腎・泌尿器疾患の指定難病

Designated Intractable Diseases: renal

腎臓や尿路に生じる疾患群で、ネフローゼ症候群、遺伝性腎疾患、嚢胞性腎疾患などを含みます。腎機能の保護と、進行した場合の透析・腎移植が課題となります。

Medi Faceが解説する指定難病のうち、「腎・泌尿器疾患」に分類される14疾患の一覧です。各疾患名から、原因・症状・診断・治療・予後・公的支援までの詳しい解説をご覧いただけます。

腎・泌尿器疾患の指定難病一覧(14疾患)

  • IgA腎症 IgA Nephropathy
    IgA腎症は、腎臓の糸球体のメサンギウム領域にIgAが沈着して慢性的な炎症を起こす糸球体腎炎で、日本で最も多い原発性糸球体腎炎です。健診の尿検査で見つかることが多く、持続する血尿と蛋白尿を示し、一部は末期腎不全に進行するため国の指定難病とされています。
  • 多発性嚢胞腎 Polycystic Kidney Disease (PKD)
    多発性嚢胞腎は、常染色体顕性(優性)が大多数を占め、両側の腎臓に液体のたまった袋(嚢胞)が多数でき、年齢とともに増大して腎機能が徐々に低下する遺伝性の腎臓病です。高血圧、腰背部痛、血尿、肝嚢胞、脳動脈瘤など全身に症状が及ぶことがあり、日本では指定難病(告示番号67)です。
  • 非典型溶血性尿毒症症候群 Atypical Hemolytic Uremic Syndrome (aHUS)
    非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)は、補体の制御異常で全身の細い血管に血栓ができ、溶血性貧血・血小板減少・急性腎障害を起こす病気です。乳幼児から高齢者まで発症し、感染症や妊娠などを契機に急に悪化することがあり、補体を抑える薬で治療成績が改善した国の指定難病です。
  • アルポート症候群 Alport Syndrome
    アルポート症候群は、基底膜を構成するⅣ型コラーゲンの遺伝子(COL4A3・COL4A4・COL4A5)の変異で起こる遺伝性腎疾患です。血尿から始まり蛋白尿・腎機能低下へ進み、感音難聴や眼の異常を伴うことがあり、指定難病(告示番号218)に指定されています。
  • ギャロウェイ・モワト症候群 Galloway-Mowat Syndrome
    ギャロウェイ・モワト症候群は、早期発症のステロイド抵抗性ネフローゼ症候群(重い蛋白尿)と、小頭症など脳の発達異常による重度の発達遅滞を併せ持つ、まれな遺伝性疾患です。多くは常染色体潜性(劣性)遺伝で、腎臓と神経の両面に長期的な支援を要するため、指定難病に指定されています。
  • 急速進行性糸球体腎炎 Rapidly Progressive Glomerulonephritis (RPGN)
    急速進行性糸球体腎炎(RPGN)は、腎臓の糸球体に強い炎症が起こり、血尿・蛋白尿などの腎炎性尿所見を伴って数週から数か月で腎機能が急速に低下する症候群です。治療が遅れると透析が必要になったり、肺出血や感染症で命に関わったりすることがあり、指定難病(告示番号220)に指定されています。
  • 抗糸球体基底膜腎炎 Anti-GBM Disease
    抗糸球体基底膜腎炎(抗GBM病)は、糸球体基底膜に対する自己抗体で糸球体が破壊され、数週〜数か月で腎機能が低下する急速進行性糸球体腎炎を起こす自己免疫疾患です。血尿・尿蛋白や腎不全に加え、肺胞出血による血痰・呼吸困難を伴うことがあり、指定難病(告示番号221)です。
  • 一次性ネフローゼ症候群 Primary Nephrotic Syndrome
    一次性ネフローゼ症候群は、腎臓の糸球体が障害されて尿に大量の蛋白が漏れ、血液中のアルブミンが減ってむくみなどを生じる病気のうち、他の全身疾患が原因でないものの総称です。再発や腎機能低下を来すことがあり、指定難病(告示番号222)に指定されています。
  • 一次性膜性増殖性糸球体腎炎 Primary Membranoproliferative Glomerulonephritis
    一次性膜性増殖性糸球体腎炎は、糸球体にメサンギウム細胞の増殖と基底膜の二重化がみられ、C型肝炎や膠原病などの基礎疾患が見つからない慢性糸球体腎炎です。血尿・蛋白尿やネフローゼ症候群で発症し低補体血症を伴うことが多く、進行すると腎不全に至ることがあり、日本では指定難病(告示番号223)です。
  • 紫斑病性腎炎 IgA Vasculitis with Nephritis
    紫斑病性腎炎は、IgA血管炎(旧ヘノッホ・シェーンライン紫斑病)に合併する糸球体腎炎で、IgA1を主体とする免疫複合体の沈着が関与します。紫斑・関節痛・腹痛に加え血尿や蛋白尿がみられ、主に小児に起こり、多くは軽快しますが一部は腎機能低下に進む指定難病(告示番号224)です。
  • 先天性腎性尿崩症 Congenital Nephrogenic Diabetes Insipidus
    先天性腎性尿崩症は、AVPが十分に分泌されても腎臓の集合管が反応できず、尿を濃縮できないため薄い尿が大量に出る遺伝性疾患です。主に男児で新生児期から乳児期に、多尿、多飲、脱水、高ナトリウム血症、哺乳不良などがみられ、日本では指定難病(告示番号225)です。
  • 間質性膀胱炎(ハンナ型) Interstitial Cystitis (Hunner's Type)
    間質性膀胱炎(ハンナ型)は、膀胱粘膜にハンナ病変と呼ばれる炎症性病変が生じ、頻尿・尿意切迫感・膀胱の痛みが慢性的に続く疾患です。中高年の女性に多く、膀胱鏡検査で診断され、日本では指定難病として医療費助成の対象です。
  • 総排泄腔外反症 Bladder Exstrophy-Epispadias Complex
    総排泄腔外反症は、胎生初期の下腹壁の形成異常により、膀胱・腸管・外性器が開いた状態で生まれ、臍帯ヘルニア、鎖肛、恥骨離開、脊椎異常などを伴う先天異常です。膀胱外反-尿道上裂複合の最重症型で、多段階の再建手術と生涯の医療的支援を要し、日本の指定難病です。
  • ネフロン癆 Nephronophthisis
    ネフロン癆は、一次繊毛に関わる遺伝子の異常で尿細管と間質が徐々に障害され、多くは小児期から思春期に末期腎不全へ進む常染色体潜性遺伝の腎臓病です。多尿・多飲、夜尿、貧血、成長障害などで始まり、網膜や脳などの病変を伴うこともあり、指定難病です。

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