消化器・肝胆膵疾患の指定難病

Designated Intractable Diseases: digestive

消化管、肝臓、胆道、膵臓に生じる疾患群です。炎症性腸疾患、胆汁うっ滞性疾患、肝疾患などを含み、栄養管理や薬物療法、場合により肝移植などが行われます。

Medi Faceが解説する指定難病のうち、「消化器・肝胆膵疾患」に分類される20疾患の一覧です。各疾患名から、原因・症状・診断・治療・予後・公的支援までの詳しい解説をご覧いただけます。

消化器・肝胆膵疾患の指定難病一覧(20疾患)

  • バッド・キアリ症候群 Budd-Chiari Syndrome
    バッド・キアリ症候群は、肝臓から血液を戻す肝静脈や肝部下大静脈が閉塞・狭窄し、肝臓に血液がうっ滞する病気です。肝腫大や腹水、食道・胃静脈瘤などの門脈圧亢進症状がみられ、慢性化すると肝硬変や肝細胞がんに至ることもあり、指定難病(告示番号91)に指定されています。
  • 特発性門脈圧亢進症 Idiopathic Portal Hypertension
    特発性門脈圧亢進症は、肝硬変や肝外門脈閉塞、肝静脈閉塞などの原因がないのに、肝内の細い門脈で血流抵抗が上がり、門脈圧が高くなる病気です。脾腫と汎血球減少、食道・胃静脈瘤を起こしますが肝機能は比較的保たれ、中年女性に多く、日本では指定難病(告示番号92)です。
  • 原発性胆汁性胆管炎 Primary Biliary Cholangitis
    原発性胆汁性胆管炎(PBC)は、自己免疫の機序で肝内の細い胆管が徐々に壊れ、胆汁が滞る慢性の肝疾患です。中年以降の女性に多く、健診で無症状のうちに見つかることが多い一方、かゆみや黄疸、進行すると肝硬変や肝不全を来すことがあり、国の指定難病(告示番号93)です。
  • 原発性硬化性胆管炎 Primary Sclerosing Cholangitis
    原発性硬化性胆管炎(PSC)は、肝内外の胆管に慢性の炎症と線維化が起こって胆管が狭くなり、胆汁の流れが滞る原因不明の進行性疾患です。無症状のこともありますが、かゆみや黄疸、倦怠感などがみられ、進行すると肝硬変や肝不全に至るため、国の指定難病に指定されています。
  • 自己免疫性肝炎 Autoimmune Hepatitis
    自己免疫性肝炎は、免疫が自分の肝細胞を攻撃して慢性的な肝臓の炎症を起こす病気で、中高年の女性に多く、国の指定難病です。無症状で健診の肝機能異常から見つかることもありますが、だるさや黄疸が出ることもあり、未治療では肝硬変に進むことがあります。
  • クローン病 Crohn's Disease
    クローン病は、口から肛門までの消化管のどこにでも慢性の炎症と潰瘍が飛び飛びに生じる、原因不明の炎症性腸疾患です。10〜20代に多く、腹痛・下痢・体重減少・痔瘻などをくり返し、狭窄や瘻孔で手術が必要になることもあり、厚生労働省の指定難病に指定されています。
  • 潰瘍性大腸炎 Ulcerative Colitis
    潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に慢性の炎症が起こり、びらんや潰瘍ができる原因不明の炎症性腸疾患で、国の指定難病です。血便・下痢・腹痛などの症状が、良くなったり悪くなったりを繰り返すのが特徴です。
  • 好酸球性消化管疾患 Eosinophilic Gastrointestinal Disorders
    好酸球性消化管疾患は、好酸球が食道・胃・小腸・大腸の壁に過剰に集まり、慢性の炎症を起こすアレルギー性の病気の総称です。飲み込みにくさ、腹痛、下痢、嘔吐、腹水などがみられ、国の指定難病(告示番号98)に指定されています。
  • 慢性特発性偽性腸閉塞症 Chronic Idiopathic Intestinal Pseudo-obstruction
    慢性特発性偽性腸閉塞症(CIPO)は、腸に物理的な閉塞がないのに、腸の神経・筋・ペースメーカー細胞の異常で蠕動運動が高度に障害され、腸閉塞に似た症状を慢性的にくり返す病気です。腹部膨満・嘔吐・腹痛が主な症状で、日本では指定難病(告示番号99)です。
  • 巨大膀胱短小結腸腸管蠕動不全症 Megacystis Microcolon Intestinal Hypoperistalsis Syndrome
    巨大膀胱短小結腸腸管蠕動不全症(MMIHS)は、腸管と膀胱の平滑筋の収縮不全により、巨大膀胱、細い結腸、腸管の蠕動不全を来し、腸閉塞に似た症状を示すきわめてまれな先天性疾患です。胎児期や新生児期に発見され、長期の静脈栄養や排尿管理を要し、指定難病(告示番号100)です。
  • 腸管神経節細胞僅少症 Hypoganglionosis
    腸管神経節細胞僅少症は、腸の動きを調節する神経節細胞が腸の広い範囲で少なく小さいため、蠕動が障害される先天性の病気です。新生児期から腹部膨満、嘔吐、排便障害などの機能的腸閉塞を起こし、重症例では中心静脈栄養やストーマ管理を要する指定難病(告示番号101)です。
  • クロンカイト・カナダ症候群 Cronkhite-Canada Syndrome
    クロンカイト・カナダ症候群は、食道を除く消化管に非腫瘍性ポリープが多発し、脱毛・爪の萎縮・皮膚色素沈着を伴う、遺伝しない原因不明のまれな疾患です。慢性下痢や低たんぱく血症をきたし、指定難病(告示番号289)に指定されています。
  • 非特異性多発性小腸潰瘍症 Non-Specific Multiple Small Intestinal Ulcers
    非特異性多発性小腸潰瘍症は、SLCO2A1遺伝子の変異により主に回腸に浅い潰瘍が多発し、持続する少量出血と蛋白漏出で鉄欠乏性貧血や低蛋白血症をきたす遺伝性の腸疾患です。腹痛や下痢は目立たないことがあり、腸管狭窄を生じることもあり、国の指定難病に指定されています。
  • ヒルシュスプルング病(全結腸型又は小腸型) Hirschsprung Disease (Total Colonic or Small Bowel Type)
    ヒルシュスプルング病(全結腸型又は小腸型)は、腸管の神経節細胞が先天的に大腸全体からさらに小腸まで欠如し、腸が動かず機能的な腸閉塞を起こす重症型の疾患です。新生児期に腹部膨満・嘔吐・胎便排泄遅延で発症することが多く、人工肛門や根治手術、長期の栄養管理を要する国の指定難病です。
  • 総排泄腔遺残 Persistent Cloaca
    総排泄腔遺残は、女児で尿道・腟・直腸が体内で一本の共通管に合流し、会陰部に開口部が一つしかない先天性の肛門直腸・泌尿生殖器奇形です。鎖肛の中で最も複雑な病型で、排便・排尿・生殖機能に影響し、指定難病(告示番号293)に指定されています。
  • 乳幼児肝巨大血管腫 Infantile Hepatic Hemangioma
    乳幼児肝巨大血管腫は、乳児の肝臓にできる良性の血管性腫瘍が大きいか多発・びまん性に広がり、高拍出性心不全、腹部膨満による呼吸障害、消費性甲状腺機能低下症、凝固異常などを起こす病態です。多くは生後数か月以内に見つかり、日本では指定難病に指定されています。
  • 胆道閉鎖症 Biliary Atresia
    胆道閉鎖症は、新生児期から乳児期早期に肝外胆管が炎症と線維化で閉塞し、胆汁が腸へ流れなくなる病気です。黄疸、白っぽい便、濃い色の尿がみられ、放置すると胆汁性肝硬変から肝不全に進行するため、早期の葛西手術が重要で、日本では指定難病に定められています。
  • アラジール症候群 Alagille Syndrome
    アラジール症候群は、Notchシグナル経路の異常(JAG1またはNOTCH2の変異)で肝内の小葉間胆管が少なくなり、胆汁うっ滞を起こす常染色体顕性遺伝の疾患です。黄疸やかゆみに加え、心血管異常・蝶形椎体・特徴的顔貌などを伴い、指定難病(告示番号297)の対象です。
  • 遺伝性膵炎 Hereditary Pancreatitis
    遺伝性膵炎は、PRSS1遺伝子などの変化で膵臓内のトリプシンが異常に働き、小児期・若年期から急性膵炎を繰り返し慢性膵炎へ進行する病気です。腹痛の反復に加え、消化吸収障害や糖尿病、膵がんリスクの上昇がみられ、日本では指定難病(告示番号298)に指定されています。
  • 進行性家族性肝内胆汁うっ滞症 Progressive Familial Intrahepatic Cholestasis
    進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC)は、肝細胞の胆汁排泄にかかわる遺伝子の変異で胆汁の流れが肝内で滞り、肝硬変や肝不全へ進む常染色体潜性遺伝の疾患です。多くは乳児期に黄疸と強いかゆみで始まり、日本では指定難病(告示番号338)と小児慢性特定疾病の対象です。

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