染色体・先天異常症候群の指定難病

Designated Intractable Diseases: congenital

染色体や遺伝子の異常により、特徴的な顔貌、成長・発達の遅れ、複数の臓器の先天異常を伴う症候群です。合併症のスクリーニングと、発達・成長への継続的な支援、遺伝カウンセリングが重要です。

Medi Faceが解説する指定難病のうち、「染色体・先天異常症候群」に分類される41疾患の一覧です。各疾患名から、原因・症状・診断・治療・予後・公的支援までの詳しい解説をご覧いただけます。

染色体・先天異常症候群の指定難病一覧(41疾患)

  • ルビンシュタイン・テイビ症候群 Rubinstein-Taybi Syndrome
    ルビンシュタイン・テイビ症候群は、CREBBP遺伝子またはEP300遺伝子の変化で起こる先天異常症候群で、幅広い母指・母趾、特徴的な顔貌、知的発達の遅れを主な特徴とします。心疾患や成長障害などを合併することがあり、日本では指定難病(告示番号102)に指定されています。
  • CFC症候群 Cardiofaciocutaneous Syndrome
    CFC症候群は、RAS/MAPK経路の遺伝子変異で起こる先天性の遺伝性疾患で、特徴的な顔貌、先天性心疾患、皮膚・毛髪の異常、知的障害・発達の遅れを主な特徴とします。症状の程度には個人差があり、指定難病(告示番号103)および小児慢性特定疾病の対象です。
  • コステロ症候群 Costello Syndrome
    コステロ症候群は、HRAS遺伝子の生まれつきの変異で起こるRASopathy(RAS/MAPK症候群)の一つです。重い哺乳障害、特徴的な顔貌や皮膚所見、肥大型心筋症などの心疾患、発達の遅れ、悪性腫瘍のリスク上昇がみられ、日本では指定難病(告示番号104)です。
  • チャージ症候群 CHARGE Syndrome
    チャージ症候群は、主にCHD7遺伝子の変化により、胎児期の発生異常で眼のコロボーマ、先天性心疾患、後鼻孔閉鎖、耳の異常・難聴、成長発達の遅れ、性器低形成などが生じる多発奇形症候群です。症状の組み合わせや重さは個人差が大きく、日本では指定難病(告示番号105)に指定されています。
  • 中隔視神経形成異常症/ドモルシア症候群 Septo-optic Dysplasia / de Morsier Syndrome
    中隔視神経形成異常症(ドモルシア症候群)は、胎児期の脳正中部の形成異常により、視神経低形成、透明中隔欠損などの脳正中構造異常、下垂体機能低下のうち2つ以上がみられる先天性疾患です。視覚障害や成長・発達の遅れが生じ、日本では指定難病です。
  • 環状20番染色体症候群 Ring Chromosome 20 Syndrome
    環状20番染色体症候群は、20番染色体が輪状になった細胞をもつことで生じるまれな染色体疾患です。薬が効きにくいてんかん、特に非けいれん性てんかん重積や夜間の発作が中心で、学習・行動面の問題を伴うことがあり、指定難病(告示番号150)に指定されています。
  • VATER症候群 VACTERL Association
    VATER症候群(VACTERL連合)は、脊椎・肛門直腸・心臓・気管食道・腎泌尿器・四肢の先天異常のうち複数が偶然以上の頻度で同時に現れる状態です。新生児期から外科的治療を含む多診療科での管理が必要で、日本では指定難病(告示番号173)に指定されています。
  • ウィーバー症候群 Weaver Syndrome
    ウィーバー症候群は、EZH2遺伝子の変化により胎児期からの過成長(高身長・大頭・骨年齢の促進)、特徴的な顔貌、さまざまな程度の知的発達の遅れがみられる先天性の遺伝性疾患です。多くは新生変異で生じ、日本では指定難病(告示番号175)に指定されています。
  • コフィン・ローリー症候群 Coffin-Lowry Syndrome
    コフィン・ローリー症候群は、X染色体上のRPS6KA3遺伝子の病的バリアントで起こる先天異常症候群です。中等度から重度の知的障害、特徴的な顔貌と手、低身長、脊柱後側弯などがみられ、男性で重症化しやすく、日本の指定難病(告示番号176)に含まれます。
  • ジュベール症候群関連疾患 Joubert Syndrome and Related Disorders
    ジュベール症候群関連疾患は、一次線毛の機能に関わる遺伝子の異常で起こる線毛病で、小脳虫部と脳幹の形成異常により脳MRIで臼歯徴候を示します。乳児期の筋緊張低下、呼吸異常、眼球運動異常、発達遅滞などがみられ、国の指定難病です。
  • モワット・ウィルソン症候群 Mowat-Wilson Syndrome
    モワット・ウィルソン症候群は、ZEB2遺伝子の片側アレルの機能喪失により生じる常染色体顕性遺伝の先天異常症候群です。特徴的な顔貌、中等度〜重度の知的障害、てんかん、ヒルシュスプルング病、先天性心疾患などがみられ、日本では指定難病(告示番号178)に指定されています。
  • ウィリアムズ症候群 Williams Syndrome
    ウィリアムズ症候群は、7番染色体長腕(7q11.23)の微小欠失により生じる先天性の多系統疾患で、エラスチン遺伝子(ELN)を含む遺伝子の欠失が関与します。大動脈弁上狭窄、特徴的な顔貌、軽度〜中等度の知的障害、乳児期の高カルシウム血症などがみられ、指定難病の対象です。
  • ATR-X症候群 ATR-X Syndrome
    ATR-X症候群は、X染色体上のATRX遺伝子の病的バリアントで起こる先天性疾患で、ほぼ男性に発症します。重度の知的障害、筋緊張低下、特徴的顔貌、外性器の異常、軽いαサラセミアを特徴とし、日本では指定難病(告示番号180)です。
  • クルーゾン症候群 Crouzon Syndrome
    クルーゾン症候群は、主にFGFR2遺伝子の変異による常染色体顕性遺伝の先天性疾患で、頭蓋縫合の早期癒合、中顔面の発育不全、眼球突出が特徴です。頭蓋内圧亢進や視機能障害、気道狭窄、難聴、咬合異常を伴うことがあり、指定難病(告示番号181)に指定されています。
  • アペール症候群 Apert Syndrome
    アペール症候群は、FGFR2遺伝子の変異により、頭蓋縫合の早期癒合、中顔面の低形成、手足の骨性の合指(趾)症を生じる先天異常症候群です。呼吸・視覚・聴覚・発達などにも影響し、複数の診療科による長期的な治療が必要で、指定難病(告示番号182)です。
  • ファイファー症候群 Pfeiffer Syndrome
    ファイファー症候群は、FGFR1またはFGFR2遺伝子の変化により頭蓋縫合が早期に閉じ、中顔面低形成や幅広い母指・母趾を伴う先天性の症候群です。頭蓋内圧の上昇や呼吸障害、眼球突出、難聴などがみられ、重症度は病型により異なる指定難病です。
  • アントレー・ビクスラー症候群 Antley-Bixler Syndrome
    アントレー・ビクスラー症候群は、頭蓋骨縫合早期癒合、顔面中央部の低形成、上腕骨と橈骨の癒合などの骨格異常を特徴とするまれな先天異常症候群です。多くはPOR遺伝子異常によるステロイド合成障害を伴い、副腎機能低下や外性器異常を合併し、日本では指定難病です。
  • コフィン・シリス症候群 Coffin-Siris Syndrome
    コフィン・シリス症候群は、BAFクロマチンリモデリング複合体に関わる遺伝子の変化で起こる先天異常症候群です。知的障害・発達遅滞、第5指(趾)の爪や末節骨の低形成、粗な顔貌を特徴とし、心臓や腎尿路などにも合併症が出ることがあり、指定難病(告示番号185)です。
  • ロスムンド・トムソン症候群 Rothmund-Thomson Syndrome
    ロスムンド・トムソン症候群は、ゲノムの安定性を保つしくみの障害を背景とする常染色体潜性(劣性)遺伝の多系統疾患で、乳児期に頬から始まる多形皮膚萎縮が特徴です。低身長、骨格異常、毛髪・歯・爪の異常、若年性白内障、骨肉腫や皮膚がんのリスクを伴い、指定難病の対象です。
  • 歌舞伎症候群 Kabuki Syndrome
    歌舞伎症候群は、KMT2DまたはKDM6A遺伝子の変化で起こる先天異常症候群で、特徴的な顔立ち、生後の成長障害、筋緊張低下、知的発達症に、心疾患・腎尿路奇形・難聴・免疫異常などを伴います。国の指定難病(告示番号187)で、合併症の早期発見と多診療科による継続的な支援が重要です。
  • 鰓耳腎症候群 Branchio-Oto-Renal Syndrome
    鰓耳腎症候群(BOR症候群)は、胎生期の鰓弓・耳・腎臓の発生異常で起こる常染色体顕性(優性)遺伝性疾患です。難聴、耳前瘻孔、頸部の鰓溝性瘻孔・嚢胞、腎尿路の形態異常を組み合わせて示し、症状の程度は家系内でも異なります。日本では指定難病(告示番号190)に指定されています。
  • ウェルナー症候群 Werner Syndrome
    ウェルナー症候群は、WRN遺伝子の変異により常染色体潜性遺伝で発症する成人型早老症で、思春期以降に白髪・脱毛、白内障、皮膚の硬化や潰瘍、糖尿病、動脈硬化、悪性腫瘍などが若年で現れます。国の指定難病で、根治療法はなく、合併症の早期発見と治療が重要です。
  • コケイン症候群 Cockayne Syndrome
    コケイン症候群は、転写と共役したヌクレオチド除去修復(TC-NER)の障害で起こるまれな常染色体潜性遺伝疾患です。乳幼児期から著しい成長障害と進行性の神経障害が現れ、皮膚の光線過敏、感音難聴、網膜色素変性、白内障などを伴い、全身に早老様の変化が進む指定難病です。
  • プラダー・ウィリ症候群 Prader-Willi Syndrome
    プラダー・ウィリ症候群は、15番染色体q11-q13の父親由来の遺伝子が働かないことで起こる先天性の症候群で、視床下部の機能障害が中心と考えられています。新生児期の筋緊張低下と哺乳困難に始まり、幼児期以降は過食・肥満、低身長、性腺機能低下、知的障害などがみられ、指定難病(告示番号193)の対象です。
  • ソトス症候群 Sotos Syndrome
    ソトス症候群は、主に5番染色体のNSD1遺伝子の機能低下により起こる先天性の過成長症候群で、指定難病の対象です。出生前からの高身長・大頭症、特徴的な顔貌、程度に幅のある発達の遅れを主な特徴とし、てんかんや心臓・腎臓の合併症、側弯症を伴うことがあります。
  • ヌーナン症候群 Noonan Syndrome
    ヌーナン症候群は、RAS/MAPK経路の遺伝子変化で起こる先天異常症候群で、特徴的な顔貌、肺動脈弁狭窄や肥大型心筋症、低身長、胸郭変形、停留精巣、出血傾向などが現れます。症状の程度は個人差が大きく、指定難病(告示番号195)および小児慢性特定疾病の対象です。
  • ヤング・シンプソン症候群 Young Simpson Syndrome
    ヤング・シンプソン症候群は、主にKAT6B遺伝子の変化で起こるまれな先天異常症候群で、眼瞼裂狭小や眼瞼下垂、知的障害・発達遅滞、筋緊張低下、先天性甲状腺機能低下症、先天性心疾患などを伴います。日本では指定難病(告示番号196)に指定され、乳児期から多診療科での継続的な支援が必要です。
  • 1p36欠失症候群 1p36 Deletion Syndrome
    1p36欠失症候群は、1番染色体短腕の末端(1p36領域)が片方の染色体で部分的に欠失し、多くの遺伝子が不足することで起こる染色体微細欠失症候群です。ほぼ全例で発達遅滞・知的障害と筋緊張低下がみられ、てんかんや心疾患なども伴い、指定難病の対象です。
  • 4p欠失症候群 4p Deletion Syndrome
    4p欠失症候群(Wolf-Hirschhorn症候群)は、4番染色体短腕末端(4p16.3を含む領域)の欠失で生じる先天性の染色体異常症で、ギリシャ戦士の兜様顔貌、出生前からの成長障害、中等度〜重度の知的障害、てんかん発作が特徴です。心疾患や腎尿路異常などの合併を伴うことがあり、日本では指定難病・小児慢性特定疾病の対象です。
  • 5p欠失症候群 5p Deletion Syndrome
    5p欠失症候群(猫鳴き症候群)は、5番染色体短腕の一部が欠失して起こる先天性の染色体異常症です。乳児期の甲高い猫のような泣き声、小頭症、特徴的な顔立ち、筋緊張低下、精神運動発達遅滞や言語表出の遅れがみられ、日本では指定難病(告示番号199)に指定されています。
  • 第14番染色体父親性ダイソミー症候群 Paternal Uniparental Disomy of Chromosome 14 Syndrome
    第14番染色体父親性ダイソミー症候群(鏡-緒方症候群)は、14q32.2のインプリンティング異常により父親由来遺伝子が過剰に働く先天性疾患で、指定難病です。羊水過多、胎盤腫大、釣鐘状の胸郭による呼吸障害、腹壁異常、特徴的顔貌、発達の遅れなどがみられます。
  • アンジェルマン症候群 Angelman Syndrome
    アンジェルマン症候群は、15番染色体q11.2-q13にある母親由来のUBE3A遺伝子が脳で働かないために起こる先天性の神経発達症です。重度の知的障害、発語の乏しさ、運動失調、てんかん、よく笑う明るい行動特性を示し、指定難病(告示番号201)に指定されています。
  • スミス・マギニス症候群 Smith-Magenis Syndrome
    スミス・マギニス症候群は、17番染色体17p11.2領域の欠失またはRAI1遺伝子の病的バリアントで起こる先天異常症候群です。知的障害、特徴的な顔貌、睡眠障害、自傷などの行動の問題を特徴とし、日本では指定難病(告示番号202)に指定されています。
  • 22q11.2欠失症候群 22q11.2 Deletion Syndrome
    22q11.2欠失症候群は、22番染色体長腕の22q11.2領域が片方欠失して起こる先天異常症候群です。先天性心疾患、口蓋の異常、免疫機能の低下、低カルシウム血症、発達の遅れ、思春期以降の精神疾患など症状は全身に及び、指定難病203に指定されています。
  • エマヌエル症候群 Emanuel Syndrome
    エマヌエル症候群は、11番と22番染色体の一部からなる過剰な派生22番染色体を持つことで生じる染色体異常症です。重度の発達遅滞・知的障害、筋緊張低下、小顎、口蓋裂、先天性心疾患、腎・泌尿生殖器の形態異常などを伴い、日本では指定難病(告示番号204)です。
  • 脆弱X症候群 Fragile X Syndrome
    脆弱X症候群は、X染色体上のFMR1遺伝子のCGG繰り返しが200回を超えて伸長し、FMRPが作られなくなることで起こる遺伝性の神経発達症です。知的障害、自閉スペクトラム症(ASD)の特性、多動、不安などがみられ、男性で症状が強い傾向があります。国の指定難病の対象です。
  • クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群 Klippel-Trenaunay-Weber Syndrome
    クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群は、胎生期の体細胞遺伝子変異により、毛細血管・静脈・リンパ管の混合型脈管奇形と手足の骨・軟部組織の過成長が一肢以上に生じる先天性疾患です。赤あざ、静脈瘤、手足の左右差、痛み、血栓などがみられ、日本では指定難病です。
  • 先天異常症候群 Congenital Malformation Syndromes
    先天異常症候群は、胎児期の発生の異常により、顔つきの特徴、心疾患、腎尿路奇形、発達の遅れなど複数の先天異常が一定の組み合わせで現れる疾患群です。染色体や遺伝子の変化が主な原因で、日本では告示番号310の指定難病としてまとめて対象になっています。
  • ネイルパテラ症候群 Nail-Patella Syndrome
    ネイルパテラ症候群(爪膝蓋骨症候群)は、LMX1B遺伝子の病的バリアントで起こる常染色体顕性遺伝の疾患で、爪・膝蓋骨の低形成、肘関節の異常、腸骨角を特徴とします。蛋白尿から腎不全までの腎病変や緑内障を合併することがあり、生涯の経過観察が必要な指定難病(告示番号315)です。
  • ハッチンソン・ギルフォード症候群 Hutchinson-Gilford Progeria Syndrome
    ハッチンソン・ギルフォード症候群は、LMNA遺伝子の変異で異常タンパク質プロジェリンが蓄積し、乳幼児期から成長障害、脱毛、皮下脂肪の減少、動脈硬化などが進む、きわめてまれな早老症です。知的発達は通常保たれ、日本では指定難病(告示番号333)です。
  • MECP2重複症候群 MECP2 Duplication Syndrome
    MECP2重複症候群は、X染色体Xq28領域のMECP2遺伝子を含む部分が重複して起こる先天性の神経発達症で、主に男児に発症します。乳児期からの筋緊張低下、重度の知的障害、反復する呼吸器感染症、てんかん、進行性の痙性などがみられ、指定難病に指定されています。

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