内分泌疾患の指定難病
Designated Intractable Diseases: endocrine
視床下部・下垂体・甲状腺・副腎などのホルモンの分泌異常による疾患群です。ホルモン補充や分泌抑制による治療が中心で、長期的なホルモン値の管理が重要です。
Medi Faceが解説する指定難病のうち、「内分泌疾患」に分類される18疾患の一覧です。各疾患名から、原因・症状・診断・治療・予後・公的支援までの詳しい解説をご覧いただけます。
内分泌疾患の指定難病一覧(18疾患)
- 下垂体性ADH分泌異常症 Pituitary ADH Secretion Abnormality
下垂体性ADH分泌異常症は、水分バランスを調節する抗利尿ホルモン(ADH)の分泌が不足する中枢性尿崩症と、不適切に過剰となるSIADHをまとめた指定難病です。前者では多尿・強い口渇・多飲が、後者では低ナトリウム血症による倦怠感や意識障害などが起こります。 - 下垂体性TSH分泌亢進症 Pituitary TSH Hypersecretion Syndrome
下垂体性TSH分泌亢進症は、下垂体のTSH産生腫瘍が甲状腺刺激ホルモン(TSH)を自律的に過剰分泌し、甲状腺ホルモンが高値となるまれな病気です。動悸・体重減少・発汗などの甲状腺中毒症状がみられ、大きな腫瘍では頭痛や視野障害を伴い、指定難病の対象です。 - 下垂体性PRL分泌亢進症 Pituitary PRL Hypersecretion Syndrome
下垂体性PRL分泌亢進症は、下垂体からプロラクチンが過剰に分泌され、多くはプロラクチノーマ(良性腫瘍)が原因となる内分泌疾患です。月経異常・乳汁漏出・不妊や性欲低下、腫瘍増大による頭痛・視野障害がみられ、多くはドパミン作動薬で治療できる指定難病です。 - クッシング病 Cushing's Disease
クッシング病は、下垂体のACTH産生腫瘍(多くは良性の微小腺腫)により副腎からコルチゾールが過剰に分泌され続ける内分泌疾患です。満月様顔貌・中心性肥満・高血圧・糖尿病・骨粗鬆症・感染症などが現れ、日本では指定難病(告示番号75)に指定されています。 - 下垂体性ゴナドトロピン分泌亢進症 Pituitary Gonadotropin Hypersecretion Syndrome
下垂体性ゴナドトロピン分泌亢進症は、下垂体からLH・FSHが過剰に分泌されて卵巣や精巣が過度に刺激される疾患で、小児では中枢性思春期早発症、成人ではゴナドトロピン産生下垂体腫瘍による月経異常や性腺腫大などを示します。厚生労働省の指定難病で、内分泌専門医による診断と継続管理が必要です。 - 下垂体性成長ホルモン分泌亢進症 Pituitary Growth Hormone Hypersecretion Syndrome
下垂体性成長ホルモン分泌亢進症は、主にGH産生下垂体腺腫から成長ホルモンが過剰に分泌され、成人では先端巨大症、成長期の小児では下垂体性巨人症となる内分泌疾患です。手足や顔貌の変化、高身長、糖尿病・高血圧などを伴い、国の指定難病に含まれます。 - 下垂体前葉機能低下症 Anterior Pituitary Hypofunction
下垂体前葉機能低下症は、下垂体または視床下部の障害により、ACTH・TSH・性腺刺激ホルモン・成長ホルモンなど前葉ホルモンの分泌が低下する病気です。だるさや食欲低下、月経異常などがみられ、副腎皮質ホルモン不足は副腎クリーゼを起こすことがあり、ホルモン補充を要する指定難病です。 - 甲状腺ホルモン不応症 Thyroid Hormone Resistance Syndrome
甲状腺ホルモン不応症は、主にTHRB遺伝子の変異で甲状腺ホルモンへの組織の反応が低下し、FT3・FT4高値でもTSHが抑制されない遺伝性の内分泌疾患です。無症状から甲状腺腫・頻脈・ADHD傾向まで幅があり、バセドウ病との鑑別が重要で、指定難病に定められています。 - 先天性副腎皮質酵素欠損症 Congenital Adrenal Cortex Enzyme Deficiency
副腎皮質でコルチゾールやアルドステロンなどを作る酵素が生まれつき働かず、ホルモンの不足や過剰が生じる遺伝性疾患の総称で、先天性副腎過形成症とも呼ばれます。新生児期の副腎不全(塩類喪失)や外性器の異常などがみられ、生涯のホルモン補充が必要な指定難病です。 - 先天性副腎低形成症 Congenital Adrenal Hypoplasia
先天性副腎低形成症は、生まれつき副腎皮質が十分に発達せず、コルチゾールやアルドステロンが不足する原発性副腎皮質機能低下症です。新生児期から小児期に嘔吐・脱水・低ナトリウム血症を伴う副腎クリーゼで見つかることが多く、指定難病(告示番号82)に指定されています。 - アジソン病 Addison's Disease
アジソン病は、両側の副腎皮質が自己免疫や感染症などで壊れ、コルチゾールとアルドステロンが慢性的に不足する原発性副腎皮質機能低下症です。強い倦怠感、体重減少、皮膚の黒ずみ、低血圧などが徐々に現れ、副腎クリーゼに注意が必要で、ホルモン補充が治療の基本となる指定難病(告示番号83)です。 - カーニー複合 Carney Complex
カーニー複合は、多くはPRKAR1A遺伝子の病的バリアントで起こる常染色体顕性の多発性腫瘍症候群で、皮膚・粘膜の斑状色素沈着、心臓や皮膚の粘液腫、副腎・下垂体などの内分泌腫瘍を特徴とします。クッシング症候群や先端巨大症、心臓粘液腫による塞栓などを来し、日本では指定難病(告示番号232)です。 - ウォルフラム症候群 Wolfram Syndrome
ウォルフラム症候群は、主にWFS1遺伝子の変異による常染色体潜性遺伝の疾患で、小胞体ストレスによる細胞死が病態と考えられています。小児期発症のインスリン依存性糖尿病と進行性の視神経萎縮を中心に、尿崩症や感音難聴、排尿障害、神経症状などが加わる指定難病です。 - 副甲状腺機能低下症 Hypoparathyroidism
副甲状腺機能低下症は、副甲状腺ホルモン(PTH)の分泌不足により低カルシウム血症と高リン血症が続く内分泌疾患です。手足のしびれやテタニー、疲れやすさ、集中力低下などがみられ、手術後のものを除く自己免疫性・遺伝性・原因不明の病型が指定難病の対象です。 - 偽性副甲状腺機能低下症 Pseudohypoparathyroidism
偽性副甲状腺機能低下症は、PTHが十分に分泌されていても腎臓や骨などの標的臓器が反応しにくいため、低カルシウム血症と高リン血症をきたす遺伝性の内分泌疾患です。手足のしびれやテタニーなどがみられ、病型により特徴的な体型や他のホルモン抵抗性を伴い、指定難病の対象です。 - 副腎皮質刺激ホルモン不応症 Adrenocorticotropic Hormone Resistance Syndrome
副腎皮質刺激ホルモン不応症は、ACTHが高値でも副腎皮質が反応せず、コルチゾールが作れなくなる遺伝性の原発性副腎皮質機能低下症です。新生児期から乳幼児期に低血糖や皮膚の色素沈着などで見つかり、日本では指定難病(告示番号237)です。 - ビタミンD抵抗性くる病/骨軟化症 Vitamin D Resistant Rickets / Osteomalacia
ビタミンD抵抗性くる病/骨軟化症は、腎臓からのリン喪失により慢性の低リン血症となり、骨の石灰化が障害される病気の総称です。小児ではO脚や低身長、成人では骨痛・骨折・筋力低下が現れ、多くはFGF23の過剰作用が原因で、指定難病(告示番号238)に含まれます。 - ビタミンD依存性くる病/骨軟化症 Vitamin D Dependent Rickets / Osteomalacia
ビタミンD依存性くる病/骨軟化症は、ビタミンDを活性型にする酵素や受容体の先天的な異常で骨の石灰化が障害される、常染色体潜性(劣性)の遺伝性疾患です。多くは乳児期後半から幼児期に、低カルシウム血症によるけいれんやO脚、成長障害で発症し、国の指定難病に含まれます。
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