循環器・先天性心疾患の指定難病

Designated Intractable Diseases: cardio

心臓や血管に生じる疾患群で、先天性心疾患、心筋症、肺高血圧症、血管炎などを含みます。薬物療法、カテーテル治療、外科手術、心臓移植などが選択されます。

Medi Faceが解説する指定難病のうち、「循環器・先天性心疾患」に分類される25疾患の一覧です。各疾患名から、原因・症状・診断・治療・予後・公的支援までの詳しい解説をご覧いただけます。

循環器・先天性心疾患の指定難病一覧(25疾患)

  • バージャー病 Buerger's Disease
    バージャー病(閉塞性血栓血管炎)は、手足の中小の動脈と静脈に炎症を伴う血栓ができて詰まる非動脈硬化性の血管疾患です。主に50歳未満の喫煙男性に発症し、手足の冷え・痛みから難治性の潰瘍や壊疽に進むことがある指定難病で、禁煙が治療の基本です。
  • 特発性拡張型心筋症 Idiopathic Dilated Cardiomyopathy, DCM
    特発性拡張型心筋症は、明らかな原因がないまま左心室などが拡大し、心臓全体の収縮力が低下する心筋疾患です。息切れやむくみなどの心不全症状や不整脈を起こし、突然死の原因にもなる指定難病(告示番号57)です。
  • 肥大型心筋症 Hypertrophic Cardiomyopathy, HCM
    肥大型心筋症は、高血圧や弁膜症などの明らかな原因がないのに左心室を中心に心筋が厚くなる病気で、多くはサルコメア蛋白の遺伝子変異が関与します。無症状のこともありますが、息切れ・胸痛・失神、不整脈、心不全、突然死を来すことがあり、指定難病(告示番号58)です。
  • 拘束型心筋症 Restrictive Cardiomyopathy, RCM
    拘束型心筋症は、心室壁が硬くなって拡張期に血液を十分に受け入れられず(拡張障害)、心室の大きさや収縮力が保たれたまま心不全をきたす心筋症です。肺うっ血による息切れや、浮腫・腹水・肝腫大などがみられ、原因不明(特発性)のものは指定難病(告示番号59)の対象です。
  • 肺動脈性肺高血圧症 Pulmonary Arterial Hypertension
    肺動脈性肺高血圧症(PAH)は、肺の細い動脈が狭くなって肺動脈圧が異常に高くなり、進行すると右心室に負担がかかって右心不全をきたす病気です。労作時の息切れや疲れやすさ、失神などがみられ、国の指定難病に定められており、近年は治療薬の進歩で予後が改善しています。
  • 慢性血栓塞栓性肺高血圧症 Chronic Thromboembolic Pulmonary Hypertension
    慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)は、肺動脈の血栓が溶けずに器質化して血管を狭窄・閉塞し、肺動脈圧が持続的に上昇する病気です。息切れや疲れやすさで始まり、進行すると右心不全を来す指定難病(告示番号88)で、手術やカテーテル治療で改善が期待できます。
  • 多脾症候群 Polysplenia Syndrome
    多脾症候群は、胎児期の左右軸の形成異常により左側の構造が体の両側に現れる先天性疾患(左側相同)で、日本では指定難病(告示番号188)です。先天性心疾患や徐脈などの不整脈、下大静脈欠損、腸回転異常、胆道閉鎖症を合併することがあり、重症度は合併症で大きく異なります。
  • 無脾症候群 Asplenia Syndrome
    無脾症候群は、胎生期の左右決定の異常により心臓・肺・腹部臓器が左右対称に近い配置(右側相同)となり、脾臓が欠損する先天性疾患で、指定難病です。生後早期からチアノーゼや心不全を伴う複雑な先天性心疾患を示し、脾臓がないため肺炎球菌などの重症感染症にもかかりやすくなります。
  • 総動脈幹遺残症 Persistent Truncus Arteriosus
    総動脈幹遺残症は、大動脈と肺動脈が分かれず1本の総動脈幹として心室にまたがって残り、大きな心室中隔欠損を伴うまれな先天性心疾患です。多くは新生児期から乳児期早期に肺血流が増えすぎることによる心不全で発症し、生後早期の心臓手術を要する、厚生労働省の指定難病です。
  • 修正大血管転位症 Congenitally Corrected Transposition of the Great Arteries (CCTGA)
    修正大血管転位症は、心房と心室、心室と大血管の接続がともに入れ替わる(二重不一致)先天性心疾患で、右心室が全身へ血液を送ります。心室中隔欠損や肺動脈狭窄の合併で症状は異なり、単独でも成人期に心不全、三尖弁逆流、房室ブロックが起こりやすい指定難病です。
  • 完全大血管転位症 Complete Transposition of the Great Arteries (TGA)
    完全大血管転位症(TGA)は、大動脈が右心室、肺動脈が左心室から出る先天性心疾患で、全身と肺の血液循環が並列になり、生後まもなく強いチアノーゼが現れます。新生児期の緊急管理と動脈スイッチ手術で多くが成人まで成長できますが、術後も生涯の経過観察が必要で、指定難病の対象です。
  • 単心室症 Single Ventricle
    単心室症は、有効に働く心室が実質的に一つしかなく、その心室が全身と肺の両方へ血液を送る先天性心疾患で、国の指定難病です。多くは胎児期・新生児期に見つかり、チアノーゼや心不全症状がみられ、段階的手術(最終的にフォンタン型手術)と生涯の経過観察が必要です。
  • 左心低形成症候群 Hypoplastic Left Heart Syndrome
    左心低形成症候群は、左心室・僧帽弁・大動脈弁・上行大動脈が生まれつき著しく小さく、左心室が全身に血液を送れない重症の先天性心疾患です。出生後に動脈管が閉じ始めるとチアノーゼやショック状態になり、新生児期からの段階的手術でフォンタン循環をめざす指定難病です。
  • 三尖弁閉鎖症 Tricuspid Atresia
    三尖弁閉鎖症は、右心房と右心室の間の三尖弁が生まれつき閉じており、血液が右心房から心房間交通を通って左心房へ流れるチアノーゼ性先天性心疾患です。新生児期からチアノーゼや心不全で発症し、多くは段階的な手術でフォンタン型手術を目指す指定難病で、生涯の経過観察が必要です。
  • 心室中隔欠損を伴わない肺動脈閉鎖症 Pulmonary Atresia without Ventricular Septal Defect
    心室中隔欠損を伴わない肺動脈閉鎖症は、心室中隔に穴がないまま肺動脈弁などが閉じ、右心室から肺へ血液を送れない先天性心疾患です。出生直後から強いチアノーゼが現れ、肺血流を動脈管に頼るため新生児期の治療が必要で、指定難病に指定されています。
  • 心室中隔欠損を伴う肺動脈閉鎖症 Pulmonary Atresia with Ventricular Septal Defect
    心室中隔欠損を伴う肺動脈閉鎖症は、右心室から肺動脈への出口が閉じ、大きな心室中隔欠損があるため、動脈管や主要体肺側副動脈から肺へ血液が流れる先天性心疾患です。出生直後からチアノーゼや心不全がみられ、複数回の手術が必要で、指定難病に指定されています。
  • ファロー四徴症 Tetralogy of Fallot
    ファロー四徴症は、心室中隔欠損・肺動脈(右室流出路)狭窄・大動脈騎乗・右室肥大を併せ持つ先天性心疾患で、肺への血流が減り、酸素の少ない血液が全身に流れてチアノーゼを起こします。国の指定難病で、多くは乳児期に心内修復術を受け、成人後も生涯の経過観察が必要です。
  • 両大血管右室起始症 Double Outlet Right Ventricle
    両大血管右室起始症(DORV)は、大動脈と肺動脈の両方が主に右心室から起始する先天性心疾患で、ほぼ全例で心室中隔欠損を伴います。病型によりチアノーゼや心不全症状がみられ、多くは新生児期から乳児期に手術が必要で、術後も生涯の経過観察を要する指定難病です。
  • エプスタイン病 Ebstein's Anomaly
    エプスタイン病は、三尖弁の弁尖が右心室の奥へ偏位して付着する先天性心疾患で、三尖弁逆流や右心室の機能低下を生じます。心房間の短絡によるチアノーゼや頻拍性不整脈などを起こし、重症度は胎児期に重篤な例から成人期に発見される例まで幅広く、国の指定難病に定められています。
  • オスラー病 Hereditary Hemorrhagic Telangiectasia (Osler-Weber-Rendu Disease)
    オスラー病(遺伝性出血性末梢血管拡張症)は、動脈と静脈が直接つながる血管形成異常により、繰り返す鼻出血や皮膚・粘膜の毛細血管拡張を起こす常染色体顕性遺伝の病気です。肺・脳・肝臓などに動静脈奇形を生じることがあり、日本では指定難病(告示番号227)です。
  • 巨大動静脈奇形(頚部顔面又は四肢病変) Giant Arteriovenous Malformations (Cervicofacial or Limb Lesions)
    巨大動静脈奇形(頚部顔面又は四肢病変)は、動脈と静脈が毛細血管を介さず直接つながる先天性の血管奇形が頚部・顔面や四肢に広範囲に及び、根治が難しい指定難病です。小児期から存在し、思春期や外傷などで増大し、痛み、潰瘍、出血、変形、機能障害、まれに心不全を起こします。
  • 先天性三尖弁狭窄症 Congenital Tricuspid Stenosis
    先天性三尖弁狭窄症は、生まれつき三尖弁が狭く、右心房から右心室へ血液が流れにくい先天性心疾患です。多くは肺動脈閉鎖や右心室低形成などを伴い、チアノーゼや心不全がみられ、指定難病(告示番号311)です。
  • 先天性僧帽弁狭窄症 Congenital Mitral Valve Stenosis
    先天性僧帽弁狭窄症は、生まれつき僧帽弁や腱索・乳頭筋などに形の異常があり、左心房から左心室へ血液が流れにくくなる先天性心疾患です。多くは乳幼児期に呼吸が速い、哺乳不良、体重増加不良などで見つかり、心エコー検査で診断され、重症例は早期の手術やカテーテル治療を要する指定難病です。
  • 先天性肺静脈狭窄症 Congenital Pulmonary Vein Stenosis
    先天性肺静脈狭窄症は、肺から左心房へ血液を戻す肺静脈が生まれつきまたは乳児期に細くなり、進行・再発しやすいまれな心血管疾患です。多呼吸、哺乳不良、体重増加不良、反復する呼吸器症状、肺高血圧などがみられ、日本では指定難病として医療費助成の対象です。
  • 左肺動脈右肺動脈起始症 Origin of the Left Pulmonary Artery from the Right Pulmonary Artery
    左肺動脈右肺動脈起始症は、左肺動脈が右肺動脈から起始して気管と食道の間を通り、気管や右主気管支を圧迫する先天性の血管異常で、肺動脈スリングとも呼ばれる指定難病です。新生児期から乳児期に喘鳴や呼吸困難で見つかり、先天性気管狭窄症を合併しやすい点が特徴です。

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