小児神経・てんかんの指定難病
Designated Intractable Diseases: pediatric-neuro
乳幼児期から学童期に発症する、てんかんや発達の遅れ、神経発達に関わる疾患群です。早期診断と発作・発達への継続的な支援、成人期への移行期医療が課題となります。
Medi Faceが解説する指定難病のうち、「小児神経・てんかん」に分類される27疾患の一覧です。各疾患名から、原因・症状・診断・治療・予後・公的支援までの詳しい解説をご覧いただけます。
小児神経・てんかんの指定難病一覧(27疾患)
- 痙攣重積型(二相性)急性脳症 Acute Encephalopathy with Biphasic Seizures and Late Reduced Diffusion (AESD)
痙攣重積型(二相性)急性脳症(AESD)は、感染に伴う発熱で乳幼児に起こる急性脳症で、初日の長い痙攣の後、第3〜7病日に痙攣が群発し意識障害が再び悪化します。MRIで皮質下白質の拡散低下を認め、知的障害やてんかんなどの後遺症を残すことがあり、指定難病です。 - 先天性核上性球麻痺 Congenital Supranuclear Palsy
先天性核上性球麻痺は、大脳皮質から脳幹へ向かう両側の皮質延髄路が生まれつき障害され、嚥下・構音障害やよだれ、哺乳困難が生じる非進行性の神経疾患です。Worster-Drought症候群とも呼ばれ、脳性麻痺の一型で、日本では指定難病(告示番号132)です。 - アイカルディ症候群 Aicardi Syndrome
アイカルディ症候群は、脳梁欠損、網脈絡膜裂孔、乳児期早期のてんかん性スパズムを三主徴とする、まれな先天性の脳形成異常症候群です。ほとんどが女児に発症し、難治てんかん、重い発達の遅れ、視覚障害などを伴い、日本では指定難病(告示番号135)に指定されています。 - 片側巨脳症 Hemimegalencephaly
片側巨脳症は、胎児期の脳発生の異常で一側の大脳半球の全体または大部分が腫大し、皮質の構造が乱れる先天性の脳形成異常です。新生児期から乳児期に薬の効きにくいてんかん発作で始まることが多く、発達の遅れや反対側の麻痺を伴いやすい指定難病です。 - 限局性皮質異形成 Focal Cortical Dysplasia
限局性皮質異形成(FCD)は、胎児期の脳の発生過程で大脳皮質の一部の構造が局所的に乱れて生じる脳の形成異常で、薬が効きにくい焦点てんかんの代表的な原因です。乳幼児期から小児期に発作が始まることが多く、日本では指定難病に指定されています。 - 神経細胞移動異常症 Neuronal Migration Disorders
神経細胞移動異常症は、胎児期に脳の神経細胞が大脳皮質へ正しく移動できず、滑脳症や異所性灰白質、多小脳回などの脳形成異常を生じる先天性疾患の総称です。てんかん発作や発達の遅れ、筋緊張の異常などがみられ、重症度は病型で異なり、日本では指定難病(告示番号138)です。 - 先天性大脳白質形成不全症 Congenital Cerebral White Matter Hypoplasia
先天性大脳白質形成不全症は、神経線維を包む髄鞘が生まれつき十分に作られない髄鞘形成不全を中核とする遺伝性疾患の総称で、指定難病139です。乳児期に眼振や首のすわりの遅れ、筋緊張の異常で気づかれ、その後に運動発達の遅れ、痙性、ふらつき、知的障害が続きます。 - ドラベ症候群 Dravet Syndrome
ドラベ症候群は、多くはSCN1A遺伝子の変異で起こる重症の遺伝性てんかんで、生後1年以内に発熱などを契機とした長いけいれん発作で発症します。薬が効きにくい多彩な発作が続き、2歳頃から発達の遅れや歩行の問題もみられ、日本では指定難病(告示番号140)です。 - 海馬硬化を伴う内側側頭葉てんかん Medial Temporal Lobe Epilepsy with Hippocampal Sclerosis
海馬硬化を伴う内側側頭葉てんかんは、側頭葉内側の海馬の神経細胞が脱落して硬くなる海馬硬化を背景に、意識が曇る発作などを起こす焦点てんかんです。薬が効きにくい例が多く記憶障害も伴いますが、外科治療で発作消失が期待できる指定難病です。 - ミオクロニー欠神てんかん Myoclonic Absence Epilepsy
ミオクロニー欠神てんかんは、主に幼児期から学童期に発症するまれな小児の全般てんかん症候群です。意識がぼんやりする欠神に、両肩や腕のリズミカルなぴくつきと腕の挙上を伴う発作が1日に何度も起こり、脳波で約3Hzの棘徐波を示し、薬が効きにくい例もある指定難病です。 - ミオクロニー脱力発作を伴うてんかん Epilepsy with Myoclonic-Atonic Seizures
ミオクロニー脱力発作を伴うてんかんは、主に1〜5歳ごろに発症し、一瞬のミオクロニー収縮の直後に脱力して突然倒れる発作を特徴とする小児てんかん症候群です。発達性てんかん性脳症に分類され、全般強直間代発作や欠神発作なども伴うことが多く、日本では指定難病の対象です。 - レノックス・ガストー症候群 Lennox-Gastaut Syndrome
レノックス・ガストー症候群(LGS)は、主に1〜8歳の小児期に発症する難治性の発達性てんかん性脳症です。強直発作を含む複数の発作型、脳波の遅棘徐波(2.5Hz以下)、知的障害を特徴とし、発作が続きやすいため長期的な支援が必要で、日本では指定難病(告示番号144)です。 - ウエスト症候群 West Syndrome
ウエスト症候群(点頭てんかん)は、主に生後3か月〜1歳ごろに発症する発達性てんかん性脳症です。てんかん性スパズムの群発、脳波のヒプスアリスミア、発達の停止・退行を特徴とし、日本では指定難病(告示番号145)です。 - 大田原症候群 Ohtahara Syndrome
大田原症候群は、生後3か月以内に発症し、強直スパスムを繰り返して脳波にサプレッション・バーストを示す、乳児期早期発症の発達性てんかん性脳症です。原因は脳形成異常や遺伝子変異など多様で、発作は薬剤抵抗性で重い発達の遅れを伴いやすく、日本の指定難病(告示番号146)です。 - 早期ミオクロニー脳症 Early Myoclonic Encephalopathy
早期ミオクロニー脳症は、生後3か月以内(多くは新生児期)に発症する重症のてんかん性脳症で、先天代謝異常などが背景となります。顔や手足の断片的なミオクローヌスと脳波のサプレッション・バーストを特徴とし、薬が効きにくく重い発達の遅れを伴う指定難病です。 - 遊走性焦点発作を伴う乳児てんかん Epilepsy with Migrating Focal Seizures in Infancy
遊走性焦点発作を伴う乳児てんかんは、生後6か月以内に発症し、焦点発作の起こる脳の部位が次々と移っていく発達性てんかん性脳症です。発作は多くの抗てんかん薬に抵抗して群発や重積を起こしやすく、発達の停滞や退行を伴い、日本では指定難病として医療費助成の対象です。 - 片側痙攣・片麻痺・てんかん症候群 Hemiconvulsion-Hemiplegia-Epilepsy Syndrome
片側痙攣・片麻痺・てんかん症候群(HHE症候群)は、乳幼児期に発熱を伴う長い片側けいれんが起こり、その直後から反対側の片麻痺が残り、後に焦点てんかんを発症する症候群です。一側の大脳半球の傷害と萎縮が背景にあり、日本では指定難病(告示番号149)に指定されています。 - ラスムッセン脳炎 Rasmussen Encephalitis
ラスムッセン脳炎は、主に小児期に一側の大脳半球で免疫機序による慢性の炎症が起こり、その半球が徐々に萎縮していくまれな脳疾患です。薬が効きにくいてんかん発作と、片麻痺・言語障害・認知機能低下が進行するのが特徴で、日本では指定難病(告示番号151)です。 - PCDH19関連症候群 PCDH19-related Epilepsy Syndrome
PCDH19関連症候群は、X染色体上のPCDH19遺伝子の病的バリアントにより、主に女児が乳幼児期に発熱を契機とした群発発作を起こすてんかん症候群です。発作は年齢とともに軽快する傾向がありますが、知的障害や自閉スペクトラム症、行動面の症状が続くことがあり、指定難病に指定されています。 - 難治頻回部分発作重積型急性脳炎 Febrile Infection-Related Epilepsy Syndrome (FIRES)
難治頻回部分発作重積型急性脳炎(FIRES)は、発熱を伴う感染症の後に、それまで健康だった小児で焦点発作が頻発・重積して止まらなくなる、まれで重い急性脳炎・てんかん症候群です。通常の抗てんかん薬が効きにくく、後遺症として難治てんかんを残すことが多く、指定難病です。 - 徐波睡眠期持続性棘徐波を示すてんかん性脳症 Epileptic Encephalopathy with Continuous Spike-and-Wave During Sleep (CSWS)
徐波睡眠期持続性棘徐波を示すてんかん性脳症は、主に幼児期〜学童期に発症し、ノンレム睡眠中に棘徐波がほぼ持続する脳波所見(ESES)を特徴とするてんかん性脳症です。てんかん発作に加え言語・認知・行動の退行がみられ、指定難病(告示番号154)に指定されています。 - ランドウ・クレフナー症候群 Landau-Kleffner Syndrome
ランドウ・クレフナー症候群は、言葉を獲得していた幼児が主に3〜7歳頃に言葉の聞き取りと理解を失い、続いて話す力も失っていく、まれなてんかん性脳症です。睡眠中に側頭部優位のてんかん性放電が著しく増え、発作を伴うこともあり、国の指定難病です。 - レット症候群 Rett Syndrome
レット症候群は、主に女児に発症し、多くはMECP2遺伝子の変異による神経発達症です。乳幼児期にそれまでできていた手の使用やことばが失われ、その後に手の常同運動、歩行障害、呼吸リズムの異常、てんかんなどが現れる病気で、指定難病(告示番号156)として医療費助成の対象です。 - スタージ・ウェーバー症候群 Sturge-Weber Syndrome
スタージ・ウェーバー症候群は、顔面のポートワイン母斑、脳軟膜の血管奇形、緑内障などの眼の異常を特徴とする、生まれつきの血管奇形症候群です。乳幼児期からのてんかん発作や片麻痺、発達の遅れ、視機能障害がみられ、日本では指定難病に指定されています。 - 結節性硬化症 Tuberous Sclerosis Complex
結節性硬化症(TSC)は、TSC1またはTSC2遺伝子の病的バリアントによりmTOR経路が過剰に働き、脳・皮膚・腎臓・肺などに良性の過誤腫ができる遺伝性疾患です。てんかんや知的障害・自閉スペクトラム症、腎血管筋脂肪腫などがみられ、指定難病に認定されています。 - 進行性ミオクローヌスてんかん Progressive Myoclonic Epilepsy
進行性ミオクローヌスてんかん(PME)は、ミオクローヌス、てんかん発作、小脳失調や認知機能低下などの進行性神経症状がそろう、まれな遺伝性疾患群(症候群)です。多くは小児期から思春期に発症し、原因疾患の確定が重要で、日本では指定難病(告示番号309)です。 - 芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素欠損症 Aromatic L-Amino Acid Decarboxylase Deficiency
芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素欠損症(AADC欠損症)は、DDC遺伝子の異常でドーパミンやセロトニンが作れなくなる常染色体潜性の先天代謝異常症です。乳児期から筋緊張低下、眼球回転発作、重い運動発達の遅れ、自律神経症状がみられ、指定難病323に指定されています。
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