある場合は、ただちに救急車を要請してください。
- 手足の力が急に入らなくなり、短時間で悪化していく場合は、救急受診してください。
- 回復後に複視やふらつきが再び出てきた場合は、主治医に連絡してください。
ビッカースタッフ脳幹脳炎についてのよくある質問
Q. ビッカースタッフ脳幹脳炎は治る病気ですか?
A. 多くの患者さんは数か月の経過で大きく回復し、元の生活に戻ることができるとされています。ただし、急性期は重症化することがあるため、入院での慎重な管理が必要です。軽い複視やふらつきが残る場合もあります。
Q. フィッシャー症候群やギラン・バレー症候群とは違うのですか?
A. いずれも感染後に起こる免疫の病気で、抗GQ1b抗体が共通して見つかることがあり、互いに連続した病態と考えられています。BBEは意識障害や錐体路徴候など、脳幹(中枢神経)の症状が目立つ点が特徴です。症状が重なる合併型もあります。
Q. 再発したり、家族にうつったりしますか?
A. 再発はまれとされ、多くは一度きりの経過です。本症そのものは人から人へうつる病気ではなく、遺伝する病気でもありません。きっかけとなった感染症自体には一般的な感染対策をとりましょう。
Q. 抗GQ1b抗体が陰性でも、この病気の可能性はありますか?
A. 約3分の1の患者さんでは抗体が陰性であり、陰性でも臨床症状などから診断されることがあります。その場合は、ほかの病気をより慎重に除外することが重要です。検査結果の解釈は主治医に確認してください。
関連記事(関連する指定難病)
- 多発性硬化症と視神経脊髄炎 Multiple Sclerosis, MS/Neuromyelitis Optica, NMO
- 重症筋無力症 Myasthenia Gravis, MG
- 慢性炎症性脱髄性多発神経炎 Chronic Inflammatory Demyelinating Polyneuropathy, CIDP
- ベーチェット病 Behçet's Disease
- サルコイドーシス Sarcoidosis
- ミトコンドリア病 Mitochondrial Disease
- 難治頻回部分発作重積型急性脳炎 Febrile Infection-Related Epilepsy Syndrome (FIRES)
同じ分野(神経・筋疾患)の指定難病
この記事について
最終更新: 2026-10-18。発行: 株式会社Medi Face。本ページは、MSDマニュアル プロフェッショナル版、難病情報センター、各学会の診断基準・診療ガイドラインなどの公的・専門的情報を参照して作成した一般的な医学情報であり、診断・治療の代替ではありません。個別の診療は主治医・専門医にご相談ください。参考: MSDマニュアル プロフェッショナル版、難病情報センター。記載内容に誤りや古い情報を見つけた場合はお問い合わせからお知らせください。