中隔視神経形成異常症/ドモルシア症候群

Septo-optic Dysplasia / de Morsier Syndrome

中隔視神経形成異常症/ドモルシア症候群(Septo-optic Dysplasia / de Morsier Syndrome)|中隔視神経形成異常症(ドモルシア症候群)は、胎児期の脳の正中部(前脳)の形成異常によって起こる先天性疾患です。視神経低形成、透明中隔欠損などの脳正中構造の異常、下垂体ホルモンの分泌不全の3つを主な特徴とします。視覚障害、成長や代謝の障害、発達の遅れなどが、乳幼児期から生涯にわたって現れることがあります。症状の組み合わせと重症度は患者さんごとに大きく異なります。眼科・内分泌科・神経科が連携して、長期的に診療することが重要です。

中隔視神経形成異常症/ドモルシア症候群の要点

中隔視神経形成異常症(ドモルシア症候群)は、胎児期の脳正中部の形成異常により、視神経低形成、透明中隔欠損などの脳正中構造異常、下垂体機能低下のうち2つ以上がみられる先天性疾患です。視覚障害や成長・発達の遅れが生じ、日本では指定難病です。

別名・略称SOD、Septo-optic dysplasia、de Morsier症候群、視中隔異形成症
分野染色体・先天異常症候群
遺伝形式多くは孤発例(まれにHESX1などの遺伝子変異の報告あり)
好発年齢先天性で、乳幼児期に気づかれることが多い
主な症状視覚障害、成長障害、低血糖、発達の遅れなど
主な検査眼底検査、頭部MRI、下垂体ホルモン検査
主な治療不足するホルモンの補充療法、視覚・発達への支援
受診する主な診療科眼科・内分泌科・小児科・神経科

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中隔視神経形成異常症/ドモルシア症候群とは

中隔視神経形成異常症(Septo-optic dysplasia:SOD)は、次の3徴(トライアド)のうち2つ以上を満たす場合に診断される臨床症候群です。①片側または両側の視神経低形成、②透明中隔欠損や脳梁低形成などの脳正中構造の異常、③下垂体の低形成とそれに伴う下垂体ホルモン分泌不全。3徴すべてがそろう例は全体の3分の1程度とされます。視神経低形成と下垂体機能低下のみ、あるいは視神経低形成と透明中隔欠損のみといった不完全型が多くみられます。なお、透明中隔欠損の有無と下垂体機能低下の有無は必ずしも一致しません。このため、MRIで透明中隔が保たれていても、ホルモン分泌の評価が必要です。

歴史的には、1941年にReevesが透明中隔欠損と視神経異常の合併を報告しました。1956年にスイスの神経病理学者de Morsierが、透明中隔欠損と視神経低形成を合わせて「septo-optic dysplasia」と命名し、これが疾患名の由来となりました。その後、1970年にHoytらが下垂体機能低下症(特に成長ホルモン分泌不全)の合併を示し、現在の3徴の概念が確立しました。さらに、裂脳症や多小脳回などの大脳皮質形成異常を伴うものは「SOD-plus」と呼ばれ、てんかんや運動障害を伴いやすい一群として区別されることがあります。日本では指定難病(告示番号134)に指定されています。

中隔視神経形成異常症/ドモルシア症候群の疫学・患者数

海外の疫学研究では、出生約1万人に1人程度の頻度と報告されています。日本の正確な患者数は明らかではありませんが、まれな疾患であることに変わりはありません。性差は明らかではなく、男女ほぼ同程度に発症するとされます。多くは孤発例で、家族内発症はまれです。疫学的には、若年の母親、初産、妊娠初期の喫煙・飲酒・薬物使用、ウイルス感染などとの関連が報告されています。ただし、いずれも直接の原因として確立したものではありません。発見される時期は症状によって異なり、新生児期の低血糖や黄疸の遷延、乳児期の眼振や視反応の乏しさをきっかけに診断されることが多いです。視覚症状が軽い場合には、幼児期以降の低身長や思春期の異常から見つかることもあります。

中隔視神経形成異常症/ドモルシア症候群の原因・病態生理

病因の多くは不明で、遺伝的要因と環境要因が複合的に関わると考えられています。遺伝的要因としては、前脳・眼・下垂体の発生を制御する転写因子をコードする遺伝子の変異が知られています。代表的なのはHESX1で、ほかにSOX2、SOX3、OTX2などの変異も報告されています。HESX1変異では常染色体劣性・優性いずれの遺伝形式も報告されています。ただし、これらの遺伝子変異が見つかる患者さんはごく一部(数%未満とされる)にすぎず、大多数は遺伝子異常が特定されない孤発例です。SOX2やOTX2の変異は、小眼球症・無眼球症など、より重い眼の形成異常を伴う傾向があります。

発症機序としては、妊娠初期(おおむね妊娠4〜6週頃)に、前脳腹側、眼胞(のちの視神経・網膜)、下垂体原基(ラトケ嚢)が隣接して発生する過程で障害が起こると考えられています。この時期にはHESX1などの転写因子が、前脳と下垂体の形成を協調して制御しています。その働きが損なわれると、視神経を構成する網膜神経節細胞の軸索の数が減り(視神経低形成)、脳正中構造や下垂体の形成も不完全になります。若年妊娠や妊娠初期の薬物・アルコール曝露との関連からは、胎生期の血管性障害(血流途絶)によって脳正中部の形成が損なわれるという仮説も提唱されています。下垂体機能低下は、多くの場合、下垂体そのものよりも視床下部の調節機能の障害に由来すると考えられています。そのため、ホルモン欠乏は出生時には目立たず、年齢とともに新たに顕在化(進行)することがあります。

中隔視神経形成異常症/ドモルシア症候群の症状

  • 視力障害: 視神経低形成の程度によって、ほぼ正常な視力から光覚のみ・全盲までさまざまです。両眼性が多いものの、片眼性や左右差のある例もあります。
  • 眼振: 両眼の視力障害が強い場合、生後数か月以内に眼の揺れ(振り子様眼振など)が現れやすく、受診の最初のきっかけになることが多い症状です。
  • 斜視: 視力の左右差や低視力に伴って、内斜視・外斜視がみられることがあります。
  • 新生児低血糖: 成長ホルモンやACTH(副腎皮質刺激ホルモン)の欠乏により、哺乳不良、ぐったりする、無呼吸、けいれんなどを伴う低血糖が生じることがあり、早期の対応が必要です。
  • 遷延性黄疸・小陰茎: 新生児期の黄疸の長期化は、甲状腺ホルモンや副腎ホルモンの不足を示すことがあります。男児の小陰茎・停留精巣はゴナドトロピンや成長ホルモンの欠乏を示唆します。
  • 成長障害・低身長: 最も頻度の高いホルモン異常は成長ホルモン分泌不全で、乳児期後半以降に成長速度の低下として現れることが多い症状です。
  • 中枢性甲状腺機能低下症・副腎皮質機能低下症: TSHやACTHの不足により、活気の低下、体重増加不良、感染時の重症化、低血糖、低ナトリウム血症などが起こります。副腎不全は生命に関わることがあります。
  • 中枢性尿崩症: 抗利尿ホルモン(バソプレシン)の不足により多尿・多飲・脱水・高ナトリウム血症を生じます。口渇感の異常を伴うと管理が難しくなります。
  • 思春期の異常: ゴナドトロピン欠乏による思春期遅発・欠如のほか、逆に思春期早発症がみられることもあります。
  • 発達の遅れ・知的障害: 運動・言語の発達の遅れは視覚障害そのものによる影響もありますが、脳の構造異常を伴う例では知的障害が持続することがあります。
  • てんかん・運動障害: 特に皮質形成異常(裂脳症など)を伴うSOD-plusでは、てんかん発作や脳性麻痺様の運動障害がみられやすくなります。
  • 視床下部機能障害・行動面の特性: 体温調節の異常、睡眠覚醒リズムの乱れ、食欲亢進と肥満がみられることがあります。自閉スペクトラム症様の特性や注意の問題が報告されています。

中隔視神経形成異常症/ドモルシア症候群の経過と合併症

視神経低形成は先天的な構造の異常であり、原則として進行性の病気ではありません。視力は乳幼児期の視覚の発達とともにある程度改善して見えることもありますが、視神経そのものが回復するわけではありません。一方、下垂体ホルモンの欠乏は経時的に変化しうる点が重要です。出生時には正常でも、乳幼児期から学童期、思春期にかけて成長ホルモン、TSH、ACTH、ゴナドトロピンの欠乏が順次明らかになることがあります。そのため、初回の検査で異常がなくても、定期的な再評価が欠かせません。発達面では、視覚障害や脳構造異常の程度に応じて経過が大きく異なります。適切な療育や視覚支援によって、多くの能力を伸ばすことが可能です。

最も注意すべき合併症は副腎不全(副腎クリーゼ)です。ACTH欠乏のある患者さんでは、発熱、胃腸炎、手術などのストレス時に、低血糖、低血圧、意識障害、ショックに陥ることがあります。中枢性尿崩症や視床下部性の体温調節障害を合併する例では、突然死の報告もあります。そのほか、低血糖発作による脳障害、脱水と電解質異常、肥満と代謝異常(脂質異常、耐糖能異常)、睡眠障害、骨密度の低下、てんかん重積などが問題となります。視覚障害と発達特性が重なることで、学習や社会生活上の困難が生じやすいことも重要な課題です。

中隔視神経形成異常症/ドモルシア症候群の診断・診断基準

診断は、臨床症状(眼振・視反応不良・新生児低血糖・成長障害など)を手がかりに進めます。眼底検査で視神経低形成を確認し、頭部MRIで脳正中構造と視床下部・下垂体の異常を評価します。さらに、内分泌検査で下垂体ホルモンの分泌能を調べ、3徴のうち2つ以上を満たすことで総合的に診断します。視神経低形成が見つかった乳児では、たとえ症状がなくても、MRIと内分泌評価を行うことが重要とされます。指定難病の申請には、難病情報センターなどで公開されている診断基準と重症度分類に沿って、難病指定医が臨床調査個人票を作成します。最新の基準は主治医または難病情報センターで確認してください。

  • 眼科検査(眼底検査): 視神経乳頭が小さく蒼白にみえ、周囲を色素輪が取り囲む「ダブルリングサイン」が特徴です。乳頭径の評価や網膜血管の蛇行も参考になります。
  • 視機能評価(視力・視覚誘発電位など): 乳幼児では縞視力(選好注視法)や視覚誘発電位(VEP)で視機能を推定します。成長に合わせて視力・視野の評価を繰り返します。
  • 頭部MRI: 視神経・視交叉の細さ、透明中隔の欠損、脳梁の低形成、下垂体前葉の低形成、後葉の異所性(正常位置の高信号の消失と漏斗部・視床下部の異所性高信号)、漏斗部の欠損などを評価します。裂脳症など皮質形成異常の有無も確認します。
  • 成長ホルモン系の評価: 成長曲線、IGF-1、成長ホルモン分泌刺激試験で評価します。新生児・乳児期の低血糖時に採血した成長ホルモン値も参考になります。
  • 甲状腺機能検査: 中枢性甲状腺機能低下症では、遊離T4が低いのにTSHが上昇しません。そのため、TSHを指標とする新生児マススクリーニングでは見逃されうる点に注意が必要です。
  • 副腎皮質機能検査: 早朝血中コルチゾール・ACTHの測定やACTH(迅速)負荷試験などで評価します。副腎不全の見逃しは生命に関わるため、最優先で確認すべき項目です。
  • 尿崩症の評価: 血清ナトリウム、血漿・尿浸透圧、尿量を測定します。必要に応じて、専門施設で水制限試験や高張食塩水負荷試験などを行います。
  • 性腺系の評価: 新生児期・乳児期早期(いわゆるミニ思春期)のゴナドトロピンと性ホルモンの測定、思春期年齢での評価により、ゴナドトロピン欠乏や思春期早発を判定します。
  • 遺伝学的検査・脳波・発達評価: 家族歴や眼の重い形成異常がある場合には、HESX1、SOX2、OTX2などの遺伝学的検査が検討されます。けいれんがあれば脳波検査、発達評価(発達検査・知能検査)も併せて行います。

中隔視神経形成異常症/ドモルシア症候群と鑑別すべき疾患

  • 孤立性視神経低形成: 視神経低形成があっても脳正中構造の異常と下垂体機能低下を伴わないものです。経過中にホルモン欠乏が現れることがあるため、継続的な評価が必要です。
  • 先天性下垂体機能低下症(PROP1・POU1F1異常など): 複合型下垂体ホルモン欠乏を示しますが、視神経低形成や透明中隔欠損を伴わない点で区別されます。
  • 全前脳胞症: 前脳の左右分離が障害される、より重度の正中形成異常で、MRIでの大脳半球の癒合や顔面正中異常によって鑑別します。
  • アイカルディ症候群: 主に女児にみられ、脳梁欠損、網脈絡膜裂孔(ラクナ)、乳児スパズムを特徴とする点で鑑別します。
  • チャージ症候群: 眼のコロボーマ、心奇形、後鼻孔閉鎖、耳の異常、性腺機能低下などの組み合わせとCHD7遺伝子変異で区別します。
  • 視神経萎縮(レーベル遺伝性視神経症など): いったん正常に発達した視神経が後から障害されるもので、乳頭の大きさは保たれ、発症時期や経過が異なります。

中隔視神経形成異常症/ドモルシア症候群の治療

根本的に視神経や脳の形成異常を治す治療はありません。治療の柱は、①欠乏している下垂体ホルモンの補充、②視覚障害に対するロービジョンケアと療育、③てんかんや発達・行動面の問題への対応です。中でも副腎皮質機能低下の有無を最初に確認し、必要な場合は確実に補充することが安全上最も重要です。甲状腺ホルモンの補充は、副腎不全を悪化させるおそれがあるため、副腎機能を評価・補正してから開始するのが原則とされます。小児内分泌科医、小児眼科医、小児神経科医、リハビリテーション・療育スタッフ、教育機関が連携する多職種チームでの長期的な管理が望まれます。具体的な治療内容は個々の状態によって異なるため、主治医・専門医とよく相談してください。

  • 副腎皮質ホルモン補充(ヒドロコルチゾン): ACTH欠乏がある場合に生理的な量を補充します。発熱・嘔吐・手術などのストレス時には増量(ストレスドーズ)し、内服できないときは注射が必要になります。
  • 甲状腺ホルモン補充(レボチロキシン): 中枢性甲状腺機能低下症に対して補充します。TSHが指標にならないため、遊離T4値を目安に投与量を調整します。
  • 成長ホルモン治療: 成長ホルモン分泌不全による低身長や低血糖に対して、自己(家族)注射で行います。成長の改善に加え、体組成や代謝への効果も期待されます。成人期の継続の要否は再評価のうえで判断します。
  • デスモプレシンによる尿崩症治療: 中枢性尿崩症に対して投与し、尿量と電解質を管理します。口渇感の障害がある例では、水分摂取量の計画的な管理と頻回の電解質チェックが必要です。
  • 性ホルモン補充療法: ゴナドトロピン欠乏では、思春期年齢に合わせて性ホルモンを少量から漸増し、二次性徴の発現と骨の健康を図ります。思春期早発症に対しては、GnRHアナログによる抑制療法が検討されます。
  • 眼科的管理・ロービジョンケア: 屈折異常の矯正、左右差がある場合の弱視治療(健眼遮閉など)、斜視の管理を行います。拡大読書器や白杖などの補助具の活用、視覚特別支援教育との連携を進めます。
  • 療育・リハビリテーション: 早期からの視覚刺激を工夫した発達支援、理学・作業・言語療法、行動面の支援(発達障害の特性に応じた環境調整)を行い、持てる能力を最大限に伸ばします。
  • てんかん・合併症の治療: てんかんに対しては抗てんかん発作薬で治療します。肥満、睡眠障害(睡眠覚醒リズムの調整など)、体温調節障害には生活管理と対症療法で対応します。

中隔視神経形成異常症/ドモルシア症候群の予後・長期フォロー

生命予後は、下垂体機能低下、特に副腎不全と尿崩症が適切に診断・管理されているかどうかに大きく左右されます。ホルモン補充と緊急時の対応が確立していれば、多くの患者さんは成人期まで生活することが可能です。一方で、副腎クリーゼや低血糖、電解質異常による急変や突然死の報告があるため、油断はできません。視力の予後は視神経低形成の程度によってほぼ決まり、生涯にわたる視覚障害が残ることも少なくありません。知的発達は正常から重度の障害まで幅広く、脳梁低形成や皮質形成異常を伴う例、両眼の重度視覚障害の例ほど発達の課題が大きい傾向があるとされます。適切な支援により、就学・就労・社会参加を果たしている方も多くいます。

ホルモン欠乏は年齢とともに新たに出現しうるため、小児期は定期的(数か月〜1年ごと)に、成長曲線、甲状腺・副腎機能、電解質、思春期徴候を評価します。眼科では、視力、斜視、屈折の経過観察を継続します。思春期以降は、骨密度、体組成、脂質・糖代謝、肥満と睡眠の評価も重要になります。成人期には小児科から成人内分泌科などへの移行(トランジション)が必要です。本人が自分の病気とホルモン補充、緊急時の対応を理解し、自己管理できるよう、段階的な支援を行うことが望まれます。

中隔視神経形成異常症/ドモルシア症候群の日常生活の注意点と公的支援(医療費助成)

副腎皮質ホルモンを補充している場合は、発熱・嘔吐・下痢、けが、手術などの際のストレス時増量の方法を主治医と事前に取り決めておきます。病名と補充薬を記載した緊急カード(ヘルプカード)を携帯し、緊急用の注射薬の準備や使い方も確認しておくと安心です。尿崩症がある場合は水分摂取と尿量の管理が大切で、口渇を感じにくい場合は時間を決めて飲水します。体温調節が苦手な場合は、暑熱・寒冷環境を避け、室温や衣服を調整します。視覚障害については、早期から視覚特別支援学校の教育相談や地域の療育機関を活用し、照明・コントラスト・拡大教材など見やすい環境を整えます。食欲亢進がある場合は、食事内容と量の管理と適度な運動を心がけます。保育園・学校には、低血糖や副腎不全の徴候と対応を共有しておきましょう。大多数は孤発例であり、次子での再発の可能性は一般に低いとされます。ただし、遺伝子変異が判明した場合や家族歴がある場合には、遺伝カウンセリングで再発率や検査の選択肢について相談できます。

利用できる制度・相談窓口

本疾患は指定難病(告示番号134)であり、診断基準と重症度基準を満たす場合、医療費助成(特定医療費)を受けられます。申請は、難病指定医が作成した臨床調査個人票などを添えて、お住まいの都道府県・指定都市の窓口(保健所など)に提出します。18歳未満(継続の場合は20歳未満)では小児慢性特定疾病医療費助成の対象となりうるため、成長ホルモン治療などを含め、どちらの制度が適しているか主治医や窓口に確認してください。視覚障害がある場合は身体障害者手帳(視覚障害)、知的障害がある場合は療育手帳の対象となることがあり、補装具(眼鏡・白杖など)や日常生活用具(拡大読書器など)の給付につながります。そのほか、児童発達支援・放課後等デイサービスなどの障害福祉サービス、特別児童扶養手当・障害児福祉手当、20歳以降の障害基礎年金などが利用できる場合があります。相談窓口としては、各都道府県の難病相談支援センター、保健所、市区町村の障害福祉窓口、視覚特別支援学校の教育相談、医療機関の医療ソーシャルワーカーなどがあります。

中隔視神経形成異常症/ドモルシア症候群に伴う心のケア・心理社会的支援

出生後まもなく視覚障害やホルモン異常を告げられた家族は、強い衝撃や自責感を抱くことがあります。不安・抑うつ・睡眠障害などが生じることも珍しくありません。妊娠中の行動が原因だったのではないかと悩む方もいますが、多くは原因を特定できず、親の責任ではありません。毎日の服薬、成長ホルモン注射、発熱時の緊急対応、頻回の通院は、家族、特に主たる養育者に大きな負担となり、慢性的な疲労や孤立感につながりやすいものです。本人にとっても、成長とともに見え方の違い、低身長、思春期の遅れ、発達特性などから、学校生活での困難、自己肯定感の低下、適応障害が生じることがあります。思春期・青年期には、病気の受容、自己管理への移行、進学・就労の悩みが重なります。こうした悩みは一人で抱え込まず、主治医、看護師、臨床心理士、医療ソーシャルワーカー、患者・家族会などに早めに相談することが大切です。気分の落ち込みが続く場合には、心療内科・精神科、児童精神科での専門的な支援も選択肢になります。

Medi Faceでは、慢性疾患に伴うこころの不調についてのオンライン相談も行っています。お問い合わせはこちら。

中隔視神経形成異常症/ドモルシア症候群の受診の目安

  • 発熱・嘔吐・下痢で薬が飲めない、ぐったりして顔色が悪い、意識がもうろうとする場合は、副腎クリーゼの可能性があり、ストレス時の対応を行ったうえで直ちに救急受診してください。
  • けいれん、異常な眠気、冷や汗、哺乳・食事がとれないなど、低血糖を疑う症状がある場合は速やかに受診してください。
  • 尿の量が急に増減する、強い口渇やぐったりした様子がみられる場合は、脱水や電解質異常のおそれがあるため早めに受診してください。
  • 乳児で眼が揺れる、視線が合わない、物を目で追わない場合は、小児科または眼科を受診してください。
  • 身長の伸びが鈍くなった、思春期の始まりが極端に早いまたは遅い場合は、定期受診を待たずに主治医に相談してください。
  • けいれん発作が5分以上続く、または繰り返す場合は救急要請してください。

中隔視神経形成異常症/ドモルシア症候群についてのよくある質問

Q. 視力は治療で良くなりますか?

A. 視神経そのものの低形成を治す治療は現在ありません。ただし、乳幼児期は視覚が発達する時期であり、眼鏡による屈折矯正、弱視治療、視覚刺激を工夫した療育によって、持っている視機能を最大限に生かせる可能性があります。ロービジョンケアや補助具の活用も重要です。

Q. ホルモンの検査で異常がなければ、もう心配ないのでしょうか?

A. 本疾患では、ホルモン欠乏が成長とともに後から現れることがあります。初回の検査が正常でも、成長曲線や血液検査による定期的な再評価を続けることが大切です。

Q. 次の子どもにも同じ病気が起こりますか?

A. 大部分は孤発例で、きょうだいでの再発はまれとされます。ただし、HESX1などの遺伝子変異が見つかった場合は遺伝形式によって再発率が異なるため、遺伝カウンセリングで個別に相談することをお勧めします。

Q. 保育園や学校生活で気をつけることはありますか?

A. 副腎皮質ホルモンを補充している場合は、体調不良時の連絡体制と緊急対応を園・学校と共有しておくことが重要です。見え方に合わせた座席や教材の工夫、低血糖や体温調節への配慮についても、主治医の意見書などを用いて相談するとよいでしょう。

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最終更新: 2026-10-18。発行: 株式会社Medi Face。本ページは、MSDマニュアル プロフェッショナル版、難病情報センター、各学会の診断基準・診療ガイドラインなどの公的・専門的情報を参照して作成した一般的な医学情報であり、診断・治療の代替ではありません。個別の診療は主治医・専門医にご相談ください。参考: MSDマニュアル プロフェッショナル版、難病情報センター。記載内容に誤りや古い情報を見つけた場合はお問い合わせからお知らせください。