レーベル遺伝性視神経症
Leber Hereditary Optic Neuropathy (LHON)
レーベル遺伝性視神経症(Leber Hereditary Optic Neuropathy (LHON))|レーベル遺伝性視神経症(LHON)は、ミトコンドリアDNA(mtDNA)の点変異により、網膜神経節細胞と視神経が障害される遺伝性の視神経症です。主に10〜30歳代の男性に、痛みを伴わない急な中心視力低下として発症します。片眼に続いて数週間〜数か月で他眼にも及ぶことが多く、就学・就労・運転など生活の広い範囲に影響します。
レーベル遺伝性視神経症の要点
レーベル遺伝性視神経症(LHON)は、母系遺伝するミトコンドリアDNAの変異により網膜神経節細胞と視神経が障害され、痛みを伴わない中心視力低下が両眼に起こる疾患です。10〜30歳代の男性に多く、日本では指定難病(告示番号302)に指定されています。
| 別名・略称 | LHON、レーベル病、レーベル視神経症、Leber遺伝性視神経症、Leber hereditary optic neuropathy |
|---|---|
| 分野 | 眼・耳鼻咽喉疾患 |
| 遺伝形式 | 母系遺伝(ミトコンドリア遺伝)。まれに核遺伝子DNAJC30の常染色体潜性型 |
| 好発年齢 | 10〜30歳代、男性に多い |
| 主な症状 | 無痛性の中心視力低下と中心暗点。片眼から数週〜数か月で両眼へ |
| 主な検査 | 視力・視野・眼底検査、ミトコンドリアDNAの遺伝子検査 |
| 主な治療 | 根治療法は確立しておらず、視覚補助などの支援が中心 |
| 受診する主な診療科 | 眼科(神経眼科) |
レーベル遺伝性視神経症とは
LHONは、母系遺伝するmtDNAの病的変異によって、網膜神経節細胞(RGC)が選択的に変性・脱落する疾患です。その結果、両眼に亜急性の視力低下と中心暗点が生じます。原因変異をもつ人(保因者)のすべてが発症するわけではなく、浸透率は不完全で、男性に発症が偏ることが大きな特徴です。視神経に限局した障害が典型ですが、一部では神経症状や心伝導異常などを伴い、全身性のミトコンドリア病の一表現型としても位置づけられます。日本では指定難病(告示番号302)に指定されています。
1871年にドイツの眼科医テオドール・レーベルが、家族内に集積する若年男性の両眼性視神経症として報告したのが疾患名の由来です。1988年、Wallaceらがm.11778G>A変異を同定しました。これは、ヒト疾患の原因としてmtDNAの点変異が示された最初期の例です。その後、m.3460G>A、m.14484T>Cとあわせた3つが「主要3変異」とされ、全患者の約9割を占めるとされます。主要3変異はいずれも、呼吸鎖複合体Iのサブユニット遺伝子(それぞれND4、ND1、ND6)にあります。このほか、まれな病的変異も多数報告されています。視神経症に加えてジストニアや多発性硬化症様の脱髄病変などを伴う病型は「LHONプラス」と呼ばれます。近年は、核遺伝子DNAJC30の両アレル変異による常染色体潜性(劣性)遺伝のLHON様病型も報告されています。
レーベル遺伝性視神経症の疫学・患者数
欧州の調査では、有病率はおおむね数万人に1人程度と報告されています。国内の全国疫学調査では、年間の新規発症者数を100人前後と推計した報告があります。日本人患者ではm.11778G>A変異が大多数を占めるとされます。発症のピークは15〜35歳ですが、小児期から高齢期まで幅広い年齢で発症しえます。患者の約8〜9割は男性です。保因者のうち生涯に発症するのは、男性で約半数、女性で1割前後と推定されています。女性で発症率が低い理由として、エストロゲンの保護作用、X染色体上の修飾遺伝子、mtDNAハプログループ、喫煙・飲酒などの環境因子が関与するという仮説が検討されていますが、完全には解明されていません。
レーベル遺伝性視神経症の原因・病態生理
ミトコンドリアは卵子の細胞質を通じて母親からのみ子に伝わります。そのため、変異は母系遺伝し、父親から子へは伝わりません。主要3変異はいずれも呼吸鎖複合体I(NADH:ユビキノン酸化還元酵素)の構成遺伝子にあり、複合体Iの機能を低下させます。多くの患者では、すべてのmtDNAが変異型となった「ホモプラスミー」の状態にあります。正常型と変異型が混在する「ヘテロプラスミー」では、変異率が低いほど発症リスクが低いとされます。同じ変異をもつ家系内でも発症の有無や重症度が大きく異なります。このことから、核遺伝子やmtDNA背景(ハプログループ)、性別、喫煙、多量飲酒、一部の薬剤や毒性物質への曝露などの修飾因子が発症に関わる「多因子的な閾値モデル」が想定されています。なお、LHONは自己免疫疾患ではありません。免疫機序が主因であるとする記載は誤りです。
複合体Iの機能が落ちると、ATP産生が低下し、活性酸素種(ROS)が増加します。その結果、ミトコンドリア膜電位の破綻とアポトーシス(細胞死)が誘導されると考えられています。RGCの軸索は眼球内から篩状板を通過するまで無髄で、伝導に多くのエネルギーを必要とします。なかでも黄斑部から視神経乳頭へ向かう乳頭黄斑線維束は、細い線維が密集していて特に脆弱です。そのため、障害はここから始まり、中心暗点として現れます。一方、光に反応するメラノプシン含有RGCは比較的保たれるとされ、視力低下の程度に比べて瞳孔反応が保たれる理由と考えられています。急性期には、軸索内輸送の停滞による神経線維層の腫脹や乳頭周囲の微小血管拡張がみられます。その後、数か月の経過で軸索が失われ、視神経萎縮に至ります。
レーベル遺伝性視神経症の症状
- 無痛性の急性〜亜急性視力低下: 数日〜数週間で片眼の中心視力が低下します。眼痛や眼球運動痛を伴わないことが、視神経炎との重要な違いです。
- 両眼性への進展: 多くは片眼の発症から数週間〜数か月以内に他眼にも同様の視力低下が起こります。両眼同時に気づく例も少なくありません。
- 高度な視力障害: 最終的な矯正視力は0.1未満となることが多く、指数弁程度まで低下する例もあります。完全な失明(光覚なし)に至ることはまれとされます。
- 中心暗点・盲点中心暗点: 視野の中心が暗く見えにくくなり、マリオット盲点とつながった暗点として検出されることもあります。周辺視野は比較的保たれます。
- 色覚異常: 早期から赤緑系を中心に色の見分けが悪くなり、視力低下に先行して気づかれることもあります。
- コントラスト感度低下・まぶしさ: 文字や顔の判別が難しくなり、明るい場所でまぶしさを訴えることがあります。
- 比較的保たれる瞳孔反応: 視力低下の程度の割に対光反射が保たれる傾向があります。両眼性では相対的瞳孔求心路障害(RAPD)がはっきりしないこともあります。
- ウートフ現象: 一部の患者で、運動や入浴などで体温が上がると一時的に見えにくさが増すことがあります。
- 神経症状(LHONプラス): ジストニア、振戦、末梢神経障害、小脳失調、多発性硬化症様の脱髄病変などを伴う例が報告されています。
- 心伝導異常: WPW症候群などの早期興奮症候群やQT延長がみられる例が報告されており、動悸や失神の評価が必要になる場合があります。
レーベル遺伝性視神経症の経過と合併症
経過は、無症状期(保因者)、急性期(発症から約6か月)、亜急性期・動的期(6〜12か月)、慢性期(1年以降)に分けて理解されます。急性期には視力と視野が急速に悪化し、眼底に乳頭の偽浮腫や乳頭周囲の毛細血管拡張がみられます。発症後半年前後で視力はおおむね最低値に達して固定し、視神経乳頭は耳側から蒼白化して萎縮に至ります。一部の患者では、発症から1年以上経ってから中心暗点の中に小さな見える領域が生じ、部分的に視力が自然回復することがあります。回復の可能性は変異の種類で異なり、m.14484T>Cで最も高く、m.11778G>Aで最も低く、m.3460G>Aはその中間とされます。また、小児期(おおむね12〜15歳未満)の発症例は回復傾向が良好とされます。
視神経以外の合併症として、多発性硬化症に類似した脱髄性病変(ハーディング病と呼ばれ、女性やm.11778G>A変異で報告が多い)があります。そのほか、ジストニアや線条体病変(一部のND6変異でリー脳症様の重症例)、末梢神経障害、心伝導異常(早期興奮症候群など)、骨格異常の報告があります。視機能の喪失に伴う二次的な問題も重要です。転倒・外傷、就学・就労上の困難、社会的孤立、抑うつなどがQOLに大きく影響します。
レーベル遺伝性視神経症の診断・診断基準
若年者、とくに男性に無痛性の両眼性(または片眼から他眼へ進む)視力低下と中心暗点がみられた場合に、LHONを疑います。まず視力・視野・色覚・眼底・光干渉断層計(OCT)で視神経症の特徴を確認し、MRIや血液検査で圧迫性・炎症性・中毒性・栄養性の視神経症を除外します。そのうえで血液を用いたmtDNA遺伝学的検査を行い、病的変異を同定して確定します。母方の血縁者に原因不明の視力障害者がいれば、強い手がかりになります。ただし家族歴がはっきりしない孤発例も少なくありません。指定難病の診断基準では、臨床所見、ほかの視神経疾患の除外、遺伝子変異の検出などを組み合わせて判定します。医療費助成には、視力などに基づく重症度基準を満たす必要があります。
- 視力・視野検査: 矯正視力の高度な低下と、中心暗点・盲点中心暗点を確認します。動的・静的視野検査で経過を追い、重症度判定や障害認定にも用います。
- 眼底検査: 急性期には乳頭の発赤・偽浮腫、乳頭周囲の毛細血管拡張、血管の蛇行がみられます。慢性期には耳側優位の視神経萎縮を示します。急性期でも眼底がほぼ正常な例もあります。
- 光干渉断層計(OCT): 急性期には乳頭周囲網膜神経線維層の肥厚、慢性期には菲薄化を示し、早期から黄斑部の神経節細胞層が薄くなることが報告されています。保因者の経過観察にも有用です。
- フルオレセイン蛍光眼底造影: 乳頭が腫れて見えても色素の漏出がない「偽浮腫」であることが特徴で、真の乳頭浮腫や炎症との鑑別に役立ちます。
- 色覚検査・中心フリッカー値: 色覚障害と中心フリッカー値の低下が早期から目立ち、視神経障害の客観的な補助所見になります。
- 視覚誘発電位(VEP)・網膜電図(ERG): VEPでは振幅低下や潜時延長がみられます。全視野ERGは基本的に正常で、網膜疾患との鑑別に用います(パターンERGでは神経節細胞機能の低下を反映する所見が得られることがあります)。
- 頭部・眼窩MRI: 視神経や視交叉を圧迫する腫瘍、脱髄性疾患、炎症を除外するために必須です。LHONでも視神経にT2高信号がみられることがあり、脳白質病変の有無も確認します。
- ミトコンドリアDNA遺伝学的検査: 主要3変異(m.11778G>A、m.3460G>A、m.14484T>C)をまず検索し、陰性の場合はmtDNA全周解析などでまれな変異を調べます。ヘテロプラスミー率の評価も参考になります。
- 除外のための血液検査・心電図: ビタミンB12・葉酸、梅毒、抗アクアポリン4抗体・抗MOG抗体などで他疾患を除外します。心電図で早期興奮症候群などの伝導異常をスクリーニングします。
レーベル遺伝性視神経症と鑑別すべき疾患
- 視神経炎(多発性硬化症・視神経脊髄炎関連を含む): 眼球運動痛を伴うことが多く、MRIで視神経の造影増強や抗AQP4/MOG抗体陽性を示し、ステロイドに反応しうる点が異なります。
- 圧迫性視神経症(下垂体腫瘍・髄膜腫など): 緩徐に進行し、両耳側半盲など病変部位に対応した視野欠損を示します。MRIで病変が確認されます。
- 中毒性・栄養性視神経症: エタンブトール、メタノール、ビタミンB12欠乏、多量飲酒・喫煙などの曝露歴があり、両眼対称性の中心暗点を示します。原因の除去で改善しうる点が異なります。
- 常染色体顕性(優性)視神経萎縮(OPA1関連など): 小児期から潜行性に両眼の視力が緩徐に低下し、父親からも遺伝しうる点が異なります。
- 非動脈炎性前部虚血性視神経症: 主に中高年に突然発症し、乳頭の浮腫と水平半盲型の視野欠損を伴い、血管危険因子をもつことが多い点が異なります。
- ウォルフラム症候群・黄斑ジストロフィー: 前者は若年発症の糖尿病・尿崩症・難聴などを、後者は黄斑の網膜病変やERG異常を伴う点で区別されます。
レーベル遺伝性視神経症の治療
現時点で、失われた視機能を確実に回復させる根本治療は確立していません。治療は、①急性期の病態進行を抑える可能性がある薬物療法の検討、②発症や増悪に関与しうる環境因子の回避、③ロービジョンケアと社会的支援による生活機能の維持、を柱とします。視神経炎と誤認されてステロイドパルス療法が行われることがありますが、LHONに対する有効性は示されていません。そのため、早期の正確な診断が重要です。新しい治療は臨床研究の段階にあるものが多く、適応や利用可能性は変わりうるため、神経眼科専門医と十分に相談してください。
- イデベノン: 電子伝達を補助する短鎖ベンゾキノン系の抗酸化薬で、欧州では2015年に、発症早期のLHONを対象として「例外的承認」の枠組みで承認されています。国内では本症の適応はなく、使用は臨床研究や個別の判断に限られるとされます。
- 遺伝子治療(研究段階): m.11778G>Aを対象に、正常なND4遺伝子をアデノ随伴ウイルスベクターで硝子体内に投与する治療の臨床試験が国内外で行われています。国内で一般診療として承認されたものはありません。
- その他の薬物・臨床研究: コエンザイムQ10やビタミン類が用いられることもありますが、有効性の根拠は限られています。新規の抗酸化薬なども研究されています。
- 環境因子の回避: 喫煙と多量飲酒は発症・増悪との関連が報告されており、患者・保因者ともに禁煙と節酒が強く勧められます。ミトコンドリア毒性が知られる一部の薬剤は、主治医と相談して慎重に使用します。
- ロービジョンケア: 中心暗点を避けて周辺網膜で見る偏心視の訓練、拡大鏡・拡大読書器、遮光眼鏡、タブレット端末の拡大・音声読み上げ機能などを、視能訓練士などと調整します。
- 歩行訓練・生活訓練: 視覚障害者向けの歩行訓練(白杖の使用など)や日常生活動作の訓練を、福祉機関や視覚障害者支援施設で受けることができます。
- 合併症の管理: 心伝導異常に対しては循環器内科、ジストニアや脱髄性病変に対しては脳神経内科で、それぞれの疾患に応じた治療を行います。
- 遺伝カウンセリング: 母系遺伝の仕組み、不完全浸透、家族の保因者診断の意義と限界について、臨床遺伝専門医や認定遺伝カウンセラーから情報提供と心理的支援を受けます。
レーベル遺伝性視神経症の予後・長期フォロー
生命予後は、視神経に限局する典型例ではおおむね良好で、寿命への影響は少ないと考えられています。一方、視機能の予後は厳しく、多くの患者では両眼に高度の視力障害が残り、身体障害者手帳の視覚障害に該当する水準となることがあります。ただし周辺視野が保たれるため、慣れた環境での歩行など一定の生活動作は自立できる例が多くみられます。前述のとおり、m.14484T>C変異例や若年発症例では部分的な自然回復が期待できる場合があります。自然回復は発症後数年にわたって起こりうるため、長期的な視点で評価します。
発症後は、急性期から1年程度は数か月ごとに視力・視野・OCTで経過を確認し、その後も年1回程度の定期受診が勧められます。片眼のみ発症した時期には、他眼の発症を早く捉えることが重要です。保因者と判明した血縁者については、症状が出た際に早く受診できる体制を整えておきます。神経症状や心電図異常の有無も定期的に評価し、必要に応じて脳神経内科や循環器内科と連携します。臨床試験への参加を希望する場合は、専門施設で情報を得ておくとよいでしょう。
レーベル遺伝性視神経症の日常生活の注意点と公的支援(医療費助成)
禁煙(受動喫煙の回避を含む)と節酒は、患者本人だけでなく、母系の血縁者で変異をもつ可能性がある人にも重要なセルフケアです。新たに薬を処方される際は、LHONであることを医師・薬剤師に伝えてください。視覚障害が残った場合、道路交通法上の視力基準を満たさなければ自動車の運転はできません。屋内では照明の工夫、段差の明示、物の定位置管理などで安全を確保しましょう。学業・就労では、拡大表示や音声読み上げ、試験時間の延長などの合理的配慮を学校や職場と相談できます。遺伝については、母親が変異をもつ場合、その子どもは全員が変異を受け継ぎます。しかし、全員が発症するわけではありません。一方、男性患者の子どもには遺伝しません。発症を予測する確実な方法はなく、発症前の保因者診断には心理的影響も大きいため、遺伝カウンセリングを受けたうえで検討することが勧められます。
利用できる制度・相談窓口
レーベル遺伝性視神経症は指定難病であり、診断基準と重症度基準を満たせば、都道府県・指定都市を通じて特定医療費(指定難病)の医療費助成を受けられます。重症度基準を満たさなくても、医療費が一定額を超える場合は「軽症高額該当」として対象となることがあります。視力・視野障害の程度に応じて身体障害者手帳(視覚障害)を取得でき、補装具(白杖・眼鏡など)、日常生活用具(拡大読書器・音声機器など)の給付、同行援護などの障害福祉サービス、税の控除、公共交通機関の割引などを利用できます。障害者総合支援法の対象疾病にも含まれます。若年発症が多いため、初診日の要件などを満たせば障害年金(障害基礎年金・障害厚生年金)の対象となりうることも知っておきましょう。相談窓口としては、各都道府県の難病相談支援センター、保健所、ロービジョン外来、視覚障害者情報提供施設、視覚特別支援学校、ハローワークの専門援助窓口などがあり、患者会でも情報交換ができます。
レーベル遺伝性視神経症に伴う心のケア・心理社会的支援
若い年代で急に視力を失う体験は、強い喪失感、将来への不安、抑うつ、適応障害を引き起こしやすいものです。進学・就職・結婚といった人生の節目と発症の時期が重なるため、キャリアの変更を迫られることもあります。この疾患には特有の心理社会的課題もあります。母親が「自分が遺伝させた」という罪悪感を抱くこと、まだ発症していない兄弟姉妹や母系のいとこが発症への不安を抱えること、保因者診断を受けるかどうかで家族内に葛藤が生じることなどです。外見からは障害が分かりにくく、周囲の理解を得にくい点も負担になります。気分の落ち込み、不眠、意欲の低下が続く場合は一人で抱え込まず、主治医、心療内科・精神科、公認心理師、遺伝カウンセラー、難病相談支援センター、ピアサポートなどに早めに相談してください。ロービジョンリハビリテーションによって「できること」が増えることも、心理的な回復を支える大切な要素です。
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レーベル遺伝性視神経症の受診の目安
- 片眼または両眼の見え方が数日〜数週間のうちに急に悪くなった場合は、早めに眼科(できれば神経眼科)を受診してください。
- 視野の中心が暗い・ぼやける、色が分かりにくくなったと感じた場合も受診が必要です。
- LHONと診断され片眼のみ発症している人で、もう一方の眼にも見えにくさが出た場合は、速やかに主治医に連絡してください。
- 母方の血縁者にLHON患者がいる人に視覚の変化が出た場合は、早めに専門医の診察を受けてください。
- 動悸、失神、意識が遠のく発作がある場合は、心伝導異常の可能性があるため、速やかに医療機関を受診し、状態によっては救急受診してください。
- 手足の脱力やしびれ、ふらつき、不随意運動などの神経症状が新たに現れた場合は、脳神経内科を受診してください。
レーベル遺伝性視神経症についてのよくある質問
Q. 完全に失明してしまうのでしょうか?
A. 多くの場合、中心視力は高度に低下しますが、周辺視野は比較的保たれ、光も感じない完全な失明に至ることはまれとされています。変異の種類や発症年齢によっては、年単位で部分的に回復する例もあります。
Q. 子どもに遺伝しますか?
A. ミトコンドリアDNAは母親からのみ受け継がれるため、男性患者の子どもには遺伝しません。母親が変異をもつ場合は子どもすべてに伝わりますが、発症するのは男性で約半数、女性で1割前後とされ、全員が発症するわけではありません。詳しくは遺伝カウンセリングで相談してください。
Q. ステロイドなど視神経炎の治療は効きますか?
A. LHONは炎症が主因ではないため、ステロイドパルス療法の有効性は示されていません。視神経炎との鑑別が重要で、診断がはっきりしない場合は神経眼科専門医の評価を受けることが勧められます。
Q. 発症を予防する方法はありますか?
A. 確実な予防法はありませんが、喫煙と多量飲酒は発症との関連が報告されているため、保因者の方には禁煙と節酒が強く勧められます。新しい薬を使う際も、主治医に保因者であることを伝えて相談してください。
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この記事について
最終更新: 2026-10-18。発行: 株式会社Medi Face。本ページは、MSDマニュアル プロフェッショナル版、難病情報センター、各学会の診断基準・診療ガイドラインなどの公的・専門的情報を参照して作成した一般的な医学情報であり、診断・治療の代替ではありません。個別の診療は主治医・専門医にご相談ください。参考: MSDマニュアル プロフェッショナル版、難病情報センター。記載内容に誤りや古い情報を見つけた場合はお問い合わせからお知らせください。