早期ミオクロニー脳症

Early Myoclonic Encephalopathy

早期ミオクロニー脳症(Early Myoclonic Encephalopathy)|早期ミオクロニー脳症(Early Myoclonic Encephalopathy:EME)は、生後間もない新生児期から乳児早期に発症する重症のてんかん性脳症です。手足や顔の一部が不規則にピクつく「部分的(断片的)ミオクローヌス」と、脳波のサプレッション・バーストを特徴とします。多くは先天代謝異常症などの重い基礎疾患が原因です。発作は薬が効きにくく、重い発達の遅れを伴います。乳児期に命に関わることも少なくありません。原因によっては特異的な治療で改善が期待できるため、早期の原因検索が重要です。

早期ミオクロニー脳症の要点

早期ミオクロニー脳症は、生後3か月以内(多くは新生児期)に発症する重症のてんかん性脳症で、先天代謝異常などが背景となります。顔や手足の断片的なミオクローヌスと脳波のサプレッション・バーストを特徴とし、薬が効きにくく重い発達の遅れを伴う指定難病です。

別名・略称新生児ミオクロニー脳症、EME、Neonatal myoclonic encephalopathy
分野小児神経・てんかん
好発年齢生後3か月以内(多くは生後数日〜1か月以内)
主な症状断片的ミオクローヌス、焦点発作、てんかん性スパズム
主な検査脳波(サプレッション・バースト)、原因を調べる代謝・遺伝学的検査
主な治療抗てんかん薬、原因疾患に応じた治療(発作は難治)
受診する主な診療科小児神経科
指定難病告示番号147

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早期ミオクロニー脳症とは

早期ミオクロニー脳症は、生後3か月以内、多くは生後数日から1か月以内に発症するてんかん性脳症です。中核症状は、顔面や四肢の一部に不規則・非同期に出現し、部位を移動する断片的(erratic/fragmentary)ミオクローヌスです。これに焦点発作、より大きな全身性ミオクロニー発作、経過中のてんかん性スパズム(強直スパズム)が加わります。脳波では、高振幅の突発波群(バースト)と、ほぼ平坦な抑制期(サプレッション)が交互に現れるサプレッション・バースト(SB)パターンがみられ、特に睡眠中に目立ちます。てんかん発作そのものと、脳波上の高度な異常活動が、もともと障害されている脳の発達をさらに妨げると考えられています。このため「発達性てんかん性脳症(DEE)」の代表疾患と位置づけられます。

本症は1978年にAicardiとGoutièresにより「新生児ミオクロニー脳症」として報告されました。その後、国際抗てんかん連盟(ILAE)の分類で、大田原症候群(早期乳児てんかん性脳症)と並ぶ新生児期の年齢依存性てんかん性脳症として扱われてきました。両者はどちらもSBパターンを示します。違いとして、大田原症候群は覚醒時にも睡眠時にもSBを示し、強直スパズムが主体で、脳形成異常などの構造的原因が多いとされます。一方、本症は断片的ミオクローヌスが主体で、SBは睡眠時に顕著であり、代謝性の原因が多いとされてきました。ただし両者の臨床像は重なり合い、同じ遺伝子異常でもどちらの像も示しうることがわかってきました。そのため2022年のILAE分類では、両者は早期乳児発達性てんかん性脳症(EIDEE)としてまとめて扱われています。日本の指定難病制度では、現在も「早期ミオクロニー脳症」(告示番号147)として独立した疾患名で対象となっています。

早期ミオクロニー脳症の疫学・患者数

本症は極めてまれな疾患です。正確な発症率は明らかでなく、国内の患者数は多くても数十〜百人程度にとどまると推定されています。重症で乳児期に亡くなる例が多いこともあり、長期生存して制度を利用している患者はさらに限られます。発症は新生児期が大部分で、出生当日から生後数日以内に始まる例も多く、遅くとも生後3か月以内とされます。明らかな性差は知られていません。ただし原因疾患によって遺伝形式が異なり、X連鎖性の疾患(例:PIGA関連、メンケス病)では男児に多くなります。先天代謝異常症が原因の場合は常染色体劣性遺伝が多く、両親が血縁関係にある家系や、同胞での発症が報告されています。

早期ミオクロニー脳症の原因・病態生理

本症は単一の病気というより、さまざまな基礎疾患が新生児期の脳に共通して引き起こす電気臨床症候群と理解されます。最も古典的な原因は非ケトーシス型高グリシン血症(グリシン脳症;GLDC、AMTなどグリシン開裂系の遺伝子異常)です。そのほか、プロピオン酸血症・メチルマロン酸血症などの有機酸代謝異常症、D-グリセリン酸血症、モリブデン補酵素欠損症・亜硫酸酸化酵素欠損症、ピリドキシン依存性てんかんやピリドキサミン5'-リン酸酸化酵素(PNPO)欠損症などのビタミンB6関連疾患が挙げられます。ゼルウェガー症候群などのペルオキシソーム病、メンケス病も原因として報告されています。代謝異常以外では、SLC25A22(ミトコンドリアのグルタミン酸輸送体)、PIGA(GPIアンカー合成)、ERBB4、SIK1などの遺伝子異常の報告があります。原因が特定できない例も少なくありません。遺伝形式は原因により異なり、常染色体劣性、X連鎖性、新生突然変異(de novo)などがあります。

発症機序は原因疾患ごとに異なりますが、共通するのは胎児期から新生児期の脳で興奮と抑制のバランスが大きく崩れることです。例えば非ケトーシス型高グリシン血症では、脳内に蓄積したグリシンが働きます。グリシンはNMDA型グルタミン酸受容体の共作動薬として過剰な興奮を起こし、脳幹・脊髄ではグリシン受容体を介して抑制を起こします。この組み合わせが、ミオクローヌス、無呼吸、筋緊張低下を招くと考えられています。SLC25A22異常ではミトコンドリアへのグルタミン酸取り込みが障害され、ビタミンB6関連疾患では抑制性神経伝達物質GABAの合成などが障害されます。サプレッション・バーストは、大脳皮質と皮質下構造の機能的な断絶を反映すると考えられています。断片的ミオクローヌスは脳波の突発波と必ずしも同期しないことから、皮質下(脳幹など)の関与も推定されています。

早期ミオクロニー脳症の症状

  • 断片的(不規則)ミオクローヌス: まぶた、口角、指、手足の一部などが不規則にピクッと動き、部位が次々に移り変わります。覚醒時にも睡眠時にも持続し、本症の最も特徴的な症状です。
  • 全身性・広範なミオクロニー発作: 体幹や両側の四肢がまとまってビクッと動く発作で、断片的ミオクローヌスに加えて出現することがあります。
  • 焦点発作: 眼球の偏位、顔面の赤み、一側の手足のけいれん、無呼吸などを伴う焦点発作が、断片的ミオクローヌスに続いて早期から現れます。
  • てんかん性スパズム(強直スパズム): 首や体を短く強く屈曲させる発作で、多くは生後3〜4か月頃以降に加わります。経過中に一時的にウエスト症候群に似た像を示すことがあります。
  • 高度の筋緊張低下: 新生児期から体がぐにゃりと柔らかく、反応が乏しい状態が目立ちます。のちに四肢の痙縮に移行することもあります。
  • 意識・反応性の低下: 刺激への反応や覚醒の度合いが乏しく、視線が合わない、追視しないなどの状態が続きます。
  • 無呼吸・呼吸障害: 特に非ケトーシス型高グリシン血症などでは、新生児期に無呼吸を繰り返し、人工呼吸管理が必要になることがあります。
  • 哺乳・嚥下障害: 哺乳力が弱く、むせや誤嚥を起こしやすいため、経管栄養が必要になることが多くあります。
  • 重度の精神運動発達遅滞: 首のすわりや寝返りなどの運動発達、言葉や対人的反応の発達が著しく障害され、多くは重度の重症心身障害の状態となります。
  • 小頭症・その他の神経所見: 頭囲の発育不良(後天性小頭症)、視覚障害、しゃっくりなどがみられることがあり、原因疾患により特徴的な所見が加わります。

早期ミオクロニー脳症の経過と合併症

発作は発症直後から頻回で、断片的ミオクローヌスはほぼ持続的にみられます。生後数か月の間に焦点発作やてんかん性スパズムが加わります。脳波は、サプレッション・バーストから一過性に非典型的ヒプスアリスミアへ変わることがあります。その後再びサプレッション・バーストに戻り、長期間持続する例が多いことが特徴とされます。大田原症候群に比べてウエスト症候群への典型的な移行は少ないとされます。発作は年齢とともに型を変えながら持続し、難治に経過することがほとんどです。神経学的な改善は乏しく、重度の発達障害が残ります。原因疾患の性質によっては、進行性の経過をたどる場合もあります。

合併症としては、誤嚥性肺炎・呼吸不全が最も重要で、生命予後を左右します。そのほか、胃食道逆流症、栄養障害と成長障害、便秘、睡眠障害、体温調節障害がみられます。四肢の痙縮・関節拘縮、股関節脱臼、側弯症、骨粗鬆症と骨折も起こりえます。視覚障害(皮質性視覚障害)や、抗てんかん薬による眠気・分泌物増加・肝機能障害などの副作用にも注意が必要です。原因が先天代謝異常症の場合は、代謝性アシドーシスや高アンモニア血症などの急性代謝不全(代謝クリーゼ)を起こすことがあります。感染や絶食をきっかけに急に悪化することもあります。

早期ミオクロニー脳症の診断・診断基準

診断は、①新生児期〜乳児早期(生後3か月以内)の発症、②断片的ミオクローヌスを主体とする発作、③脳波でのサプレッション・バーストパターン(特に睡眠時に顕著)を確認して行います。そのうえで、治療可能な原因を見逃さないための原因検索を同時に進めることが極めて重要です。特にビタミンB6関連疾患など、早期に特異的治療を始めれば発作が改善しうる疾患を優先的に除外します。指定難病の認定では、学会等が作成した診断基準に基づく臨床症状・脳波所見と、重症度(発作頻度や日常生活の障害度)の評価が用いられます。診断と原因検索は、小児神経専門医やてんかん専門施設で行われることが望まれます。

  • 脳波検査(長時間ビデオ脳波): 高振幅の突発波群と平坦に近い抑制期が交互に出現するサプレッション・バーストを確認します。覚醒時と睡眠時の両方を記録し、ミオクローヌスとの対応をビデオで評価します。
  • 頭部MRI: 発症初期は正常か軽微な異常のことが多く、経過で脳萎縮や髄鞘化遅延がみられます。脳形成異常など構造的原因(大田原症候群寄り)の評価にも重要です。
  • 血液・尿の代謝スクリーニング: 血液ガス、乳酸・ピルビン酸、アンモニア、血中アミノ酸分析、尿中有機酸分析、アシルカルニチン分析などで、有機酸代謝異常症や尿素サイクル異常症を検索します。
  • 髄液検査(髄液/血漿グリシン比など): 非ケトーシス型高グリシン血症では、髄液中グリシンが高く、髄液/血漿グリシン比が上昇します。髄液乳酸、神経伝達物質関連代謝物、ビタミンB6関連の指標も評価します。
  • ビタミン治療的試験: 脳波モニター下でピリドキシン(ビタミンB6)を投与し、必要に応じてピリドキサールリン酸、フォリン酸、ビオチンの反応をみます。ビタミン依存性てんかんの診断と治療を兼ねた重要な手順です。
  • 特殊代謝検査: 尿中亜硫酸・S-スルホシステイン、血清尿酸(モリブデン補酵素欠損症)を調べます。極長鎖脂肪酸(ペルオキシソーム病)、血清銅・セルロプラスミン(メンケス病)なども、臨床像に応じて測定します。
  • 遺伝学的検査: てんかん関連遺伝子パネルや全エクソーム解析などで原因遺伝子を検索します。原因の確定は、治療方針、予後の見通し、次子の再発率の説明に役立ちます。
  • 重症度評価: 発作の型と頻度、発達・日常生活動作の障害度を評価し、指定難病の医療費助成の認定や支援計画に用います。

早期ミオクロニー脳症と鑑別すべき疾患

  • 大田原症候群: 同じくサプレッション・バーストを示しますが、強直スパズムが主体で、SBが覚醒・睡眠の両方で持続し、脳形成異常などの構造的原因が多い点で区別されます(現在は両者を一連のスペクトラムとみなす考え方が主流です)。
  • 良性新生児睡眠時ミオクローヌス: 睡眠中のみにピクつきが起こり、覚醒すると止まり、脳波が正常で発達も正常である点で区別されます。
  • 低酸素性虚血性脳症などの急性症候性新生児発作: 仮死などの周産期歴、急性期の画像所見があり、脳波の抑制パターンが急性期に限られることで区別されます。
  • KCNQ2関連脳症など遺伝性の早期発症てんかん性脳症: 強直発作が主体のことが多く、遺伝学的検査で区別されます。ナトリウムチャネル遮断薬が効く場合があり、鑑別が重要です。
  • 遊走性焦点発作を伴う乳児てんかん: 焦点発作が脳の左右・部位を移動しながら群発し、脳波で発作起始部位が移動する点で区別されます。
  • ウエスト症候群: 発症が主に生後3か月以降で、てんかん性スパズムとヒプスアリスミアを特徴とする点で区別されます。ただし本症からの移行像に注意が必要です。

早期ミオクロニー脳症の治療

治療の基本は、①原因疾患に対する特異的治療の可能性を最優先で探ること、②抗てんかん薬などで発作をできる限り減らすこと、③呼吸・栄養・姿勢・感染予防などの全身管理と緩和的ケアを並行して行うことです。本症の発作は一般に難治で、完全に抑えることは困難な場合がほとんどです。そのため、発作ゼロを目指して薬剤を重ねすぎるより、眠気や呼吸抑制などの副作用とのバランスを考えることが大切です。子どもと家族の生活の質を重視した目標設定が求められます。具体的な薬剤選択は、原因疾患や全身状態により大きく異なるため、主治医・専門医と相談しながら決めていきます。

  • ビタミンB6などの補充療法: ピリドキシン依存性てんかんやPNPO欠損症では、ピリドキシンやピリドキサールリン酸の継続投与で発作が改善しうるため、診断的試験で反応があれば継続します。
  • 原因代謝疾患への特異的治療: 非ケトーシス型高グリシン血症では、グリシンを下げる安息香酸ナトリウムや、NMDA受容体を抑えるデキストロメトルファンが用いられることがあります。有機酸代謝異常症では、食事療法やカルニチン補充などの疾患別管理を行います。
  • 抗てんかん薬: フェノバルビタール、ベンゾジアゼピン系薬、レベチラセタム、トピラマート、ゾニサミドなどが試みられますが、効果は限定的なことが多いです。バルプロ酸は、非ケトーシス型高グリシン血症や一部の代謝・ミトコンドリア疾患で症状を悪化させるおそれがあるため、原因に応じて慎重に判断されます。
  • ACTH療法・ビガバトリンなど: てんかん性スパズムが加わった場合などに、ACTH療法やビガバトリンが検討されることがあります。効果は一時的・部分的なことが多く、副作用とのバランスを考えて判断されます。
  • ケトン食療法: 薬剤抵抗性の場合に選択肢となることがあります。ただし、脂肪酸代謝異常症やピルビン酸カルボキシラーゼ欠損症など禁忌となる代謝疾患があるため、原因検索のうえ専門施設で行います。
  • 呼吸管理: 体位排痰、吸引、在宅酸素療法、必要に応じて非侵襲的換気や気管切開・人工呼吸器を検討します。どこまで行うかは家族と十分に話し合って決めます。
  • 栄養管理と誤嚥防止: 経鼻胃管や胃瘻による経管栄養を行います。胃食道逆流症が強い場合には噴門形成術が検討されることもあり、誤嚥性肺炎の予防が生命予後の改善に重要です。
  • リハビリテーション・姿勢管理: 理学療法・作業療法による拘縮予防、座位保持装置などの補装具、側弯や股関節の管理を行います。苦痛の少ない生活を支えます。
  • 緩和ケア・在宅医療支援: 症状緩和と家族の意思決定支援を早期から取り入れます。訪問診療・訪問看護・レスパイトケアを組み合わせて、在宅生活を支えます。

早期ミオクロニー脳症の予後・長期フォロー

本症の予後は、早期発症てんかん性脳症の中でも特に厳しいとされます。多くの報告で、乳児期から幼児期早期に死亡する例が少なくないことが示されています。生存例でも、ほぼ全例に重度の精神運動発達遅滞と難治てんかんが残ります。主な死因は、呼吸不全や誤嚥性肺炎などの呼吸器合併症と、原因代謝疾患による代謝不全です。一方、ビタミンB6関連疾患のように特異的治療が有効な原因では、早期治療により発作や発達の経過が比較的良好となる場合があります。原因の確定は予後の見通しにも重要です。医療的ケアの進歩により、学童期以降まで生活する子どももいます。QOLの維持には、医療・福祉・教育が連携した包括的支援が欠かせません。

長期フォローアップでは、小児神経専門医を中心に、発作の型と頻度、脳波、抗てんかん薬の血中濃度と副作用(肝機能、血球、眠気、分泌物)を定期的に評価します。あわせて栄養状態と成長、呼吸機能、骨密度、側弯・拘縮、視覚、歯科・口腔ケアも確認します。原因が代謝疾患の場合は、代謝専門医による検査値の管理を並行します。成長に伴い、学校(特別支援学校・訪問教育)との連携、成人期医療への移行(トランジション)も課題になります。急変時の対応方針(呼吸器使用の有無など)は、家族の意向を尊重し、主治医と繰り返し話し合って共有しておくことが大切です。

早期ミオクロニー脳症の日常生活の注意点と公的支援(医療費助成)

日常生活では、①発作時の安全確保と記録、②誤嚥と感染の予防、③体調変化の早期発見が中心になります。発作の様子は、スマートフォンで動画を撮っておくと診療に大変役立ちます。発作の型・回数・時刻を日誌に残すことも勧められます。抗てんかん薬は自己判断で中止・減量せず、嘔吐などで飲めないときは早めに主治医に相談します。食事(注入)時は上体を起こした姿勢を保ち、口腔ケアを丁寧に行うことが肺炎予防になります。発熱や絶食が代謝不全の引き金となる原因疾患もあるため、主治医から示されたシックデイ(体調不良時)の対応を確認しておきましょう。予防接種は、主治医と相談のうえ、基本的に通常どおり進めることが勧められます。原因が遺伝性の場合、次のお子さんでの再発率は遺伝形式によって大きく異なります(常染色体劣性では一般に25%など)。そのため、臨床遺伝専門医や認定遺伝カウンセラーによる遺伝カウンセリングを受けることが推奨されます。原因遺伝子が判明していれば、出生前診断や次子の早期診断・早期治療について相談できる場合もあります。

利用できる制度・相談窓口

早期ミオクロニー脳症は指定難病(告示番号147)で、診断基準と重症度基準を満たせば医療費助成を受けられます。18歳未満(継続の場合は20歳未満)では小児慢性特定疾病医療費助成制度の対象にもなります。多くの場合、小児期は小児慢性特定疾病から利用を始め、必要に応じて指定難病へ移行します。申請には指定医の診断書(臨床調査個人票・医療意見書)が必要で、窓口は都道府県・指定都市の担当課や保健所です。障害の程度に応じて、身体障害者手帳(肢体不自由など)・療育手帳の取得が可能です。特別児童扶養手当・障害児福祉手当(重度の場合)や、補装具・日常生活用具の給付も利用できます。障害福祉サービス(居宅介護、短期入所、児童発達支援、医療型児童発達支援など)も利用対象です。医療的ケア児には、各都道府県の医療的ケア児支援センターや訪問看護、レスパイト入院などの支援があります。20歳以降は障害基礎年金(20歳前傷病による)の対象となりえます。相談窓口としては、難病相談支援センター、小児慢性特定疾病の自立支援員、病院の医療ソーシャルワーカーがあります。てんかん支援拠点病院や、患者家族会(日本てんかん協会など)も活用できます。

早期ミオクロニー脳症に伴う心のケア・心理社会的支援

わが子が生まれて間もなく重い病気と診断されることは、家族にとって計り知れない衝撃です。ショック、否認、悲しみ、自責の念、将来への不安が繰り返し押し寄せることは自然な反応です。新生児集中治療室での長い入院、頻回の発作、医療的ケアの習得、夜間の吸引や注入による睡眠不足が重なり、多くの家族が心身の疲労を抱えます。その結果、抑うつ・不安障害・適応障害を生じることも少なくありません。特に母親は産後の心身の回復期と重なるため、産後うつのリスクにも注意が必要です。本症に特有の課題として、生命予後が厳しいことから、治療をどこまで行うかという重い意思決定を早い時期に迫られることがあります。遺伝性の場合は、次子を考えることへの葛藤もあります。きょうだい児が寂しさや我慢を抱えることにも配慮が必要です。こうした気持ちを一人で抱え込まず、主治医、看護師、医療ソーシャルワーカー、臨床心理士、緩和ケアチーム、同じ病気の家族会などに早めに相談してください。必要に応じて精神科・心療内科の受診や、レスパイトによる休息を取ることは決して甘えではありません。子どもを支え続けるための大切な手段です。

Medi Faceでは、慢性疾患に伴うこころの不調についてのオンライン相談も行っています。お問い合わせはこちら。

早期ミオクロニー脳症の受診の目安

  • 発作が5分以上続く、または発作が止まらずに繰り返し、意識が戻らない場合は救急要請または救急受診してください。
  • 顔色不良(チアノーゼ)、呼吸が止まる・浅い・苦しそうな状態が続く場合は直ちに救急受診してください。
  • 発熱、痰の増加、呼吸数の増加など肺炎が疑われる症状があるときは、早めに受診してください。
  • 嘔吐や下痢で注入や抗てんかん薬が入らない、ぐったりして反応が普段より明らかに悪い場合は、代謝不全の可能性もあるため速やかに受診してください。
  • 発作の回数や型がいつもと明らかに変わった、新しいタイプの発作が出てきた場合は、主治医に相談してください。
  • 新生児・乳児が手足や顔の一部を不規則にピクピクさせ、哺乳不良や反応の乏しさを伴う場合は、早急に小児科を受診してください。

早期ミオクロニー脳症についてのよくある質問

Q. この病気はなぜ起こるのですか?親の妊娠中の過ごし方が原因でしょうか?

A. 多くは先天代謝異常症や遺伝子の変化など、生まれつきの体質が原因で起こります。妊娠中の生活や育て方が原因になるものではありません。原因の特定には代謝検査や遺伝学的検査が役立ちます。

Q. 発作は薬で止まりますか?

A. 一般に発作は非常に難治で、薬で完全に止めることは難しい場合がほとんどです。ただし、ビタミンB6関連疾患など原因によっては特異的治療で改善することがあるため、原因検索が重要です。治療目標は主治医と相談しながら設定します。

Q. 大田原症候群とはどう違うのですか?

A. どちらも新生児期に発症し、脳波でサプレッション・バーストを示します。本症は断片的ミオクローヌスが主体で代謝性の原因が多く、大田原症候群は強直スパズムが主体で構造的原因が多いとされます。現在の国際分類では両者を「早期乳児発達性てんかん性脳症」として一連の病態と捉える考え方が主流です。

Q. 次の子どもにも同じ病気が起こる可能性はありますか?

A. 原因によって大きく異なります。常染色体劣性遺伝の代謝疾患では、次子が発症する確率は一般に4分の1とされます。一方、新生突然変異が原因の場合は再発率が低いとされます。原因が判明しているかどうかで説明が変わるため、遺伝カウンセリングで個別に相談することをお勧めします。

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最終更新: 2026-10-18。発行: 株式会社Medi Face。本ページは、MSDマニュアル プロフェッショナル版、難病情報センター、各学会の診断基準・診療ガイドラインなどの公的・専門的情報を参照して作成した一般的な医学情報であり、診断・治療の代替ではありません。個別の診療は主治医・専門医にご相談ください。参考: MSDマニュアル プロフェッショナル版、難病情報センター。記載内容に誤りや古い情報を見つけた場合はお問い合わせからお知らせください。