神経・筋疾患の指定難病

Designated Intractable Diseases: neuro

脳・脊髄・末梢神経・筋肉が障害される疾患群です。筋力低下、運動失調、不随意運動、感覚障害、嚥下・呼吸の障害などがみられ、多くは慢性進行性で、リハビリテーションや多職種による長期的な支援が重要です。

Medi Faceが解説する指定難病のうち、「神経・筋疾患」に分類される57疾患の一覧です。各疾患名から、原因・症状・診断・治療・予後・公的支援までの詳しい解説をご覧いただけます。

神経・筋疾患の指定難病一覧(57疾患)

  • 球脊髄性筋萎縮症 Spinal and Bulbar Muscular Atrophy, SBMA
    球脊髄性筋萎縮症(SBMA)は、アンドロゲン受容体遺伝子のCAGリピート伸長で起こるX連鎖性の遺伝性神経変性疾患で、成人男性に発症し下位運動ニューロンが障害されます。四肢の筋力低下・筋萎縮や球麻痺(嚥下・構音障害)がゆっくり進行し、日本では指定難病(告示番号1)です。
  • 筋萎縮性側索硬化症 Amyotrophic Lateral Sclerosis, ALS
    筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、上位・下位の運動ニューロンが進行性に変性し、全身の筋力低下と筋萎縮、話しにくさ、飲み込みにくさ、呼吸障害が進む神経変性疾患です。主に中高年で発症し、現時点で根治療法はありませんが、日本では指定難病に認定されています。
  • 脊髄性筋萎縮症 Spinal Muscular Atrophy, SMA
    脊髄性筋萎縮症(SMA)は、脊髄の運動神経細胞(下位運動ニューロン)が障害され、体幹や手足の近位筋を中心に筋力低下と筋萎縮が進む遺伝性の神経筋疾患です。乳児期から成人期まで発症時期と重症度に幅があり、日本では指定難病(告示番号3)に指定されています。
  • 原発性側索硬化症 Primary Lateral Sclerosis, PLS
    原発性側索硬化症(PLS)は、大脳から脊髄へ指令を伝える上位運動ニューロンだけがゆっくり変性する、まれな神経変性疾患です。両脚のつっぱり(痙縮)による歩行障害で始まることが多く、のちに腕や話す・飲み込む機能に広がることがあり、指定難病に指定されています。
  • 進行性核上性麻痺 Progressive Supranuclear Palsy, PSP
    進行性核上性麻痺(PSP)は、脳内にタウ蛋白が異常に蓄積して神経細胞が障害される進行性の神経変性疾患で、指定難病です。発症早期からの転倒、上下方向への眼球運動障害、体幹の硬さ、意欲や判断力の低下などが特徴で、パーキンソン病と間違えられることがあります。
  • パーキンソン病 Parkinson's Disease, PD
    パーキンソン病は、中脳黒質のドパミン神経細胞が徐々に失われる神経変性疾患で、無動・静止時振戦・筋強剛・姿勢保持障害などの運動症状と、便秘や睡眠障害などの非運動症状がみられます。国の指定難病に含まれ、薬物療法・デバイス治療・リハビリを組み合わせて症状の管理を行います。
  • 大脳皮質基底核変性症 Corticobasal Degeneration, CBD
    大脳皮質基底核変性症は、大脳皮質と基底核に異常なタウ蛋白が蓄積して神経細胞が失われ、ゆっくり進行する神経変性疾患です。左右差のある手足のこわばりやぎこちなさ、失行、失語、認知・行動の変化などがみられ、国の指定難病に指定されています。
  • ハンチントン病 Huntington's disease, HD
    ハンチントン病は、HTT遺伝子のCAGリピート異常伸長により、線条体を中心に神経細胞が徐々に失われる常染色体顕性遺伝の神経変性疾患です。舞踏運動などの不随意運動、認知機能障害、精神症状が組み合わさってゆっくり進行し、日本では指定難病(告示番号8)に指定されています。
  • 神経有棘赤血球症 Neuroacanthocytosis syndrome, NAS
    神経有棘赤血球症は、大脳基底核の神経変性による舞踏運動やジストニアなどの不随意運動と、血液中の有棘赤血球を特徴とするまれな遺伝性疾患群です。有棘赤血球舞踏病やマクラウド症候群などが含まれ、精神症状や認知機能低下も伴い、日本では指定難病に指定されています。
  • シャルコー・マリー・トゥース病 Charcot-Marie-Tooth disease, CMT
    シャルコー・マリー・トゥース病(CMT)は、遺伝子の変化により手足の末梢神経(運動・感覚神経)が足先・手先からゆっくり障害される遺伝性ニューロパチーの総称です。つまずきやすさ、足の変形、下腿の筋萎縮などがみられ、日本では指定難病(告示番号10)に指定されています。
  • 重症筋無力症 Myasthenia Gravis, MG
    重症筋無力症は、神経から筋肉への伝達の場である神経筋接合部が自己抗体に攻撃され、筋肉が疲れやすく力が入りにくくなる自己免疫疾患です。まぶたが下がる、物が二重に見えるなどの症状で始まることが多く、夕方に悪化しやすい特徴があり、指定難病に指定されています。
  • 先天性筋無力症候群 Congenital Myasthenic Syndrome, CMS
    先天性筋無力症候群(CMS)は、神経筋接合部の分子の遺伝子変異により神経から筋肉への伝達が障害され、疲れやすさと筋力低下を起こす遺伝性疾患群です。まぶたの下がりや哺乳・呼吸の弱さが乳幼児期に目立つことが多く、自己免疫ではない指定難病(告示番号12)です。
  • 多発性硬化症と視神経脊髄炎 Multiple Sclerosis, MS/Neuromyelitis Optica, NMO
    多発性硬化症(MS)とNMO(NMOSD)は、脳・脊髄・視神経に炎症を繰り返す自己免疫性の中枢神経疾患です。MSは髄鞘、NMOSDは主に抗AQP4抗体によるアストロサイトが標的となる別の病気です。視力低下、手足の麻痺やしびれ、排尿障害などが起こり、国の指定難病です。
  • 慢性炎症性脱髄性多発神経炎 Chronic Inflammatory Demyelinating Polyneuropathy, CIDP
    慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)は、免疫の異常で末梢神経のミエリンが傷つき、手足の筋力低下やしびれが2か月以上かけて進行、または再発を繰り返す自己免疫性の神経疾患です。ステロイドや免疫グロブリン療法などの免疫治療が有効なことが多く、日本では指定難病(告示番号14)に含まれます。
  • 封入体筋炎 Inclusion Body Myositis, IBM
    封入体筋炎は、50歳以上に多い後天性の筋疾患で、筋肉の炎症と異常タンパク質の蓄積による変性が併存し、太ももの前面や手指を曲げる筋肉が左右差をもって弱くなります。飲み込みにくさも起こり、ゆっくり進行し、免疫抑制療法が効きにくい日本の指定難病(告示番号15)です。
  • 多系統萎縮症 Multiple System Atrophy, MSA
    多系統萎縮症は、オリゴデンドログリアにαシヌクレインが蓄積し、小脳・大脳基底核・自律神経系が変性する神経変性疾患です。成人期(多くは50〜60歳代)に発症し、自律神経障害に加え小脳性運動失調やパーキンソニズムが進行し、歩行・排尿・血圧調節などに影響する国の指定難病です。
  • 脊髄小脳変性症 Spinocerebellar Ataxia, SCA
    脊髄小脳変性症は、小脳やその連絡路、脊髄が徐々に変性し、歩行時のふらつき、手の不器用さ、ろれつの回りにくさなどの運動失調が緩徐に進む神経変性疾患の総称です。遺伝性と孤発性があり日本では孤発性が多く、「脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く)」として指定難病に含まれます。
  • 副腎白質ジストロフィー Adrenoleukodystrophy, ALD
    副腎白質ジストロフィー(ALD)は、X染色体上のABCD1遺伝子の異常で極長鎖脂肪酸が蓄積し、脳・脊髄の白質と副腎皮質が障害される遺伝性疾患です。病型により小児の急速な神経症状、成人の歩行障害、副腎不全などがみられ、指定難病(告示番号20)に指定されています。
  • ミトコンドリア病 Mitochondrial Disease
    ミトコンドリア病は、ミトコンドリアのエネルギー(ATP)産生が遺伝的に障害され、脳・筋肉・心臓・眼・耳など複数の臓器に症状が現れる疾患の総称です。新生児から高齢者まで発症しえて、MELASやLeigh脳症などの病型があり、日本では指定難病(告示番号21)に指定されています。
  • もやもや病 Moyamoya Disease
    もやもや病は、内頸動脈終末部が両側または片側で徐々に狭窄・閉塞し、脳の深部に異常な側副血管(もやもや血管)が発達する原因不明の脳血管疾患で、国の指定難病です。小児では一過性の脱力や脳梗塞、成人では脳出血などで見つかることが多く、血行再建術で予後改善が期待されます。
  • プリオン病 Prion Disease
    プリオン病は、正常なプリオンタンパク質が異常な構造に変化して脳内に蓄積し、神経細胞が失われていく致死性の神経変性疾患群です。代表的なCJDでは数週〜数か月で急速に進行する認知症、ミオクローヌス、歩行障害などがみられ、日本では指定難病(告示番号23)です。
  • 亜急性硬化性全脳炎 Subacute Sclerosing Panencephalitis, SSPE
    亜急性硬化性全脳炎(SSPE)は、幼少期の麻疹ウイルスが脳内に持続感染し、数年から十数年後に発症する進行性の脳炎です。学業低下や性格変化に始まり、ミオクローヌスや意識低下へ進行し、指定難病に定められています。
  • 進行性多巣性白質脳症 Progressive Multifocal Leukoencephalopathy, PML
    進行性多巣性白質脳症(PML)は、JCウイルスが免疫低下時に脳で増え、髄鞘をつくるオリゴデンドロサイトを壊して大脳白質に脱髄を起こす日和見感染症です。麻痺、認知機能低下、視野障害などが数週〜数か月で進み、日本では指定難病(告示番号25)に指定されています。
  • HTLV-1関連脊髄症 HTLV-1-associated myelopathy, HAM
    HTLV-1関連脊髄症(HAM)は、HTLV-1感染者の一部で脊髄に慢性の炎症が起こり、両脚のつっぱりや筋力低下による歩行障害、排尿・排便障害がゆっくり進む病気です。感染症を背景とする神経疾患で遺伝病ではなく、国の指定難病(告示番号26)に指定されています。
  • 特発性基底核石灰化症 Idiopathic Basal Ganglia Calcification, IBC
    特発性基底核石灰化症は、頭部CTで両側の基底核などに左右対称の石灰化を認め、副甲状腺機能低下症など二次的な原因が除外される疾患です。無症状のまま経過する人もいれば、パーキンソン症状、認知機能低下、精神症状が徐々に現れる人もおり、指定難病(告示番号27)に指定されています。
  • 全身性アミロイドーシス Systemic Amyloidosis
    全身性アミロイドーシスは、異常な構造に折りたたまれたタンパク質がアミロイド線維として心臓・腎臓・神経・消化管などに沈着し、臓器障害を起こす病気の総称です。心不全、ネフローゼ症候群、末梢神経障害や自律神経障害などがみられ、病型ごとに治療が異なる指定難病(告示番号28)です。
  • ウルリッヒ病 Ulrich Disease
    ウルリッヒ病は、VI型コラーゲンの遺伝子(COL6A1・COL6A2・COL6A3)の変異で起こる先天性筋ジストロフィーです。生まれつきの筋力低下、体幹に近い関節の拘縮と手指など末梢関節の過伸展、側弯や呼吸機能低下がみられ、日本では指定難病に指定されています。
  • 遠位型ミオパチー Distal Myopathy
    遠位型ミオパチーは、手足の先(下腿・足首・手指など)の骨格筋から筋力低下と筋萎縮が始まる遺伝性の筋疾患の総称で、GNEミオパチーや三好型などの病型があります。主に10代後半〜中年期に発症してゆっくり進行し、歩行障害や手指の使いにくさが生じる指定難病です。
  • ベスレムミオパチー Bethlem Myopathy
    ベスレムミオパチーは、コラーゲンVI遺伝子(COL6A1・COL6A2・COL6A3)の変異で起こる遺伝性の筋疾患で、指定難病です。体幹に近い筋肉のゆっくり進行する筋力低下と手指・肘・足首などの関節拘縮が特徴で、小児期から成人期にかけて症状が現れます。
  • 自己貪食空胞性ミオパチー Autophagic Vacuolar Myopathy
    自己貪食空胞性ミオパチーは、オートファジーの最終段階の障害により、筋鞘膜の性質をもつ自己貪食空胞が筋線維内に蓄積する、きわめてまれな遺伝性筋疾患群です。筋力低下や心筋症がみられ、ダノン病やXMEAが代表的で、日本では指定難病に指定されています。
  • シュワルツ・ヤンペル症候群 Schwarz-Jampel syndrome
    シュワルツ・ヤンペル症候群は、HSPG2遺伝子の異常により生じるまれな常染色体潜性遺伝の疾患で、筋肉のこわばり(持続的筋活動)、骨軟骨の発育異常、眼瞼裂狭小や口をすぼめた顔つきが特徴です。低身長や関節拘縮を伴い、日本では指定難病の対象です。
  • 神経線維腫症 Neurofibromatosis, NF
    神経線維腫症は、がん抑制遺伝子の変異により神経やその周囲に良性腫瘍ができやすくなる遺伝性疾患で、NF1(レックリングハウゼン病)とNF2に大別されます。NF1は皮膚のカフェオレ斑や神経線維腫、NF2は両側の聴神経腫瘍(前庭神経鞘腫)が特徴で、いずれも指定難病に含まれます。
  • 先天性ミオパチー Congenital Myopathies
    先天性ミオパチーは、遺伝子変異により骨格筋の構造や機能に異常が生じ、筋生検で特徴的な構造異常がみられる遺伝性筋疾患の総称です。新生児期から乳幼児期の筋力低下と筋緊張低下が主な症状で、重症度は重症型から軽症型まで幅広く、日本では指定難病(告示番号111)です。
  • マリネスコ・シェーグレン症候群 Marinesco-Sjögren Syndrome
    マリネスコ・シェーグレン症候群は、SIL1遺伝子などの変異による、まれな常染色体潜性遺伝の疾患で、小脳性運動失調、両眼の白内障、ミオパチーによる筋力低下を三主徴とします。乳幼児期に発達の遅れやふらつき、白内障で気づかれ、指定難病に指定されています。
  • 筋ジストロフィー Muscular Dystrophy
    筋ジストロフィーは、筋線維の壊死と再生を繰り返しながら筋力低下と筋萎縮が進行する遺伝性筋疾患の総称です。発症年齢や重症度は病型で幅広く、歩行障害に加え心臓・呼吸・嚥下など全身にも影響し得るため、多職種による長期的な診療が必要な指定難病(告示番号113)です。
  • 非ジストロフィー性ミオトニー症候群 Non-dystrophic Myotonic Syndromes
    非ジストロフィー性ミオトニー症候群は、骨格筋のクロライドチャネル(CLCN1)またはナトリウムチャネル(SCN4A)の遺伝子変異で、筋肉が収縮後に緩みにくくなる「ミオトニー(筋強直)」を起こす遺伝性筋疾患の総称です。筋萎縮は基本的に伴わず、手を握った後に開けない、動き始めのこわばりなどがみられ、指定難病(告示番号114)です。
  • 遺伝性周期性四肢麻痺 Hereditary Periodic Paralysis
    遺伝性周期性四肢麻痺は、骨格筋のイオンチャネル遺伝子の変異で筋の興奮性が異常となり、意識が保たれたまま数時間~数日続く四肢の脱力発作を繰り返す遺伝性の筋疾患です。発作時の血清カリウム値などで病型が分かれ、小児期~思春期に発症することが多く、指定難病(115)です。
  • アトピー性脊髄炎 Atopic Myelitis
    アトピー性脊髄炎は、アトピー素因をもつ人に起こる原因不明の炎症性脊髄疾患で、主に頸髄が障害され、好酸球などによるアレルギー性炎症が背景にあると考えられています。手足のしびれや痛み、感覚の鈍さが中心で、ときに筋力低下や排尿障害もみられ、指定難病(告示番号116)です。
  • 脊髄空洞症 Syringomyelia
    脊髄空洞症は、脊髄の内部に髄液がたまった空洞ができて徐々に広がり、神経を内側から障害する疾患です。手や腕の温痛覚低下・しびれ、筋力低下、側弯などがゆっくり進み、国の指定難病(告示番号117)に指定されています。
  • 脊髄髄膜瘤 Spinal Meningocele
    脊髄髄膜瘤は、胎児期に神経管が閉じきらず、脊髄と髄膜が背中の皮膚欠損部から露出・突出して生まれる先天異常で、開放性二分脊椎の代表です。下肢の運動・感覚障害、排尿・排便障害、水頭症やキアリ奇形II型を伴いやすく、生涯の継続的な診療が必要な指定難病です。
  • アイザックス症候群 Isaacs' Syndrome
    アイザックス症候群は、自己免疫により末梢神経が過剰に興奮し、筋肉の持続的なぴくつき(ミオキミア)やこわばり、筋けいれん、発汗過多などが起こる神経疾患です。電位依存性カリウムチャネル複合体に対する自己抗体が関与し、日本では指定難病に指定されています。
  • 遺伝性ジストニア Hereditary Dystonia
    遺伝性ジストニアは、遺伝子の変化により筋肉が意思に反して持続的・反復的に収縮し、体のねじれや異常な姿勢、不随意運動が生じる神経疾患の総称で、歩行や書字などの日常動作に影響します。大脳基底核を中心とする運動制御回路の機能異常が関わり、日本では指定難病に指定されています。
  • 脳内鉄沈着神経変性症 Neurodegeneration with Brain Iron Accumulation (NBIA)
    脳内鉄沈着神経変性症(NBIA)は、大脳基底核の淡蒼球や黒質などに鉄が沈着し、神経細胞が徐々に失われていく遺伝性神経変性疾患の総称です。ジストニアやパーキンソニズム、構音・嚥下障害、認知機能低下などが進行し、日本では指定難病の対象です。
  • 脳表ヘモジデリン沈着症 Superficial Siderosis of the Central Nervous System
    脳表ヘモジデリン沈着症は、くも膜下腔への少量の出血が慢性的に続き、脳や脊髄の表面に鉄を含むヘモジデリンが沈着して神経が障害される病気です。中高年以降に両側の難聴、ふらつき、足のつっぱりが徐々に進み、国の指定難病(告示番号122)の対象となっています。
  • HTRA1関連脳小血管病 HTRA1-related Cerebral Small Vessel Disease
    HTRA1関連脳小血管病は、HTRA1遺伝子の病的バリアントにより脳の小血管が障害され、若年〜中年期から脳梗塞や白質病変、認知機能低下、歩行障害が進む遺伝性疾患です。劣性型(CARASIL)では禿頭や脊椎症を伴い、国の指定難病に定められています。
  • 皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症 CADASIL (Cerebral Autosomal Dominant Arteriopathy with Subcortical Infarcts and Leukoencephalopathy)
    CADASILはNOTCH3遺伝子の変異により脳の細い動脈が障害され、大脳白質病変と皮質下の小さな脳梗塞が多発する遺伝性の脳小血管病です。多くは30〜50歳代に前兆を伴う片頭痛、脳梗塞、気分障害、認知機能低下で発症し、指定難病(告示番号124)です。
  • 神経軸索スフェロイド形成を伴う遺伝性びまん性白質脳症 Hereditary Diffuse Leukoencephalopathy with Neuroaxonal Spheroids
    神経軸索スフェロイド形成を伴う遺伝性びまん性白質脳症(HDLS)は、主にCSF1R遺伝子の変異でミクログリアの機能が障害され、大脳白質が進行性に侵される遺伝性の神経疾患です。30〜50歳代に性格変化や認知機能低下、歩行障害、パーキンソン症状などで発症し、指定難病(告示番号125)です。
  • ペリー病 Perry Syndrome
    ペリー病はDCTN1遺伝子の病的バリアントで起こる常染色体顕性(優性)の神経変性疾患で、黒質などの神経細胞が脱落します。多くは40〜50歳代で発症し、パーキンソニズム、うつ・アパシー、体重減少、中枢性低換気がみられ、日本では指定難病です。
  • 前頭側頭葉変性症 Frontotemporal Lobar Degeneration (FTLD)
    前頭側頭葉変性症(FTLD)は、前頭葉と側頭葉前方が選択的に萎縮する神経変性疾患で、人格・行動の変化や言葉の意味の障害が目立ちます。40〜60歳代の発症が多く、行動障害型と意味性認知症が日本の指定難病(告示番号127)として医療費助成の対象になります。
  • ビッカースタッフ脳幹脳炎 Bickerstaff Brainstem Encephalitis
    ビッカースタッフ脳幹脳炎は、かぜや下痢などの感染後に自己免疫の機序で脳幹が障害され、外眼筋麻痺・運動失調・意識障害が急に現れる病気です。抗GQ1b抗体が関与してフィッシャー症候群と連続する病態で、多くは単相性の経過をとり、日本の指定難病です。
  • 先天性無痛無汗症 Congenital Insensitivity to Pain with Anhidrosis
    先天性無痛無汗症は、NTRK1遺伝子の変異により痛みや温度を伝える感覚神経と汗腺を支配する交感神経が十分に形成されず、痛みを感じず汗をかけない常染色体潜性遺伝の病気です。乳児期からの高体温や自傷、骨折・関節破壊がみられ、知的障害を伴うことも多い指定難病です。
  • アレキサンダー病 Alexander Disease
    アレキサンダー病は、GFAP遺伝子の変異によりアストロサイトにローゼンタル線維が蓄積し、大脳白質や脳幹・脊髄が障害される遺伝性の進行性神経疾患です。乳児期のけいれん・頭囲拡大・発達遅滞から成人期の球麻痺・歩行障害まで幅広く、指定難病に指定されています。
  • メビウス症候群 Moebius Syndrome
    メビウス症候群は、生まれつき顔面神経(第VII脳神経)と外転神経(第VI脳神経)が麻痺し、表情をつくりにくく目を外側に動かしにくい、まれな非進行性の先天性脳神経疾患です。哺乳障害や構音障害、斜視、手足の形態異常を伴うことがあり、日本では指定難病です。
  • 那須・ハコラ病 Nasu-Hakola Disease
    那須・ハコラ病は、20〜40歳代で発症し、TYROBPまたはTREM2遺伝子の変異で起こる常染色体潜性遺伝の疾患で、手足の骨に多発する嚢胞による骨折と、前頭葉症状から進行する若年性認知症を特徴とします。ミクログリアの機能不全が関わるとされ、国の指定難病に定められています。
  • 脆弱X症候群関連疾患 Fragile X-Associated Disorders
    脆弱X症候群関連疾患は、FMR1遺伝子のCGGリピートが55〜200回に伸びた前変異を持つ人に成人期以降に生じる疾患の総称で、指定難病です。男性の振戦や歩行のふらつき、認知機能低下などをきたすFXTASや、女性の40歳未満での卵巣機能低下(FXPOI)などがあります。
  • カナバン病 Canavan Disease
    カナバン病は、ASPA遺伝子の異常でアスパルトアシラーゼが欠損し、脳にN-アセチルアスパラギン酸が蓄積して大脳白質が海綿状に変性する常染色体潜性の白質ジストロフィーです。乳児期に筋緊張低下や大頭症、発達の停滞・退行がみられ、指定難病(告示番号307)に指定されています。
  • 進行性白質脳症 Progressive Leukoencephalopathy
    進行性白質脳症は、大脳白質が遺伝的な原因で徐々に障害される病気の総称で、白質消失病や皮質下嚢胞をもつ大頭型白質脳症が代表です。主に乳幼児期から小児期に発症し、歩行のふらつきや手足のつっぱり、てんかん発作などがみられ、日本の指定難病(告示番号308)に指定されています。

ほかの分野から探す

神経・筋疾患(57)血液疾患(15)代謝疾患(44)皮膚疾患(13)免疫・膠原病・自己炎症(28)循環器・先天性心疾患(25)腎・泌尿器疾患(14)骨・関節・結合組織疾患(16)内分泌疾患(18)呼吸器疾患(12)眼・耳鼻咽喉疾患(11)消化器・肝胆膵疾患(20)染色体・先天異常症候群(41)小児神経・てんかん(27)

指定難病リスト(全341疾患)へ