ミオクロニー欠神てんかん
Myoclonic Absence Epilepsy
ミオクロニー欠神てんかん(Myoclonic Absence Epilepsy)|ミオクロニー欠神てんかん(epilepsy with myoclonic absences:EMA)は、主に幼児期から学童期に発症する、まれな小児てんかん症候群です。数秒から数十秒、意識がぼんやりする「欠神発作」の最中に、両肩や両腕がリズミカルにピクピクと震えながら持ち上がっていくミオクロニー欠神発作が1日に何回も起こるのが特徴です。抗てんかん薬が効きにくい例が少なくありません。そのため、知的発達や学習、学校生活への影響を考えた長期的な支援が必要になります。
ミオクロニー欠神てんかんの要点
ミオクロニー欠神てんかんは、主に幼児期から学童期に発症するまれな小児の全般てんかん症候群です。意識がぼんやりする欠神に、両肩や腕のリズミカルなぴくつきと腕の挙上を伴う発作が1日に何度も起こり、脳波で約3Hzの棘徐波を示し、薬が効きにくい例もある指定難病です。
| 別名・略称 | ミオクロニー欠神を伴うてんかん、EMA、Epilepsy with myoclonic absences、Myoclonic absence epilepsy |
|---|---|
| 分野 | 小児神経・てんかん |
| 好発年齢 | 主に幼児期から学童期 |
| 主な症状 | 意識減損と両肩・腕のリズミカルなミオクロニー、腕が次第に挙上する発作(1日に複数回) |
| 主な検査 | 脳波(発作時に約3Hzの全般性棘徐波)、筋電図同時記録 |
| 主な治療 | 抗てんかん薬による薬物療法、学習・学校生活への長期的支援 |
| 原因 | 原因不明の例が多く、染色体異常や遺伝子異常に伴う例もある |
| 受診する主な診療科 | 小児神経科、神経内科、てんかん科 |
ミオクロニー欠神てんかんとは
ミオクロニー欠神てんかんは、ミオクロニー欠神発作を主な発作型とする全般てんかん症候群です。ミオクロニー欠神発作とは、意識の減損(欠神)と同時に、主として両肩・上肢・頸部に毎秒約3回のリズミカルな筋収縮(ミオクロニー)が起こり、強直性の筋収縮が重なることで両腕が次第に挙上していく発作です。持続は多くが10〜60秒程度で、典型的な欠神発作(数秒〜20秒程度)よりやや長い傾向があります。脳波では発作に一致して約3Hzの両側同期性・対称性の全般性棘徐波複合がみられ、筋電図を同時記録すると棘波とミオクロニーが時間的に対応します。過呼吸で誘発されやすく、1日に数回から数十回以上起こることがあります。日本では指定難病(告示番号142)に指定されています。
本症は1960年代後半にイタリアのTassinariらによって報告され、その後Bureauらとともに臨床像が整理されました。国際抗てんかん連盟(ILAE)の1989年分類では「症候性または潜因性全般てんかん」の一つに位置づけられ、2022年に公表されたILAEのてんかん症候群分類では、小児期に発症する全般てんかん症候群の一つとして「ミオクロニー欠神を伴うてんかん(epilepsy with myoclonic absences)」として記載されています。小児欠神てんかんのような予後良好な特発性全般てんかんとは区別され、発症前から発達の遅れを伴う例、経過中に知的機能が低下する例、他の発作型(全般強直間代発作、脱力発作など)が加わる例があるなど、経過の幅が広い症候群と考えられています。原因が特定できない例が多い一方、染色体異常や特定の遺伝子異常に伴って本症の発作像を示す例も報告されています。
ミオクロニー欠神てんかんの疫学・患者数
ミオクロニー欠神てんかんはまれな疾患で、海外の報告では小児てんかん全体の0.5〜1%程度とされています。日本における正確な患者数は明らかではありませんが、指定難病の受給者数などからみても全国で数百人規模以下と推定される希少疾患です。発症年齢は1歳前後から12歳頃までと幅がありますが、平均・中央値は7歳前後と報告されています。性差としては男児に多い(全体の約7割)とされています。約半数前後で発症以前から何らかの知的障害や発達の遅れを認めるという報告があり、家族歴としててんかんを有する例が一部にみられますが、典型的な遺伝形式を示す家系はまれです。
ミオクロニー欠神てんかんの原因・病態生理
多くの例では明らかな原因が特定されず、複数の遺伝的要因が関与する素因性(遺伝性)のてんかんと考えられています。一方で、本症に類似したミオクロニー欠神発作を示す原因として、染色体異常(12番染色体短腕のトリソミー、15番染色体の重複、アンジェルマン症候群など)や、単一遺伝子の病的バリアントが報告されています。後者としては、シナプス機能に関わるSYNGAP1や、脳へのブドウ糖輸送を担うGLUT1をコードするSLC2A1(グルコーストランスポーター1欠損症)などの報告がありますが、いずれも一部の例にとどまり、本症に特異的な単一の原因遺伝子は確立していません。周産期障害や脳形成異常など、器質的な脳病変を背景とする例もあります。自己免疫や感染症が主因となる疾患ではありません。
発作の発生機序は、典型的な欠神発作と同様に、視床と大脳皮質を結ぶ神経回路(視床皮質回路)の異常な同期的興奮が中心と考えられています。視床網様核のT型カルシウムチャネルやGABA系抑制機構の働きにより、皮質と視床の間で約3Hzのリズミカルな発射が繰り返され、これが脳波上の3Hz全般性棘徐波として記録されます。ミオクロニー欠神発作では、この同期発射が運動皮質を強く巻き込み、棘波ごとに肩・上肢の筋が収縮し、さらに持続的な強直性収縮が加わるため腕が徐々に持ち上がると説明されています。抗てんかん薬のエトスクシミドがT型カルシウムチャネルを抑制して欠神発作に効果を示すことは、この病態理解と整合します。頻回の発作や持続するてんかん性放電が、注意・学習など高次脳機能の発達に悪影響を及ぼす可能性も指摘されています。
ミオクロニー欠神てんかんの症状
- ミオクロニー欠神発作: 意識がぼんやりすると同時に、両肩・両腕が毎秒約3回リズミカルにピクつき、腕が徐々に持ち上がっていく発作です。持続は10〜60秒程度が多く、本症の中核症状です。
- 意識減損(欠神): 発作中の意識の障害は完全な消失から軽いぼんやり感まで幅があります。部分的に呼びかけに反応できたり、発作中の出来事を一部覚えていることもあります。
- 発作の頻度の高さ: 1日に数回から数十回以上と頻回に起こることが多く、特に起床後などに集中することがあります。周囲からは「ぼーっとする」「肩がぴくつく」と気づかれます。
- 顔面・口周囲の症状: 頸部や顔面、特に顎や口周囲に軽いミオクロニーがみられることがあります。目のまばたきや頭部の上下動が目立つ例もあります。
- 過呼吸による誘発: 深呼吸を続けると発作が誘発されやすく、診察や脳波検査で発作を確認する手がかりになります。運動後や興奮時に増える例もあります。
- 転倒・物の落下: 立っているときに体幹が傾いたりよろけたりすることがありますが、典型的には転倒は少ないとされます。手に持っている物を落とすことがあります。
- その他の発作型の合併: 経過中に全般強直間代発作、脱力発作、典型的な欠神発作などが加わることがあります。発作型が増える例は経過が難治となる傾向が指摘されています。
- 欠神発作重積: ミオクロニー欠神発作が途切れなく連続し、長時間ぼんやりした状態が続くことがあります。重積状態は医療機関での治療を要します。
- 知的障害・発達の遅れ: 発症前から知的障害を伴う例が約半数前後とされ、発作が持続する例では経過中に知的機能の低下がみられることがあります。
- 注意・学習・行動面の問題: 注意の持続困難、多動、学習の遅れなどがみられることがあります。頻回の発作による学習機会の中断も影響します。
ミオクロニー欠神てんかんの経過と合併症
経過は個人差が大きく、大きく分けて二つの方向が知られています。一つは、適切な薬物治療によりミオクロニー欠神発作が数年以内に消失する群で、海外の報告ではおおむね4割前後とされています。もう一つは発作が持続する群で、思春期・成人期まで発作が残ったり、全般強直間代発作や脱力発作など他の発作型が加わったりします。発作が持続する例や他の発作型を伴う例、発症前から知的障害がある例では、知的・認知面の予後が不良となる傾向が指摘されています。一部の例ではレノックス・ガストー症候群に類似した臨床像へ移行することも報告されています。発作が早期に抑制された例では、発達面の経過が比較的保たれることが期待されます。
合併症としては、知的障害、学習障害、注意欠如・多動症(ADHD)様の症状や自閉スペクトラム症的特性などの神経発達面の問題が重要です。発作に伴う転倒やけが、入浴・水泳中の溺水の危険もあります。また、抗てんかん薬の副作用(眠気、食欲や体重の変化、肝機能障害、血液障害、皮疹など)にも注意が必要です。全般強直間代発作を伴う例では、てんかん患者全般で問題となる「てんかんにおける予期せぬ突然死(SUDEP)」のリスクについても、主治医と情報を共有しておくことが望まれます。
ミオクロニー欠神てんかんの診断・診断基準
診断は、発作の様子の詳細な聴取と、発作時の脳波と筋電図(または体の動き)を同時に記録することが基本です。家族がスマートフォンなどで撮影した発作の動画は、ミオクロニーの有無や腕の挙上を確認するうえで大変有用です。脳波検査では過呼吸賦活により発作を誘発し、ビデオ脳波・筋電図同時記録で3Hz全般性棘徐波とリズミカルなミオクロニーの対応を確認します。そのうえで、脳MRIによる器質的病変の検索、発達・知能検査、必要に応じて染色体検査や遺伝学的検査、代謝疾患の検査を行い、背景疾患の有無を評価します。指定難病としての診断は、厚生労働省研究班などが作成した診断基準(主要症状、脳波所見、鑑別診断などの組み合わせ)に基づき、難病指定医が判断します。
- ビデオ脳波・筋電図同時記録: 発作に一致した約3Hzの両側同期性・対称性全般性棘徐波と、それに時間的に対応する肩・上肢のリズミカルな筋放電を確認します。本症の診断に最も重要な検査です。
- 過呼吸賦活: 脳波検査中に数分間の深呼吸を行い、発作の誘発を試みます。多くの例で発作が誘発され、臨床像の確認に役立ちます。
- 発作間欠期脳波: 背景活動は正常または軽度の異常で、全般性棘徐波が散発することがあります。背景活動の著しい徐波化は、他のてんかん性脳症との鑑別上の参考になります。
- 発作動画・発作日誌: 家庭や学校での発作の様子、頻度、時間帯、誘因を記録します。診断のみならず治療効果の判定にも欠かせません。
- 頭部MRI: 多くは正常ですが、脳形成異常や周産期の脳障害など器質的な原因の有無を確認するために行います。
- 発達・知能検査: 新版K式発達検査やWISC系検査などで知的発達や認知特性を評価します。経時的な評価は経過の把握や教育的支援の計画に有用です。
- 染色体検査・遺伝学的検査: 知的障害や身体的特徴を伴う例などで、染色体マイクロアレイ検査や遺伝子パネル検査が検討されます。原因が判明すれば、合併症管理や遺伝カウンセリングに役立ちます。
- 血液・髄液検査: 一般血液検査や代謝検査に加え、早期発症の欠神発作などでグルコーストランスポーター1欠損症が疑われる場合は、空腹時の髄液糖と血糖の比を評価することがあります。
ミオクロニー欠神てんかんと鑑別すべき疾患
- 小児欠神てんかん: 同じ3Hz棘徐波を示しますが、発作中のミオクロニーは軽微で腕の挙上はみられず、発達は通常正常で予後良好な点が異なります。
- 眼瞼ミオクロニーを伴うてんかん(ジーボンス症候群): 閉眼で誘発される眼瞼の速いミオクロニーが主体で、光感受性が強く、肩・上肢のリズミカルな挙上を伴わない点で区別されます。
- 若年ミオクロニーてんかん: 思春期に発症し、起床後の主に上肢の単発的なミオクロニーが中心で、脳波は多棘徐波を示す点が異なります。
- ミオクロニー脱力発作を伴うてんかん(ドーゼ症候群): ミオクロニー後の脱力による転倒が特徴で、発症年齢がより低く、脳波でより速い全般性棘徐波を示すことが多い点で鑑別します。
- レノックス・ガストー症候群: 強直発作(特に睡眠中)、非定型欠神発作を伴い、脳波で遅棘徐波複合(約2.5Hz以下)や睡眠時の速律動を示す点で区別されます。
- チック症・非てんかん性発作: チックは意識が保たれ、脳波異常を伴わない点で、ビデオ脳波により鑑別できます。
ミオクロニー欠神てんかんの治療
治療の中心は抗てんかん薬による薬物療法で、目標は発作の消失または最大限の減少と、副作用を抑えながら発達・学習・生活の質を守ることです。本症は単剤で十分な効果が得られないことが多く、バルプロ酸とエトスクシミドの併用が古くから有効な組み合わせとして報告されています。効果不十分な場合はラモトリギンなどの追加が検討されます。一方、カルバマゼピン、フェニトイン、オキシカルバゼピンなど一部のナトリウムチャネル遮断薬は欠神発作やミオクロニー発作を悪化させる可能性があるため、一般に避けるべきとされています。発作が持続する例ではてんかん専門医による評価のもと、ケトン食療法などの選択肢も検討されます。いずれの治療も年齢、体重、性別、合併症、副作用などを踏まえて個別に判断されるため、薬の選択や変更は必ず主治医・専門医と相談してください。
- バルプロ酸: 全般てんかんに広く用いられる薬で、本症でも中心的な薬剤です。肝機能障害、膵炎、体重増加、血小板減少などに注意し、将来妊娠の可能性がある女性では催奇形性のリスクを踏まえた慎重な検討が必要です。
- エトスクシミド: T型カルシウムチャネルを抑制し欠神発作に有効な薬で、バルプロ酸との併用で効果が高まることが報告されています。消化器症状、眠気、まれに血液障害などに注意します。
- ラモトリギン: バルプロ酸との併用で効果が報告されている薬です。バルプロ酸併用時は血中濃度が上がるため少量から緩徐に増量し、重篤な皮疹の出現に注意します。
- その他の抗てんかん薬: レベチラセタム、クロバザムなどのベンゾジアゼピン系薬、ゾニサミド、トピラマートなどが併用薬として用いられることがあります。効果には個人差があり、専門医が選択します。
- 避けるべき薬剤への配慮: カルバマゼピン、フェニトイン、オキシカルバゼピンなどは発作を悪化させる可能性があるため、他院受診時にも診断名を伝えることが大切です。
- ケトン食療法: 高脂肪・低糖質の食事で脳のエネルギー源をケトン体に切り替える治療で、難治例で検討されます。グルコーストランスポーター1欠損症が背景にある場合は特に重要な治療となり、栄養士を含む専門チームの管理下で行います。
- 発作重積時の救急治療: 欠神発作重積や長引くけいれん発作では、ベンゾジアゼピン系薬の投与など医療機関での治療が必要です。家庭での対応方法を主治医と事前に決めておきます。
- 発達・教育的支援: 知的障害や学習・行動面の課題に対し、療育、特別支援教育、心理士による支援などを組み合わせます。発作治療と並行して行うことが生活の質の向上に重要です。
- 包括的てんかん診療: 薬物治療で抑制困難な場合は、てんかん専門施設で診断の再確認、治療方針の見直し、臨床試験や新たな治療選択肢の検討を行います。
ミオクロニー欠神てんかんの予後・長期フォロー
生命予後は一般に大きく損なわれる疾患ではありませんが、発作の予後と知的・社会的予後は個人差が大きいのが特徴です。発作が数年以内に消失し、薬を減量・中止できる例がある一方、約半数前後では発作が思春期以降も持続するとされています。発作の早期抑制、他の発作型を伴わないこと、発症前の発達が正常であることは、比較的良好な経過と関連すると報告されています。知的障害を伴う場合、就学・就労・自立生活において継続的な支援が必要となることがあります。一方で、発作が抑制され周囲の理解と支援が得られれば、学校生活や社会参加を十分に続けている方も少なくありません。
長期フォローアップでは、定期的な診察と脳波検査による発作・てんかん性放電の評価、抗てんかん薬の血中濃度や血液検査による副作用の監視、発達・知能・学習面の経時的評価を行います。発作が長期間消失した場合の減薬の時期や方法は、脳波所見なども踏まえて主治医と慎重に相談します。思春期には、服薬自己管理、女性では妊娠・出産を見据えた薬剤調整(葉酸補充を含む)、運転免許、進学・就労などの課題が生じるため、小児科から成人診療科への移行期医療(トランジション)を計画的に進めることが重要です。
ミオクロニー欠神てんかんの日常生活の注意点と公的支援(医療費助成)
最も大切なのは、決められた抗てんかん薬を毎日規則正しく内服することです。自己判断での中断や減量は発作の悪化や重積を招くおそれがあります。睡眠不足、過労、発熱、強いストレスは発作を増やす誘因になりやすいため、規則正しい生活リズムを心がけます。入浴はできるだけ家族の見守りのもとで行い、水泳は監視者のいる環境で行います。高所や火・刃物を扱う場面、自転車の利用などは発作の頻度に応じて安全策を検討します。学校には発作の様子(ぼんやりして肩や腕がぴくつく、短時間で回復することが多いなど)と対応方法を伝え、授業中の発作による聞き逃しへの配慮や、学習面での個別支援を相談するとよいでしょう。発作日誌や動画記録は治療の評価に役立ちます。将来、自動車運転免許の取得には道路交通法上の一定の条件(一定期間発作がないことなど)があるため、主治医に確認が必要です。原因として染色体異常や遺伝子変異が判明した場合や、きょうだいへの影響・将来の妊娠について不安がある場合には、臨床遺伝専門医や認定遺伝カウンセラーによる遺伝カウンセリングを利用できます。
利用できる制度・相談窓口
ミオクロニー欠神てんかんは指定難病(告示番号142)であり、診断基準を満たし、重症度基準に該当する場合(または高額な医療を継続する場合の軽症高額該当)に、医療費助成を受けられます。申請は難病指定医の臨床調査個人票を添えて、お住まいの都道府県・指定都市の窓口(保健所など)に行います。18歳未満(継続の場合は20歳未満)では小児慢性特定疾病医療費助成の対象疾病にも含まれており、小児期はこちらを利用することが多いです(対象や基準は自治体窓口や主治医にご確認ください)。てんかんの通院医療は自立支援医療(精神通院医療)の対象で、自己負担が軽減されます。症状や生活上の支障の程度に応じて、精神障害者保健福祉手帳、知的障害を伴う場合は療育手帳、20歳未満では特別児童扶養手当や障害児福祉手当、20歳以降は障害基礎年金などの対象となる場合があります。相談窓口としては、各都道府県の難病相談支援センター、保健所、てんかん診療の拠点となる医療機関(てんかん支援拠点病院)、患者・家族会である公益社団法人日本てんかん協会(波の会)、医療機関の医療ソーシャルワーカーなどが利用できます。
ミオクロニー欠神てんかんに伴う心のケア・心理社会的支援
てんかんは、いつ発作が起こるかわからないという予測困難さから、本人にも家族にも持続的な不安を生じやすい病気です。本症では発作が頻回で、教室や人前で「ぼんやりする」「腕が上がる」といった目に見える症状が出るため、からかいや誤解、自己肯定感の低下につながることがあります。保護者は、頻回の発作への対応、薬の副作用への心配、知的発達や将来の進路への不安を抱えやすく、抑うつや睡眠障害、育児疲れが生じることも少なくありません。本人も成長とともに、服薬の負担や活動制限、友人関係の悩みから、不安症、抑うつ、適応障害などを経験することがあります。また、てんかんそのものに抑うつや不安、注意・行動面の問題が併存しやすいことも知られています。こうした心理的負担は「気持ちの問題」ではなく治療・支援の対象です。主治医、心理士、スクールカウンセラー、医療ソーシャルワーカーなどに早めに相談し、患者・家族会で同じ立場の人と交流することも支えになります。きょうだいへの配慮や、家族が休息をとれる支援(レスパイト)の活用も大切です。
Medi Faceでは、慢性疾患に伴うこころの不調についてのオンライン相談も行っています。お問い合わせはこちら。
ミオクロニー欠神てんかんの受診の目安
- ぼんやりする発作が止まらず連続する、または意識の悪い状態が長く続くときは、速やかに医療機関を受診してください。
- 全身のけいれん発作が5分以上続く、または意識が戻らないうちに発作を繰り返すときは、救急車を呼んでください。
- 発作で転倒して頭を強く打った、けがをした、呼吸の様子がおかしいときは救急受診してください。
- 発作の回数が明らかに増えた、これまでと違う種類の発作が出てきたときは、早めに主治医に相談してください。
- 薬を飲み始めてから発疹、発熱、強い眠気、嘔吐、腹痛、あざができやすいなどの症状が出たときは、すぐに主治医に連絡してください。
- 学習の遅れや行動の変化、ことばや理解力の低下に気づいたときは、次回を待たず主治医に相談してください。
ミオクロニー欠神てんかんについてのよくある質問
Q. 小児欠神てんかんと何が違うのですか?
A. どちらも意識がぼんやりする欠神発作と3Hzの棘徐波を示しますが、ミオクロニー欠神てんかんでは発作中に肩や腕がリズミカルにぴくつき、腕が持ち上がっていくのが特徴です。また、薬が効きにくい例や知的障害を伴う例が多く、経過の見通しや必要な支援が異なります。正確な区別にはビデオ脳波・筋電図同時記録が重要です。
Q. 治りますか?薬はいつまで続けるのですか?
A. 適切な治療で数年以内に発作が消失し、その後薬を減らしたり中止できる方もいます。一方、発作が長く続く方もおり、経過には個人差があります。減薬の時期は発作消失の期間や脳波所見を踏まえて判断するため、自己判断で中止せず主治医と相談してください。
Q. 遺伝しますか?きょうだいにも起こりますか?
A. 多くは原因が特定されず、典型的な遺伝形式を示すことはまれで、きょうだいに同じ病気が起こる可能性は一般に高くないと考えられています。ただし、染色体異常や遺伝子変異が見つかった場合は、その種類によって再発率が異なります。詳しくは遺伝カウンセリングで個別に相談することをおすすめします。
Q. 学校生活や運動は制限が必要ですか?
A. 多くの場合、通常の学校生活や運動に参加できますが、水泳は監視下で行う、高所での活動に配慮するなど、発作の頻度に応じた安全対策が必要です。授業中の発作で内容を聞き逃すことがあるため、学校と情報を共有し学習面の配慮を相談しましょう。具体的な制限の程度は主治医の意見を参考に決めてください。
関連記事(関連する指定難病)
- ミオクロニー脱力発作を伴うてんかん Epilepsy with Myoclonic-Atonic Seizures
- レノックス・ガストー症候群 Lennox-Gastaut Syndrome
- ドラベ症候群 Dravet Syndrome
- アンジェルマン症候群 Angelman Syndrome
- グルコーストランスポーター1欠損症 Glucose Transporter Type 1 Deficiency Syndrome
- 徐波睡眠期持続性棘徐波を示すてんかん性脳症 Epileptic Encephalopathy with Continuous Spike-and-Wave During Sleep (CSWS)
- 進行性ミオクローヌスてんかん Progressive Myoclonic Epilepsy
- ウエスト症候群 West Syndrome
- ランドウ・クレフナー症候群 Landau-Kleffner Syndrome
同じ分野(小児神経・てんかん)の指定難病
この記事について
最終更新: 2026-10-18。発行: 株式会社Medi Face。本ページは、MSDマニュアル プロフェッショナル版、難病情報センター、各学会の診断基準・診療ガイドラインなどの公的・専門的情報を参照して作成した一般的な医学情報であり、診断・治療の代替ではありません。個別の診療は主治医・専門医にご相談ください。参考: MSDマニュアル プロフェッショナル版、難病情報センター。記載内容に誤りや古い情報を見つけた場合はお問い合わせからお知らせください。