グルコーストランスポーター1欠損症
Glucose Transporter Type 1 Deficiency Syndrome
グルコーストランスポーター1欠損症(Glucose Transporter Type 1 Deficiency Syndrome)|グルコーストランスポーター1欠損症(GLUT1欠損症)は、血液中のブドウ糖を脳へ運ぶ輸送体GLUT1の働きが生まれつき弱いために、脳がエネルギー不足に陥る先天代謝異常症です。多くは乳幼児期に、てんかん発作、異常な眼球運動、発達の遅れ、運動失調や不随意運動などで発症します。ケトン食療法で脳に代わりのエネルギー源を供給できる「治療可能な疾患」であり、早期診断・早期治療が予後を大きく左右します。
グルコーストランスポーター1欠損症の要点
グルコーストランスポーター1欠損症は、SLC2A1遺伝子の変化で脳へのブドウ糖輸送が低下し、血糖が正常でも髄液糖が低くなる先天代謝異常症です。乳幼児期のてんかん発作、異常な眼球運動、発達の遅れ、運動失調などがみられ、ケトン食療法が有効で、指定難病に指定されています。
| 別名・略称 | GLUT1欠損症、GLUT1欠損症候群、グルコーストランスポーター1欠損症候群、De Vivo病、GLUT1-DS、Glut1 deficiency syndrome |
|---|---|
| 分野 | 代謝疾患 |
| 原因遺伝子・遺伝形式 | SLC2A1遺伝子。多くは常染色体顕性(優性)で、新規の変異も多い |
| 好発年齢 | 乳幼児期に発症することが多い |
| 主な症状 | てんかん発作、異常な眼球運動、発達の遅れ、運動失調、不随意運動 |
| 主な検査 | 髄液検査(低髄液糖)、SLC2A1遺伝子検査 |
| 主な治療 | ケトン食療法 |
| 受診する主な診療科 | 小児神経科 |
グルコーストランスポーター1欠損症とは
GLUT1欠損症は、SLC2A1遺伝子の病的バリアントによって、促通拡散型グルコース輸送体GLUT1の機能が低下して起こる疾患です。GLUT1は血液脳関門の内皮細胞やアストロサイトに多く発現し、脳へのブドウ糖供給を担っています。この働きが低下すると、血糖値が正常でも脳脊髄液(髄液)中のブドウ糖濃度が低くなります(低髄液糖症)。その結果、成長期の脳でエネルギーが不足し、神経症状が現れます。日本では指定難病(告示番号248)に指定されています。本症は単一の遺伝子の異常によって起こる単一遺伝子疾患で、複数の要因が重なって起こる多因子性の病気ではありません。免疫の異常が関わる病気でもなく、外科治療も基本的に適応になりません。
本症は1991年にDe Vivoらが、髄液糖が持続的に低く、乳児期にてんかん発作と発達遅滞を示す小児例として初めて報告しました(De Vivo病とも呼ばれます)。その後、原因遺伝子としてSLC2A1が同定され、臨床像の幅が広いことが明らかになりました。現在は次のように整理されています。①乳児期発症の難治てんかんに発達遅滞・後天性小頭症・複合運動異常を伴う古典型。②てんかんを伴わず、運動異常や知的障害が主体の非古典型。③発作性労作誘発性ジスキネジア(PED)や早期発症欠神てんかんなどを主徴とする軽症型。これらは連続したスペクトラムと考えられています。赤血球膜の陽イオン漏出を伴い、溶血性貧血を合併するまれな亜型も報告されています。
グルコーストランスポーター1欠損症の疫学・患者数
海外の推計では、出生数万人に1人程度の頻度とする報告があります。ただし軽症例や非典型例は見逃されやすく、実際の頻度はより高い可能性が指摘されています。日本でも診断される患者数は限られていますが、遺伝子検査や髄液検査が普及するにつれて診断例は増えています。未診断のまま「原因不明のてんかん」「脳性麻痺」「発達障害」などとされている例が相当数あると考えられています。発症は乳児期(生後数か月以内のけいれんや異常眼球運動)が典型です。一方で、幼児期の欠神発作、学童期以降の運動誘発性の不随意運動で気づかれる例や、成人になってから診断される例もあります。性差は明らかではありません。
グルコーストランスポーター1欠損症の原因・病態生理
原因はSLC2A1遺伝子(1番染色体短腕)の病的バリアントです。大半は片方のアレルの異常で発症する常染色体顕性(優性)遺伝で、両親には異常がなく、患者で新たに生じた突然変異(de novo変異)であることが多いとされます。親から受け継いだ家族例もあり、その場合は親子で重症度が大きく異なることがあります。まれに常染色体潜性(劣性)遺伝の家系も報告されています。変異の種類は、ミスセンス変異、ナンセンス変異、スプライス異常、フレームシフト、エクソン単位や遺伝子全体の欠失など多様です。一般に、蛋白の機能をほぼ失わせる変異や遺伝子欠失は重症の古典型に、部分的に機能が残るミスセンス変異は軽症型に結びつきやすい傾向があります。ただし、遺伝子型と臨床像の対応は完全ではありません。
脳は体重の数%の重さしかありませんが、全身のブドウ糖消費の大きな割合を占め、ブドウ糖を主なエネルギー源としています。特に乳幼児期は脳の糖消費が成人より多く、シナプス形成や髄鞘化が盛んなため、供給不足の影響を受けやすい時期です。GLUT1の機能が約半分に低下すると、血液から脳へのブドウ糖の移行が律速となり、神経細胞やグリアでATP産生が不足します。その結果、神経の興奮性が不安定になり(てんかん発作)、大脳・小脳・基底核の回路が十分に働かなくなります(運動失調・ジストニア)。発達期に慢性的なエネルギー不足が続くと、脳の成長が妨げられ、後天性小頭症や知的障害につながると考えられています。症状が空腹時・起床時・運動後・発熱時に悪化し、食後に軽くなるのは、脳内のブドウ糖が需要と供給のバランスで変動するためです。一方、ケトン体はGLUT1ではなくモノカルボン酸輸送体(MCT1)を介して脳に取り込まれます。そのため、ケトン食で血中ケトン体を高めると、GLUT1を迂回して脳に代替エネルギーを供給できます。
グルコーストランスポーター1欠損症の症状
- 乳児期発症のてんかん発作: 古典型の多くで、生後数か月以内に無呼吸発作、チアノーゼ、焦点発作、全般性強直間代発作などがみられます。抗てんかん薬が効きにくいことが特徴の一つです。
- 異常眼球運動(eye-head movements): 乳児期に、頭部の動きを伴う素早い衝動性の眼球運動が発作的に繰り返されます。けいれん発作に先立ってみられることがあり、診断の重要な手がかりになります。
- 早期発症欠神てんかん: 4歳未満で発症する欠神発作では本症を疑う必要があり、一部の症例で原因になっていることが報告されています。一般的な欠神てんかんの治療薬が効きにくいこともあります。
- ミオクロニー発作・脱力発作: ミオクロニー脱力発作を伴うてんかん(Doose症候群)に似た発作型を示す例があります。
- 発達遅滞・知的障害: 運動発達や言語発達の遅れがみられます。重症度は境界域から重度までさまざまで、言語表出の障害が目立つことが多いとされます。
- 後天性小頭症: 出生時の頭囲は正常でも、乳幼児期に頭囲の伸びが鈍くなることがあります。すべての症例でみられるわけではありません。
- 運動失調・歩行障害: 小脳性の失調で、ふらつきや不安定な歩行を示します。空腹時や疲労時に悪化しやすい傾向があります。
- ジストニア・舞踏運動などの複合運動異常: 痙性、失調、ジストニア、舞踏運動が組み合わさった運動障害がみられます。年齢とともに目立ってくることがあります。
- 発作性労作誘発性ジスキネジア(PED): 長時間の歩行や運動のあとに、主に下肢にジストニア様の不随意運動が数分〜数十分出現します。学童期以降の軽症型で中心となる症状です。
- 構音障害: 言葉が不明瞭になり、話しにくくなります。小脳性や錐体外路性の要素が関与すると考えられています。
- 空腹・疲労で増悪する発作性症状: 起床時や食前に、意識がぼんやりする、脱力する、片麻痺、頭痛、嗜眠、混乱などがエピソード状に出現し、食事で改善することがあります。
グルコーストランスポーター1欠損症の経過と合併症
古典型では、乳児期のけいれんや異常眼球運動で発症し、幼児期にかけて発達遅滞や運動障害が明らかになります。異常眼球運動は乳児期にみられ、成長とともに目立たなくなることが多いとされます。てんかん発作は思春期以降に軽くなる傾向がある一方、PEDなどの運動異常は学童期以降に前景に出てくることがあります。症状は数時間〜数日単位で変動し、空腹、睡眠不足、疲労、発熱、感染などで悪化します。本症は神経変性疾患のように着実に進行する病気ではありません。ただし、未治療で慢性的なエネルギー不足が続くと、発達期の脳に後から取り戻しにくい影響が残ると考えられています。そのため、知的予後の改善には早期治療が重要です。
合併症として、難治てんかんに伴う転倒・外傷や発作重積があります。運動障害による側弯・関節拘縮、嚥下障害・構音障害、注意欠如や行動上の問題、睡眠障害なども問題になります。ケトン食療法に伴う合併症として、腎結石、便秘、脂質異常、成長への影響、骨密度低下、カルニチン欠乏、導入期の低血糖やアシドーシスなどがあります。そのため、定期的な評価が必要です。まれな亜型では、赤血球からの陽イオン漏出による溶血性貧血を伴います。また、成人例で片頭痛様の頭痛や運動誘発性の症状が残ることが報告されています。
グルコーストランスポーター1欠損症の診断・診断基準
診断は、特徴的な臨床症状から本症を疑うことに始まります。疑うべき状況は、乳児期の異常眼球運動とけいれん、4歳未満で発症する欠神発作、空腹時に悪化し食後に改善する症状、運動誘発性ジスキネジア、原因不明の発達遅滞と運動失調の合併などです。生化学的診断の柱は髄液検査です。4〜6時間程度の絶食後に、腰椎穿刺の直前に血糖を測定し、続けて髄液を採取します。そのうえで、髄液糖値と髄液糖/血糖比の低下を確認します。穿刺時の啼泣やストレスで血糖が上がると比が見かけ上低くなるため、手技には注意が必要です。確定にはSLC2A1遺伝子解析を行います。ただし、臨床的・生化学的に本症と考えられても遺伝子変異が同定されない例が一部にあるため、遺伝子検査が陰性でも臨床診断で治療を開始することがあります。日本の指定難病・小児慢性特定疾病の診断基準では、臨床症状、髄液所見、遺伝子解析などを組み合わせて判定します。
- 髄液糖・髄液糖/血糖比: 感染症や低血糖がないのに髄液糖が低く(多くは40mg/dL程度以下)、髄液糖/血糖比が低値(おおむね0.45未満、典型例ではさらに低い)を示すことが最も重要な所見です。軽症例では境界値をとることもあります。
- 髄液乳酸: 髄液乳酸は正常〜低値を示します。乳酸が高値となるミトコンドリア病や細菌性髄膜炎などとの鑑別に役立ちます。
- 髄液細胞数・蛋白: 細胞数や蛋白は正常です。低髄液糖をきたす髄膜炎(細菌性・結核性・真菌性)や癌性髄膜炎を除外するために必須の確認項目です。
- SLC2A1遺伝子解析: 塩基配列解析に加えて、エクソン欠失などを検出するコピー数解析(MLPA法など)を行います。病的バリアントが同定されれば確定診断となり、遺伝カウンセリングの基礎情報にもなります。
- 脳波: 全般性棘徐波、焦点性の異常、徐波化などがみられますが、本症に特異的な所見はありません。食前に異常が目立ち、食後やブドウ糖投与後に改善する傾向が報告されています。
- 頭部MRI: 多くは正常か非特異的な所見です。他の器質的疾患の除外に用います。
- FDG-PET: 特徴的な糖代謝パターンを示すとする報告がありますが、診断目的の必須検査ではなく、実施できる施設も限られます。
- 赤血球を用いた機能検査: 赤血球の糖取り込み能や赤血球表面のGLUT1発現を測る方法が研究的に用いられています。一般診療では普及していません。
- 血液検査(血糖・溶血の評価): 空腹時血糖が正常であることを確認します。溶血を伴う亜型が疑われる場合には、網赤血球や赤血球形態も評価します。
グルコーストランスポーター1欠損症と鑑別すべき疾患
- ミトコンドリア病・ピルビン酸脱水素酵素複合体欠損症: 発達遅滞、てんかん、失調を示す点は似ていますが、血中・髄液中の乳酸やピルビン酸が上昇する点で区別されます。
- 小児欠神てんかん・ミオクロニー脱力発作を伴うてんかん: 4歳未満の発症、薬剤抵抗性、運動障害の合併があれば、本症を考えて髄液検査を検討します。
- 細菌性・結核性髄膜炎など低髄液糖をきたす疾患: 髄液細胞数と蛋白の上昇、発熱や炎症所見の有無で鑑別します。
- 発作性運動誘発性ジスキネジア(PRRT2関連など): PRRT2関連の発作は急な動作で数秒〜数分誘発されますが、本症のPEDは長時間の運動後に起こり、持続も長い傾向があります。
- 小児交互性片麻痺(ATP1A3関連)・片麻痺性片頭痛: 発作性片麻痺や異常眼球運動が共通しますが、髄液糖は正常で、遺伝子解析で区別します。
- 脳性麻痺・他の遺伝性ジストニア/脊髄小脳変性症: 症状が空腹で変動する、食事で改善するといった特徴や、低髄液糖の有無が鑑別の鍵になります。
グルコーストランスポーター1欠損症の治療
治療の中心は、脳に代替エネルギー源であるケトン体を供給するケトン食療法です。これは症状を一時的に抑える対症療法ではなく、病態そのものに働きかける治療と位置づけられています。てんかん発作や異常眼球運動には比較的早く効果が出やすく、運動障害や認知機能への効果は個人差があります。発達期の脳を守る観点から、診断後できるだけ早く開始し、少なくとも小児期から思春期を通して長く続けることが推奨されています。成人以降も継続することが多くなっています。抗てんかん薬は補助的に用います。GLUT1の機能を抑える可能性がある薬剤や物質は避けます。治療は、小児神経専門医、管理栄養士、看護師などのチームで行い、食事療法の種類や強さは年齢、症状、生活状況に合わせて主治医と相談しながら決めます。
- 古典的ケトン食療法: 脂肪と、糖質+蛋白質の重量比を3:1〜4:1程度にした高脂肪・低糖質食で、安定した高ケトン状態を保ちます。乳児や重症例では第一選択とされ、多くは入院のうえ、血糖やケトン体を監視しながら導入します。
- 修正アトキンス食・低グリセミック指数食: 糖質量を制限し、脂肪は比較的自由にとる緩和型の食事療法です。年長児や成人で継続しやすい反面、ケトン体が上がりにくい場合があります。症状に応じて古典的ケトン食と使い分けます。
- MCT(中鎖脂肪酸)の活用: MCTオイルはケトン体を作りやすいため、ケトン食の脂肪源の一部として用いられます。腹部症状に注意しながら量を調整します。
- ケトン食用特殊ミルク・調整食品: 乳児や経管栄養の患者では、ケトン食用の特殊ミルクを利用できる場合があります。入手方法は主治医や管理栄養士に確認します。
- 栄養補充と副作用予防: ケトン食では不足しやすいビタミン、ミネラル、カルシウム、ビタミンDなどを補充します。必要に応じてカルニチンや、腎結石予防のためのクエン酸製剤などを用います。
- 抗てんかん薬(補助療法): ケトン食だけで発作が抑えられない場合に併用します。フェノバルビタールなど一部の薬剤はGLUT1機能を抑える可能性が報告されており、薬剤選択は専門医が慎重に行います。
- 避けるべき物質への配慮: カフェインなどのメチルキサンチン類(テオフィリンを含む)やアルコールは、GLUT1を阻害する可能性が報告されています。年齢に応じて摂取を控えるよう指導されます。
- リハビリテーション・療育: 運動障害に対する理学療法・作業療法、構音や言語発達への言語聴覚療法、発達特性に応じた療育や特別支援教育を組み合わせます。
- 研究段階の治療: トリヘプタノインなどの代替エネルギー基質や遺伝子治療などが海外で研究されています。現時点では確立した標準治療ではありません。
グルコーストランスポーター1欠損症の予後・長期フォロー
生命予後は一般に良好と考えられています。予後を左右するのは主に神経発達の転帰です。ケトン食療法により、多くの患者でてんかん発作や異常眼球運動が大きく減ります。注意力、活動性、運動機能が改善したという報告も多くあります。一方、すでに生じた知的障害や運動障害は治療を始めても残ることがあるため、乳児期に診断・治療を開始できるかどうかが重要です。軽症型では、症状の管理によりほぼ通常の学校生活や社会生活を送れる人も少なくありません。重症型では、生涯にわたる支援が必要になる場合があります。
長期フォローアップでは、身長・体重・頭囲の成長、発達・知能評価、発作の頻度、運動機能を定期的に評価します。あわせて、ケトン食の安全性を確認するため、血中ケトン体、血糖、脂質、電解質、肝・腎機能、カルニチン、尿中カルシウムを確認します。必要に応じて腎臓超音波検査や骨密度測定も行います。思春期から成人期にかけては、食事療法を自分で管理できるように支援し、小児科から成人診療科へ移行する体制を整えることが課題です。女性では妊娠・出産時の栄養管理や遺伝についての相談も必要になるため、計画的に主治医と話し合っておくことが大切です。
グルコーストランスポーター1欠損症の日常生活の注意点と公的支援(医療費助成)
日常生活では、空腹、長時間の絶食、睡眠不足、過度の疲労、発熱が症状を悪化させやすいことを本人・家族・学校が共有しておくことが大切です。ケトン食療法中は、食事内容を自己判断で変えたり、糖分の多いおやつやジュースをとったりするとケトン状態が崩れ、発作が再発することがあります。給食や行事食、外食、修学旅行などでは、事前に学校や管理栄養士と相談します。風邪や胃腸炎で食事がとれないときは、低血糖や脱水、過度のケトーシスやアシドーシスが起こりやすくなります。早めに主治医へ連絡し、点滴を受ける場合はブドウ糖を含む輸液の扱いについて医療者へ本症であることを必ず伝えます。病名、治療内容、避けるべき薬剤を記載したカードや書類を携帯すると安心です。また、カフェインを含む飲料は控えるよう指導されることが多くあります。遺伝については、多くが新生突然変異であるものの、患者本人が将来子どもをもつ場合は50%の確率で変異が伝わります。親が軽症の保因者である場合もあるため、臨床遺伝専門医や認定遺伝カウンセラーによる遺伝カウンセリングを利用するとよいでしょう。
利用できる制度・相談窓口
グルコーストランスポーター1欠損症は指定難病(告示番号248)であり、診断基準と重症度基準を満たすと、難病医療費助成制度により医療費の自己負担が軽減されます。重症度基準を満たさなくても、医療費が一定額を超える場合に対象となる軽症高額該当の仕組みがあります。18歳未満(継続の場合は20歳未満まで)では小児慢性特定疾病医療費助成の対象となり、日常生活用具給付や自立支援事業も利用できます。申請窓口は都道府県・指定都市の保健所などです。知的障害があれば療育手帳、運動障害が固定していれば身体障害者手帳、精神症状や難治てんかんの程度によっては精神障害者保健福祉手帳の対象となりえます。このほか、特別児童扶養手当、障害児福祉手当、障害福祉サービス(児童発達支援、放課後等デイサービス、居宅介護など)、20歳以降の障害年金も症状に応じて検討できます。相談先には、難病相談支援センター、病院の医療ソーシャルワーカー、小児慢性特定疾病の自立支援員、患者家族会などがあります。最新の制度内容は自治体の窓口や難病情報センターで確認してください。
グルコーストランスポーター1欠損症に伴う心のケア・心理社会的支援
慢性疾患や難病とともに暮らす本人と家族には、抑うつ、不安、適応障害などの心理的負担が生じやすいことが知られています。本症に特有の課題として、厳格なケトン食療法を毎日続けることによる養育者の負担があります。献立作り、計量、外食や行事への対応、きょうだいとの食事の違いなどが、大きなストレスや孤立感につながることがあります。子ども自身も成長とともに、友人と同じものを食べられないつらさや、病気を説明しにくいことに悩むことがあります。思春期には食事療法への反発から治療の継続が難しくなることもあります。診断がつくまでに長い時間がかかった場合は、「もっと早く気づいていれば」という自責の念を抱く家族も少なくありません。こうした気持ちは自然な反応です。主治医、管理栄養士、心理職、医療ソーシャルワーカー、家族会などに早めに相談し、一人で抱え込まないことが大切です。抑うつ気分や不眠が続く場合は、心療内科や精神科での支援も検討してください。
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グルコーストランスポーター1欠損症の受診の目安
- けいれん発作が5分以上続く、または意識が戻らないうちに発作を繰り返す場合は、救急車を呼んでください。
- 発熱、嘔吐、下痢などで食事や水分が十分にとれず、ぐったりしている、意識がぼんやりしている場合は、すぐに受診してください。
- 呼吸が速く深い、強い腹痛や嘔吐が続くなど、ケトン食療法中にアシドーシスが疑われる症状があるときは、早急に主治医へ連絡してください。
- 発作の回数が増えた、新しい種類の発作や不随意運動が現れた場合は、早めに主治医に相談してください。
- 血尿、腰や脇腹の強い痛みがあるときは、腎結石の可能性があるため受診してください。
- 乳児で発作的な異常な目の動き、空腹時に悪化する発作、4歳未満の欠神発作がみられる場合は、小児神経専門医への受診を検討してください。
グルコーストランスポーター1欠損症についてのよくある質問
Q. ブドウ糖や甘いものをたくさん食べれば治りますか?
A. 本症では血糖が正常でも脳への輸送そのものが不足しているため、糖分を多くとっても十分な改善は得られず、ケトン食療法の効果を打ち消してしまいます。食後に一時的に症状が軽くなることはありますが、根本的な治療にはなりません。
Q. ケトン食はいつまで続ける必要がありますか?
A. 脳の発達が続く小児期から思春期は継続することが推奨されており、成人以降も続けると症状が安定しやすいとされます。中止や緩和型の食事への変更は、症状や生活状況を踏まえて主治医と相談して決めてください。
Q. きょうだいや次の子どもにも遺伝しますか?
A. 多くは患者さんで新たに生じた変異で、その場合きょうだいの再発リスクは低いと考えられます。ただし親が軽症の保因者である場合や、まれに性腺モザイクの場合もあるため、遺伝カウンセリングで個別に確認することをおすすめします。
Q. 大人になってから診断されることはありますか?
A. 軽症型では、運動後の不随意運動、てんかん、頭痛などが長年原因不明のまま経過し、成人になってから遺伝子検査で診断される例が報告されています。成人で診断された場合でも、食事療法で症状が改善することがあります。
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この記事について
最終更新: 2026-10-18。発行: 株式会社Medi Face。本ページは、MSDマニュアル プロフェッショナル版、難病情報センター、各学会の診断基準・診療ガイドラインなどの公的・専門的情報を参照して作成した一般的な医学情報であり、診断・治療の代替ではありません。個別の診療は主治医・専門医にご相談ください。参考: MSDマニュアル プロフェッショナル版、難病情報センター。記載内容に誤りや古い情報を見つけた場合はお問い合わせからお知らせください。