慢性再発性多発性骨髄炎

Chronic Recurrent Multifocal Osteomyelitis

慢性再発性多発性骨髄炎(Chronic Recurrent Multifocal Osteomyelitis)|慢性再発性多発性骨髄炎(CRMO)は、細菌感染を伴わずに骨に炎症が起こり、それが複数の部位で、よくなったり悪くなったりを繰り返す自己炎症性の骨疾患です。主に学童期から思春期の子ども、特に女児に多くみられます。骨の痛みや腫れが長く続くため、通学や運動などの日常生活に影響し、背骨に病変がある場合は骨折や変形を残すことがあります。

慢性再発性多発性骨髄炎の要点

慢性再発性多発性骨髄炎(CRMO)は、細菌などの病原体が見つからない無菌性の骨の炎症が、複数の骨で再発と寛解を繰り返す自己炎症性の骨疾患です。主に学童期から思春期の女児に多く発症し、骨の痛みや腫れが長く続き、指定難病(告示番号270)に指定されています。

別名・略称CRMO、慢性非細菌性骨髄炎、CNO、Chronic Nonbacterial Osteomyelitis
分野免疫・膠原病・自己炎症
遺伝形式多くは孤発例。Majeed症候群やDIRAは遺伝性の別病型
好発年齢学童期から思春期、女児に多い
主な症状骨の痛み・腫れが長引き、よくなったり悪くなったりを繰り返す
主な検査画像検査(MRIなど)、骨生検、感染症・腫瘍の除外
主な治療非ステロイド性抗炎症薬が基本。効果不十分な場合はビスホスホネート製剤、TNF阻害薬など
受診する主な診療科小児科、リウマチ・膠原病内科、整形外科

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慢性再発性多発性骨髄炎とは

慢性再発性多発性骨髄炎(Chronic Recurrent Multifocal Osteomyelitis:CRMO)は、病原体を検出できない無菌性の骨髄炎が、多くは複数の骨に、慢性的かつ再発・寛解を繰り返しながら生じる疾患です。現在は、病変が1か所のみの例や再発しない例も含めた広い概念として慢性非細菌性骨髄炎(Chronic Nonbacterial Osteomyelitis:CNO)と呼ばれることも多く、CRMOはその中で多発・再発する典型的な病型と位置づけられます。獲得免疫(自己抗体やT細胞)よりも、好中球・単球など自然免疫の過剰な活性化が中心となる自己炎症性疾患の一つと考えられています。日本では指定難病(告示番号270)に指定されています。

CRMOは1972年にGiedionらにより「亜急性・慢性の対称性骨髄炎」として初めて報告され、その後Probstらが「慢性再発性多発性骨髄炎」の名称を用いて概念が広まりました。成人で掌蹠膿疱症やざ瘡などの皮膚症状と前胸部の骨関節炎を伴うSAPHO症候群(滑膜炎・ざ瘡・膿疱症・骨肥厚・骨炎)とは病態的に重なりが大きく、小児のCRMOと成人のSAPHO症候群は同一スペクトラムの疾患とみなす考え方が有力です。また、単一遺伝子の異常で骨髄炎を生じる疾患として、LPIN2遺伝子変異によるマジード(Majeed)症候群や、IL1RN遺伝子変異によるIL-1受容体拮抗因子欠損症(DIRA)が知られており、これらは症候性・遺伝性の病型として区別されます。

慢性再発性多発性骨髄炎の疫学・患者数

正確な国内患者数は明らかではありませんが、非常にまれな疾患であり、指定難病としての受給者数も限られています。欧州の小児を対象とした調査では、年間発症率が小児10万人あたり0.4人程度と報告されていますが、認知度の低さから診断されていない例も多いと考えられ、実際の頻度はより高い可能性が指摘されています。発症年齢は2歳ごろから思春期まで幅がありますが、7〜12歳ごろの学童期に多く、発症の中央値はおおむね9〜10歳前後とされます。性別では女児に多く、男女比はおよそ1:2前後と報告されています。成人発症例も存在し、その多くはSAPHO症候群として診断されます。日本の成人例では掌蹠膿疱症に伴う胸肋鎖骨の骨関節炎(掌蹠膿疱症性骨関節炎)が比較的多いことが知られています。

慢性再発性多発性骨髄炎の原因・病態生理

CRMOの原因は完全には解明されていませんが、遺伝的素因を背景とした自然免疫系の調節異常が中心と考えられています。家族内発症例や、乾癬・炎症性腸疾患などの炎症性疾患の家族歴が多いことから、多因子遺伝の関与が示唆されます。多くの患者で単一の原因遺伝子は同定されていませんが、まれな単一遺伝子疾患としてマジード症候群(LPIN2、常染色体潜性遺伝)やDIRA(IL1RN、常染色体潜性遺伝)が知られ、骨髄炎に加え前者では先天性赤血球形成異常性貧血や好中球性皮膚症、後者では新生児期からの膿疱性皮疹を伴います。マウスでは PSTPIP2 遺伝子の異常が無菌性骨髄炎を起こすモデルとして研究されています。感染症が引き金になっている可能性も議論されてきましたが、病変部から一貫した病原体は検出されず、抗菌薬も無効であることから、感染そのものが原因であるとは考えられていません。

発症機序の研究では、患者の単球において抗炎症性サイトカインであるIL-10の産生低下と、IL-1β・IL-6・TNF-αなど炎症性サイトカインの過剰産生という不均衡が報告されています。IL-10の産生低下にはMAPK(ERK)経路の異常やエピジェネティックな変化が関与すると考えられ、その結果としてNLRP3インフラマソームの活性化が抑えられずIL-1βが過剰に放出されると推測されています。骨の中で炎症性サイトカインが増えると、RANKLの発現が高まり破骨細胞が活性化して骨吸収(骨の溶解)が進み、同時に反応性の骨形成(骨硬化・骨膜反応)も起こります。病理学的には、初期は好中球を主体とする急性炎症、その後リンパ球・形質細胞・組織球の浸潤と線維化、骨硬化へと移行し、急性期と慢性期の所見が混在するのが特徴です。この骨吸収・骨形成の両面への作用が、ビスホスホネートやTNF阻害薬などが治療に用いられる理論的根拠となっています。

慢性再発性多発性骨髄炎の症状

  • 骨の痛み: 最も多い症状で、病変部位に持続的または間欠的な痛みが生じます。夜間や安静時にも痛むことがあり、成長痛と誤認されることもあります。
  • 局所の腫れ・熱感: 病変部の腫脹や熱感、圧痛がみられ、特に鎖骨や下顎など皮膚に近い骨では腫れが目立ちます。
  • 多発する病変部位: 大腿骨遠位や脛骨などの長管骨の骨幹端、骨盤、脊椎、鎖骨内側、下顎骨などが好発部位で、左右対称に生じることもあります。画像で初めて見つかる無症状の病変も少なくありません。
  • 跛行・歩行障害: 下肢や骨盤に病変があると、足を引きずる、走れないなどの症状が出て、体育や通学に支障をきたします。
  • 背部痛・脊椎病変: 椎体に病変があると背部痛を生じ、進行すると椎体圧迫骨折や脊柱後弯などの変形を起こすことがあるため、特に注意が必要です。
  • 微熱・倦怠感: 高熱はまれですが、微熱、だるさ、食欲低下など全身症状を伴うことがあります。
  • 関節炎: 病変が関節の近くにある場合や併発する関節炎により、関節の腫れや可動域制限がみられることがあります。
  • 掌蹠膿疱症: 手のひらや足の裏に無菌性の膿疱が繰り返しできる皮膚症状で、CRMOやSAPHO症候群との関連がよく知られています。
  • 乾癬・ざ瘡などの皮膚症状: 尋常性乾癬、重症のざ瘡(にきび)、まれに壊疽性膿皮症やスイート病などの好中球性皮膚症を合併することがあります。
  • 消化器症状: 腹痛、下痢、血便などがみられる場合、クローン病などの炎症性腸疾患の合併を考える必要があります。

慢性再発性多発性骨髄炎の経過と合併症

経過は個人差が大きく、数か月で症状が落ち着く例から、数年から10年以上にわたり再燃と寛解を繰り返す例までさまざまです。新たな部位に病変が出現したり、一度治まった部位が再燃したりすることがあり、自覚症状がなくても画像上で活動性の病変が残っていることがあります。多くの例では思春期以降、骨の成長が終わる頃に活動性が低下する傾向がありますが、成人期まで持続する例も一定の割合で報告されています。発症から診断までに時間を要することが多く、その間に骨変形が進行することがあるため、早期の診断が重要です。

合併症として最も重要なのは、脊椎病変による椎体圧迫骨折とそれに伴う脊柱後弯・側弯などの変形です。長管骨の骨幹端(成長板の近く)の病変は、成長障害、脚長差、骨の変形、早期の骨端線閉鎖をきたすことがあります。下顎骨病変では顔貌の非対称や咬合異常が生じることがあります。そのほか、慢性疼痛の持続、病変部近くの関節炎、骨肥厚による圧迫症状がみられることがあります。骨外合併症としては、掌蹠膿疱症・乾癬などの皮膚疾患、クローン病などの炎症性腸疾患、仙腸関節炎や脊椎関節炎があり、これらは骨病変と時期をずらして出現することもあるため長期的な観察が必要です。

慢性再発性多発性骨髄炎の診断・診断基準

CRMOには単独で診断を確定できる血液マーカーがないため、特徴的な臨床像と画像所見を確認し、感染性骨髄炎や悪性腫瘍などを確実に除外することが診断の基本です。まず症状の経過、部位、皮膚・腸症状や家族歴を詳しく聴取し、血液検査と単純X線を行います。次にMRI(可能であれば全身MRI)で病変の広がりと無症状の病変を評価します。病変が単発の場合や、血液検査で異常が目立つ場合、画像が非典型的な場合には、骨生検による病理組織検査と培養検査で感染症や腫瘍を除外することが強く勧められます。国際的にはJanssonらの診断スコアやBristol診断基準などが提唱されており、日本の指定難病の診断基準も、臨床症状、画像所見、病理・培養所見、他疾患の除外を組み合わせて判定する構成になっています。

  • 血液検査: CRPや赤沈は正常〜軽度上昇にとどまることが多く、白血球数も通常は正常です。著しい炎症反応、血球減少、LDH上昇などがある場合は感染症や白血病などの悪性疾患をより強く疑います。
  • 単純X線検査: 骨幹端の溶骨性病変、周囲の硬化、骨膜反応などがみられますが、初期には正常のことも多く、感度は高くありません。
  • MRI検査: STIR像などで病変部の骨髄浮腫(高信号)、骨膜炎、周囲軟部組織の炎症を鋭敏に描出し、活動性の評価に有用です。膿瘍や瘻孔形成がないことが細菌性骨髄炎との鑑別点になります。
  • 全身MRI: 放射線被ばくがなく、無症状の病変を含めた全身の病変分布を一度に把握できるため、診断と治療効果判定の中心的な検査になりつつあります。脊椎病変の早期発見にも役立ちます。
  • 骨シンチグラフィー: 全身の骨病変の検出に用いられますが、放射線被ばくがあり、成長板への生理的集積と区別しにくいことがあるため、施設により全身MRIと使い分けられます。
  • 骨生検(病理組織検査): 非特異的な急性・慢性炎症細胞浸潤、線維化、骨硬化などがみられ、悪性腫瘍やランゲルハンス細胞組織球症を除外するうえで重要です。
  • 病変部の培養検査: 一般細菌、抗酸菌などの培養が陰性であることを確認し、感染性骨髄炎を除外します。抗菌薬投与前の検体採取が望まれます。
  • 国際的な診断基準・スコア: Bristol診断基準やJanssonらの臨床スコアは、典型的な画像所見と除外診断を組み合わせて評価するもので、生検の要否を判断する参考になります。
  • 遺伝学的検査: 乳幼児期発症、貧血や新生児期からの膿疱性皮疹、近親婚や家族歴などがある場合は、LPIN2やIL1RNなど単一遺伝子性疾患の検索が検討されます。

慢性再発性多発性骨髄炎と鑑別すべき疾患

  • 細菌性(感染性)骨髄炎: 高熱や著明な炎症反応、膿瘍形成を伴いやすく、培養で起炎菌が検出され抗菌薬が奏効する点が異なります。
  • 悪性骨腫瘍(ユーイング肉腫・骨肉腫など): 単発性で進行性の骨破壊や軟部腫瘤を示すことが多く、病理組織検査による鑑別が必須です。
  • 白血病・リンパ腫・神経芽腫の骨転移: 夜間痛や多発骨病変を示しCRMOと紛らわしいため、血球異常やLDH上昇、骨髄検査や生検で除外します。
  • ランゲルハンス細胞組織球症: 打ち抜き様の溶骨性病変を示し、生検でCD1a・ランゲリン陽性細胞の増殖を確認することで鑑別します。
  • 若年性特発性関節炎(付着部炎関連関節炎を含む): 主病変が関節や付着部であり、骨髄内の炎症病変が主体となるCRMOとは画像所見の分布が異なりますが、両者が併存することもあります。
  • 類骨骨腫などの良性骨病変: 夜間痛とNSAIDsの著効という点で似ますが、CTで特徴的なナイダス(小病巣)を認め単発である点が異なります。

慢性再発性多発性骨髄炎の治療

治療の目標は、痛みと炎症を抑えて日常生活を取り戻すこと、そして椎体骨折や成長障害などの不可逆的な骨の障害を防ぐことです。抗菌薬は無効であり、炎症を抑える治療が中心になります。一般的には非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が第一選択とされます。効果が不十分な場合や、脊椎病変・骨変形のおそれがある場合には、ビスホスホネート、TNF阻害薬、その他の免疫調整薬などの二次治療が検討されます。北米の小児リウマチ研究グループ(CARRA:Childhood Arthritis and Rheumatology Research Alliance)などから治療計画の合意案が示されていますが、薬剤の多くは日本ではCRMOに対する保険適用がなく、使用は専門施設の判断によります。治療効果は症状だけでなく、MRIでの病変の改善も含めて評価します。具体的な治療の選択は、病変部位や重症度、年齢に応じて、小児リウマチ科や整形外科などの専門医と相談して決めることが大切です。

  • 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs): 第一選択の治療で、ナプロキセンなどが用いられ、多くの患者で痛みが改善し、一部では画像上の寛解も得られるとされます。数か月単位で効果を評価し、胃腸障害や腎機能への影響に注意します。
  • ビスホスホネート製剤: 破骨細胞による骨吸収を抑える薬で、パミドロネートの点滴などが脊椎病変やNSAIDs抵抗例に用いられ、疼痛軽減や椎体の形態改善が報告されています。急性期反応(発熱など)や低カルシウム血症に注意が必要で、本疾患への保険適用はありません。
  • TNF阻害薬: インフリキシマブやアダリムマブなどが難治例、特に乾癬や炎症性腸疾患を合併する例で有効との報告があります。感染症リスクの評価と管理が必要です。
  • メトトレキサート・スルファサラジン: 従来型の免疫調整薬として難治例に用いられることがありますが、骨病変に対する有効性の根拠は限られているとされます。
  • 副腎皮質ステロイド: 強い炎症の短期的な鎮静に用いられることがありますが、成長障害や骨粗鬆症などの副作用があるため、長期使用は一般に避けられます。
  • IL-1阻害など遺伝性病型への対応: DIRAなどIL-1が中心となる遺伝性病型ではIL-1を標的とする治療の有効性が報告されており、専門施設での個別検討が必要です。
  • 外科的治療: 手術は原則として不要ですが、診断目的の生検、脊椎の不安定性や重い変形、脚長差に対する整形外科的処置が必要になる場合があります。
  • リハビリテーション・疼痛管理: 関節可動域や筋力の維持、姿勢指導、必要に応じた装具の使用により機能を保ちます。慢性疼痛が残る場合には多職種での疼痛管理が役立ちます。
  • 合併症の治療: 掌蹠膿疱症・乾癬は皮膚科、炎症性腸疾患は消化器科と連携して治療し、骨病変と合わせて全身の炎症を管理します。

慢性再発性多発性骨髄炎の予後・長期フォロー

CRMOが生命に直接関わることはまれで、生命予後は良好と考えられています。多くの患者は治療によって症状が改善し、成長とともに活動性が落ち着いていきます。一方で、長期追跡研究では、成人期まで症状や画像上の活動性病変が持続する例、慢性的な痛みや運動制限が残る例も一定数報告されています。機能的な予後に大きく影響するのは脊椎病変による圧迫骨折・後弯変形や、成長板近くの病変による脚長差・骨変形であり、これらを早期に見つけて治療することがQOLを保つうえで重要です。

寛解しているように見えても無症状のまま病変が活動していることがあるため、定期的な診察と血液検査に加え、MRI(特に全身MRI)による経過観察が勧められます。脊椎病変がある場合は、骨折や変形の有無を慎重に追跡します。成長期には身長、脚長差、姿勢の評価も必要です。皮膚症状、腸症状、腰背部痛(仙腸関節炎)などの新たな合併症が後から出現することもあるため、症状の変化を記録して受診時に伝えることが役立ちます。小児期に発症した患者が成人になる際には、小児科から成人診療科への移行期医療を計画的に進めることが大切です。

慢性再発性多発性骨髄炎の日常生活の注意点と公的支援(医療費助成)

病状が落ち着いている時期は、骨への強い衝撃や過度の負担を避けつつ、可能な範囲で通学や運動を続けることが心身の健康維持に役立ちます。脊椎に病変がある場合は、重い荷物を持つ、強い衝撃のかかるスポーツなどについて主治医と相談してください。体育の参加範囲や休み時間の過ごし方などについては、診断書や意見書を活用して学校と情報を共有し、配慮を受けられるようにしておくと安心です。痛みの強さ、部位、服薬状況、皮膚・腸症状を日記やアプリで記録しておくと、再燃の早期発見や治療効果の判定に役立ちます。NSAIDsを長期服用する場合は空腹時の服用を避け、胃痛や黒色便に注意します。免疫を抑える薬を使用している場合は、感染予防と予防接種の時期について主治医と相談します。骨の健康のため、バランスの良い食事、適度なカルシウム・ビタミンDの摂取も大切です。ほとんどのCRMOは単一遺伝子の病気ではなく、きょうだいや子どもに必ず遺伝するものではありませんが、マジード症候群などの遺伝性病型が疑われる場合には、遺伝カウンセリングを受けて家族への影響を確認することが勧められます。

利用できる制度・相談窓口

慢性再発性多発性骨髄炎は指定難病であり、診断基準と重症度基準を満たす場合、または軽症でも高額な医療費が継続する場合(軽症高額該当)には、難病医療費助成制度により医療費の自己負担が軽減されます。申請には難病指定医による臨床調査個人票が必要で、窓口は都道府県・指定都市の担当課や保健所です。18歳未満(継続の場合は20歳未満まで)の患者は、小児慢性特定疾病医療費助成制度の対象となる可能性があり、自立支援事業などの支援も利用できます。脊椎変形や運動機能障害が固定した場合は身体障害者手帳、日常生活に著しい制限がある場合には障害年金(20歳以降)の対象となることがあります。また、指定難病の患者は障害者総合支援法の障害福祉サービスの対象にもなります。相談窓口としては、各都道府県の難病相談支援センター、保健所の保健師、医療機関の医療ソーシャルワーカー、小児慢性特定疾病児童等自立支援員などが利用でき、制度の具体的な要件は自治体ごとに確認してください。

慢性再発性多発性骨髄炎に伴う心のケア・心理社会的支援

慢性的な骨の痛みや、いつ再燃するかわからない不安は、子どもにも家族にも大きな心理的負担になります。長引く痛みは睡眠不足や集中力の低下を招き、不安、抑うつ、学校に行きづらくなるなどの適応上の問題につながることがあります。CRMOに特有の課題として、診断がつくまでに長い時間がかかり、その間「成長痛」「気のせい」と言われ周囲に理解されなかった経験が、本人や家族の不信感や孤立感につながることがあります。また、腫瘍や感染症を除外するための検査や生検の過程そのものが強い不安を伴います。見た目ではわかりにくい病気であるため、体育を見学することや欠席が増えることについて友人や教師に説明しにくいことも少なくありません。思春期には進路や部活動の選択、薬の継続、体の変形への悩みなどが加わります。気持ちのつらさは病気の一部として当然起こりうるものであり、我慢せずに主治医、看護師、臨床心理士、医療ソーシャルワーカー、学校のスクールカウンセラーなどに相談することが大切です。必要に応じて児童精神科や心療内科での支援を受けることも選択肢となり、家族会や患者会で同じ病気の人と交流することが支えになる場合もあります。

Medi Faceでは、慢性疾患に伴うこころの不調についてのオンライン相談も行っています。お問い合わせはこちら。

慢性再発性多発性骨髄炎の受診の目安

  • 骨の痛みや腫れが2〜3週間以上続く、繰り返す、または夜間にも痛む場合は、小児科や整形外科を受診してください。
  • 高熱を伴って骨の痛みや腫れが急に強くなった場合は、細菌性骨髄炎などの可能性があるため早めに受診してください。
  • 強い背部痛が出現した、背中が曲がってきた、手足のしびれや力が入りにくいなどの症状がある場合は速やかに受診してください。
  • 足を引きずる、歩けないなど日常動作に支障が出た場合は、再燃や骨折の可能性があるため受診してください。
  • 血便や持続する下痢・腹痛、体重減少、手のひらや足の裏の膿疱などの新たな症状が出た場合は主治医に相談してください。
  • 免疫を抑える薬の使用中に発熱や感染症状が続く場合や、薬による胃痛・黒色便がある場合は早めに医療機関に連絡してください。

慢性再発性多発性骨髄炎についてのよくある質問

Q. 「骨髄炎」と言われましたが、抗菌薬は効かないのですか?

A. CRMOは細菌感染によるものではなく、免疫の過剰な炎症によって起こる病気のため、抗菌薬では改善しません。ただし、細菌性骨髄炎との区別が重要なので、必要に応じて生検や培養検査で確認したうえで治療方針が決まります。

Q. 子どもの成長に影響しますか?

A. 成長板の近くや背骨に病変がある場合、脚長差や骨の変形、椎体の圧迫骨折などが起こることがあります。早期に診断し、炎症を適切に抑え、定期的に画像検査で確認することで、こうした影響を減らすことが期待されます。

Q. 大人になれば治りますか?

A. 多くの患者は思春期以降に病気の活動性が落ち着く傾向がありますが、成人期まで症状が続く例もあります。症状がなくなっても、主治医の指示に従ってしばらく経過観察を続けることが大切です。

Q. 兄弟や将来の子どもに遺伝しますか?

A. ほとんどのCRMOは複数の遺伝的要因と環境要因が関わると考えられ、家族に必ず遺伝する病気ではありません。乳児期発症や貧血を伴うなど遺伝性の病型が疑われる場合には、遺伝カウンセリングで詳しく相談できます。

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最終更新: 2026-10-18。発行: 株式会社Medi Face。本ページは、MSDマニュアル プロフェッショナル版、難病情報センター、各学会の診断基準・診療ガイドラインなどの公的・専門的情報を参照して作成した一般的な医学情報であり、診断・治療の代替ではありません。個別の診療は主治医・専門医にご相談ください。参考: MSDマニュアル プロフェッショナル版、難病情報センター。記載内容に誤りや古い情報を見つけた場合はお問い合わせからお知らせください。