リンパ脈管筋腫症
Lymphangioleiomyomatosis
リンパ脈管筋腫症(Lymphangioleiomyomatosis)|リンパ脈管筋腫症(LAM)は、平滑筋に似た異常な細胞(LAM細胞)が肺やリンパ系でゆっくり増え、肺に多数の小さな嚢胞(のう胞)ができていく、まれな進行性の疾患です。主に妊娠可能年齢の女性に発症し、息切れ、繰り返す気胸、乳び胸水などを起こし、進行すると呼吸不全に至ることがあります。近年はmTOR阻害薬シロリムスが使えるようになり、診療は大きく変わりました。
リンパ脈管筋腫症の要点
リンパ脈管筋腫症(LAM)は、LAM細胞が肺やリンパ系で増え、肺に多数の嚢胞ができる、主に妊娠可能年齢の女性にみられるまれな進行性疾患です。息切れや繰り返す気胸、乳び胸水などを起こし、進行すると呼吸不全に至ることがあり、日本では指定難病に指定されています。
| 別名・略称 | LAM、リンパ管筋腫症 |
|---|---|
| 分野 | 呼吸器疾患 |
| 遺伝形式 | 孤発性LAMは遺伝しない。結節性硬化症に合併するTSC-LAMもある |
| 好発年齢 | 主に妊娠可能年齢の女性 |
| 主な症状 | 息切れ、気胸、乳び胸水 |
| 主な検査 | 胸部CT(肺の多発嚢胞の確認) |
| 主な治療 | mTOR阻害薬シロリムス |
| 受診する主な診療科 | 呼吸器内科 |
リンパ脈管筋腫症とは
リンパ脈管筋腫症(lymphangioleiomyomatosis:LAM)は、LAM細胞が肺、体軸のリンパ節(縦隔・後腹膜・骨盤内)、リンパ管に沿って増殖する疾患です。肺の嚢胞性破壊とリンパ系の異常(乳び胸水・乳び腹水、リンパ脈管筋腫)が特徴です。LAM細胞は、がん抑制遺伝子TSC1またはTSC2の機能喪失によりmTORC1経路が持続的に活性化した細胞です。病理学的には血管周囲類上皮細胞腫瘍(PEComa)の仲間に位置づけられます。悪性度は低いものの、離れた部位へ広がる性質(転移性)を持つ低悪性度の腫瘍性疾患と理解されています。肺だけでなく、リンパ系や腎臓など全身に病変が及びうるため、全身を評価しながら長期に管理していくことが大切です。
LAMは大きく2つの病型に分かれます。1つは遺伝性疾患である結節性硬化症(TSC)に合併するTSC-LAM、もう1つはTSCを伴わない孤発性LAM(sporadic LAM)です。孤発性LAMは遺伝せず、病変部の細胞でTSC2遺伝子に後天的な変異が生じているとされます。病態の理解はTSCとの関係の解明から大きく進みました。2011年に国際共同試験(MILES試験)でシロリムスによる呼吸機能低下の抑制が示されています。日本では2014年に世界に先駆けてシロリムスがLAMの治療薬として承認されました。米国胸部学会(ATS)と日本呼吸器学会(JRS)の合同診療ガイドラインも作成されています。日本では指定難病(告示番号89)に指定されています。
リンパ脈管筋腫症の疫学・患者数
LAMは非常にまれな疾患です。成人女性100万人あたり数人程度の頻度と推定されており、日本の患者数は数百人から千人程度と考えられています。患者はほぼ女性で、診断時の年齢は20〜40歳代の妊娠可能年齢が中心です。閉経後に診断される例もあります。男性の発症は、TSCを持つ人でごくまれに報告がある程度です。TSCの成人女性では、CTで肺嚢胞が見つかる頻度が高いことが知られています。年齢とともにその割合は上がり、成人女性TSC患者の3〜4割以上にLAM様の嚢胞がみられるとの報告があります。ただし無症状のことも少なくありません。孤発性LAMの患者数はTSC-LAMより多く、症状のある患者の多くは孤発性です。発症が女性に偏り、妊娠中や月経周期に悪化する例があることから、女性ホルモン(エストロゲン)の関与が強く示唆されています。
リンパ脈管筋腫症の原因・病態生理
LAMの根本原因は、TSC1(ハマルチン)またはTSC2(チュベリン)遺伝子の機能喪失です。両者は複合体を作り、細胞の増殖・代謝を調節するmTORC1経路にブレーキをかけています。2つある遺伝子のコピーが両方とも働かなくなる(two-hit)と、このブレーキが外れます。その結果mTORC1が持続的に活性化し、細胞の増殖、タンパク合成、血管・リンパ管新生が亢進します。TSC-LAMでは、生まれつき1コピーに変異(常染色体顕性(優性)遺伝、または新生突然変異)があります。そこへ病変部でもう1コピーの変異が加わります。孤発性LAMでは、2つのhitがいずれも体細胞で後天的に生じており、子どもへ遺伝することはありません。
LAM細胞は、平滑筋マーカー(α-SMA)とメラノサイト系マーカー(HMB45で検出されるgp100など)を同時に発現する特徴的な細胞です。多くはエストロゲン受容体やプロゲステロン受容体も持っています。腎血管筋脂肪腫の細胞とLAM細胞で同じTSC2変異が確認されることや、肺移植後に移植肺へLAMが再発した報告があります。これらから、LAM細胞は血流やリンパ流に乗って全身へ広がる(転移する)と考えられています。ただし子宮など骨盤内に起源があるとの仮説もあり、発生部位は確定していません。肺では、LAM細胞が嚢胞の壁や細気管支・血管・リンパ管の周囲に結節状に集まります。そこでマトリックスメタロプロテアーゼやカテプシンKなどのタンパク分解酵素を分泌し、肺胞の壁を壊して嚢胞をつくります。また、リンパ管新生因子であるVEGF-Dを産生し、リンパ管の増生や閉塞を引き起こします。これが乳び胸水・乳び腹水、リンパ脈管筋腫の原因になります。血清VEGF-Dの上昇は、診断の補助や病勢の目安に使われます。
リンパ脈管筋腫症の症状
- 労作時の息切れ: 最も多い症状で、階段や坂道で息が切れやすくなります。喘息やCOPDと誤認されて診断が遅れることがあります。
- 気胸(繰り返す自然気胸): 肺表面の嚢胞が破れて起こり、突然の胸痛と息苦しさで発症します。経過中に半数以上が経験するとされ、再発しやすいのが特徴です。
- 乳び胸水: リンパ管の障害により、脂肪を含む白濁したリンパ液(乳び)が胸腔にたまり、息切れの原因になります。
- 乳び腹水・乳び尿: 腹腔内や尿中にリンパ液が漏れる状態です。腹部膨満や白く濁った尿としてみられることがあります。
- 咳・痰・血痰: 慢性の咳を伴うことがあります。肺胞出血などで血痰や喀血がみられることもあります。
- 喘鳴: 気流閉塞によりゼーゼーという呼吸音がすることがあり、気管支喘息と誤診される一因です。
- 腎血管筋脂肪腫による症状: 多くは無症状ですが、大きくなると腹痛・腰背部痛を起こします。腫瘍内出血によって急な痛み、血尿、ショックを起こすこともあります。
- リンパ脈管筋腫(後腹膜・骨盤内腫瘤): リンパ管・リンパ節に沿った嚢胞状の腫瘤です。腹部膨満感や圧迫症状を起こします。夕方に大きくなる日内変動を示すことがあります。
- 下肢・下腹部のリンパ浮腫: 骨盤内のリンパ流が障害され、脚や外陰部のむくみが生じることがあります。
- 疲労感・運動耐容能の低下: 呼吸機能やガス交換能の低下により、疲れやすさや活動量の低下を自覚します。
- 低酸素血症による症状: 進行例では安静時や睡眠中にも酸素が不足し、チアノーゼや強い倦怠感を伴います。
リンパ脈管筋腫症の経過と合併症
LAMは一般にゆっくり進行し、数年から十数年かけて肺の嚢胞が増えます。その間に1秒量(FEV1)や肺拡散能(DLCO)が徐々に低下します。進行速度には個人差が大きいのが特徴です。無治療でもFEV1の年間低下量が小さい例がある一方、数年で呼吸不全に至る例もあります。若年発症例、診断時に呼吸機能が悪い例、気管支拡張薬への反応がある例は、進行が比較的速い傾向が報告されています。閉経後は進行が緩やかになる傾向があります。日本では、安静時の動脈血酸素分圧や運動時の酸素飽和度などをもとにした重症度分類が用いられます。進行すると在宅酸素療法が必要になり、最終的には肺移植が検討されます。
主な合併症は、繰り返す気胸、乳び胸水・乳び腹水、腎血管筋脂肪腫の出血です。腎血管筋脂肪腫は孤発性LAMの約3割、TSC-LAMではさらに高い頻度でみられます。径4cmを超えるものや、5mm以上の動脈瘤を伴うものは出血のリスクが高いとされます。進行例では低酸素血症に伴う肺高血圧症や、呼吸器感染症による急性増悪が問題になります。乳びの持続的な漏出により、栄養障害、低たんぱく血症、リンパ球減少による免疫低下を招くこともあります。妊娠中は気胸や乳び胸水の発症・悪化が多いとされています。TSC-LAMでは、てんかん、皮膚病変、脳病変、腎病変などTSCの他の症状への対応も必要です。
リンパ脈管筋腫症の診断・診断基準
若い女性に、原因のはっきりしない息切れ、繰り返す気胸、乳び胸水がみられた場合には、LAMを疑って胸部高分解能CT(HRCT)を行います。HRCTで両側の肺に境界明瞭な薄壁の嚢胞がびまん性に多発していれば、LAMが強く疑われます。ATS/JRSガイドラインでは、特徴的なCT所見に次のいずれか1つ以上があれば、臨床的にLAMと診断できるとされています。①結節性硬化症、②腎血管筋脂肪腫、③乳び胸水・乳び腹水、④リンパ脈管筋腫、⑤血清VEGF-Dの高値(800pg/mL以上)。これらがない場合は、経気管支肺生検(TBLB)や胸腔鏡下肺生検で病理学的に確定します。日本の指定難病の診断基準も、画像所見と病理所見(または臨床所見)を組み合わせて判定する考え方に沿っています。診断後は、呼吸機能、腹部画像、TSCの有無を評価して重症度と治療方針を決めます。
- 胸部高分解能CT(HRCT): 両肺にびまん性に分布する、壁の薄い円形嚢胞が特徴です。上下の肺野に均等に分布し、結節を伴わない点が、他の嚢胞性肺疾患との鑑別に役立ちます。
- 血清VEGF-D: 800pg/mL以上はLAMに特異度が高く、特徴的なCT所見と組み合わせれば生検を省略できる場合があります。正常値でもLAMは否定できません。
- 呼吸機能検査: 閉塞性換気障害(FEV1/FVCの低下)と肺拡散能(DLCO)の低下が典型的です。DLCOは早期から低下しやすく、経過観察や治療効果の判定に使われます。
- 病理組織検査(TBLB・胸腔鏡下肺生検): 嚢胞壁などに紡錘形〜類上皮様のLAM細胞が増殖していることを確認します。免疫染色でHMB45陽性、α-SMA陽性であることが確定診断の根拠になります。
- 腹部・骨盤CT/MRI: 腎血管筋脂肪腫、リンパ脈管筋腫、リンパ節腫大、乳び腹水の有無を評価します。TSCを示唆する所見も確認します。
- 胸水・腹水の性状検査: 中性脂肪高値などから乳びであることを確認します。胸水細胞診で、LAM細胞の集塊(LAM cell cluster)が検出されることがあります。
- 結節性硬化症の評価: 皮膚(顔面血管線維腫、白斑など)、脳MRI、腎、眼底などを確認し、TSCの臨床診断基準や遺伝学的検査でTSC-LAMかどうかを判断します。
- 動脈血ガス・6分間歩行試験: 安静時と運動時の酸素化を評価します。重症度判定や在宅酸素療法の適応判断に用いられます。
リンパ脈管筋腫症と鑑別すべき疾患
- 肺ランゲルハンス細胞組織球症: 喫煙者に多く、嚢胞が不整形で上中肺野優位に分布し、結節を伴う点がLAMと異なります。
- バート・ホッグ・デュベ(BHD)症候群: FLCN遺伝子変異による疾患で、嚢胞が下肺野の縦隔側・胸膜下に偏って分布します。家族歴、皮膚線維毛包腫、腎腫瘍を伴うことが鑑別点です。
- リンパ球性間質性肺炎(シェーグレン症候群など): 膠原病を背景に嚢胞とすりガラス影を伴うことがあり、自己抗体や乾燥症状が鑑別の手がかりになります。
- 肺気腫・α1-アンチトリプシン欠乏症: 肺気腫の気腔は明瞭な壁を持たないことが多く、喫煙歴やα1-アンチトリプシン値で鑑別します。
- 気管支喘息: 若年女性の息切れ・喘鳴として誤診されやすい疾患です。CTで嚢胞がないことと、DLCOが保たれることで区別します。
- 軽鎖沈着症・アミロイドーシス: 嚢胞に結節や石灰化を伴うことがあり、血清・尿の免疫グロブリン検査や組織検査で鑑別します。
リンパ脈管筋腫症の治療
LAMの治療は、①病気そのものの進行を抑える治療(mTOR阻害薬)、②気胸・乳び胸水・腎血管筋脂肪腫などの合併症への対処、③呼吸機能の低下に応じた支持療法(気管支拡張薬、呼吸リハビリテーション、酸素療法)、④末期呼吸不全に対する肺移植、の4つを柱に組み立てます。ATS/JRSガイドラインでは、呼吸機能が低下している例や進行が速い例、症状のある乳び貯留がある例などで、シロリムスを考慮することが示されています。軽症で安定している例では、慎重に経過をみることもあります。かつて行われたプロゲステロン療法や卵巣摘出などのホルモン療法は、有効性が確立していません。現在は一般に推奨されていません。治療の開始時期や方法は、病状、年齢、妊娠の希望、副作用のリスクを踏まえ、LAMの診療経験が豊富な呼吸器専門医とよく相談して決めることが大切です。
- シロリムス(mTOR阻害薬): 日本でLAMに承認されている薬で、FEV1低下の抑制、乳び胸水・腹水やリンパ脈管筋腫の縮小、VEGF-Dの低下が報告されています。中止すると再び進行しうるため、長期の継続が基本です。血中濃度を測りながら量を調整します。
- シロリムスの副作用管理: 口内炎、脂質異常症、下痢、むくみ、ざ瘡様皮疹、感染症、まれに薬剤性肺炎などに注意が必要です。手術前後は傷の治りが遅れることがあるため、休薬を検討します。
- 気胸の治療と再発予防: 程度に応じて安静観察、胸腔ドレナージ、手術を行います。再発率が高いため、初回から胸膜癒着術や胸腔鏡手術による再発予防を検討することが推奨されています。胸膜処置の既往があっても、肺移植は可能とされています。
- 乳び胸水・腹水への対応: 脂肪制限食や中鎖脂肪酸(MCT)を用いた食事療法、穿刺排液などを行います。シロリムスが有効なことが多く、難治例では胸膜癒着術などを検討します。
- 腎血管筋脂肪腫の治療: 大きいものや出血リスクの高いものには、予防的な経カテーテル動脈塞栓術や腎温存手術を考慮します。TSCに伴うものでは、mTOR阻害薬(エベロリムスなど)で縮小が期待できます。
- 気管支拡張薬・呼吸器ケア: 気流閉塞や可逆性を認める例では、吸入気管支拡張薬で症状が改善することがあります。インフルエンザや肺炎球菌などの予防接種も勧められます。
- 呼吸リハビリテーション: 運動療法、呼吸法、日常動作の工夫により、息切れの軽減と運動耐容能・QOLの維持を目指します。
- 在宅酸素療法: 安静時や労作時に低酸素血症がある場合に導入します。生活の質の維持と肺高血圧症の予防に役立ちます。
- 肺移植: 内科的治療を行っても呼吸不全が進行する場合の選択肢です。日本でもLAMは肺移植の主な対象疾患の一つです。登録までの待機期間を見込み、早めに移植施設へ相談することが重要です。
リンパ脈管筋腫症の予後・長期フォロー
LAMの予後は以前に考えられていたより良好で、診断後10年以上にわたり日常生活を送る人が多くなっています。報告によって差はありますが、診断から10年の時点で移植を受けずに生存している割合は、おおむね8〜9割程度とされています。シロリムスの登場により、呼吸機能の低下を抑え、乳び貯留などの合併症をコントロールできる例が増えました。長期予後のさらなる改善が期待されています。一方で進行の速さには個人差が大きく、一部の患者は呼吸不全に至り、肺移植が必要になります。移植後の成績は他の疾患と比べて同等以上とされますが、移植肺での再発報告もあり、移植後も専門的な管理が続きます。
長期フォローアップでは、呼吸機能検査(FEV1、DLCO)を定期的に行い、進行速度を評価します。あわせて、必要に応じて胸部CT、動脈血ガスや6分間歩行試験、血清VEGF-Dを確認します。腎血管筋脂肪腫やリンパ脈管筋腫については、腹部の超音波、CT、MRIで大きさの変化を追います。シロリムスを使う場合は、血中濃度、脂質、腎機能、尿蛋白を確認し、感染症や薬剤性肺障害の徴候にも注意します。TSC-LAMでは、脳・腎・皮膚・眼など全身のTSC管理を各専門科と連携して行います。妊娠や手術、移植評価など、人生の節目ごとに方針を見直すことが大切です。
リンパ脈管筋腫症の日常生活の注意点と公的支援(医療費助成)
禁煙(受動喫煙の回避を含む)は必須です。感染症の予防(手洗い、予防接種)と、体調に応じた適度な運動を心がけましょう。エストロゲンを含む薬剤(経口避妊薬や一部のホルモン補充療法など)は、病状を悪化させるおそれがあるため避けることが一般に勧められます。服用中の薬は主治医に確認してください。妊娠・出産は、気胸や乳び胸水、呼吸機能の悪化のリスクがあります。シロリムスは胎児への影響があるため妊娠中は使用できず、服用中と中止後一定期間は避妊が必要です。妊娠を希望する場合は、休薬の時期も含め、呼吸機能などをもとに主治医・産科医と事前に十分相談することが重要です。航空機での移動や登山では、気圧の変化で気胸のリスクや低酸素が問題になることがあります。気胸を起こした直後は飛行を避け、酸素療法中の人は航空会社の手続きも含めて主治医と相談しましょう。乳び貯留がある人は、脂肪を控えた食事やMCTの活用など栄養指導を受けると役立ちます。孤発性LAMは遺伝しません。TSC-LAMは常染色体顕性(優性)遺伝のTSCを背景とするため、子どもへの遺伝について心配があれば遺伝カウンセリングの利用をお勧めします。
利用できる制度・相談窓口
LAMは指定難病(告示番号89)です。診断基準を満たし、重症度分類で一定以上の場合、または軽症でも医療費が高額になる場合(軽症高額該当)には、医療費助成を受けられます。申請は住所地の保健所などで行い、難病指定医による臨床調査個人票が必要です。シロリムスや在宅酸素療法、肺移植関連の医療費も、対象となる範囲で助成を受けられます。呼吸機能の低下が一定の程度に達すれば、身体障害者手帳(呼吸器機能障害)の交付を受けられます。日常生活や就労に支障がある場合は、障害年金(初診日に加入していた制度により障害基礎年金・障害厚生年金)の対象となることもあります。高額療養費制度や、勤務先の傷病手当金も利用できます。相談窓口としては、各都道府県の難病相談支援センター、保健所の保健師、医療機関の医療ソーシャルワーカーがあります。患者会(J-LAMの会など)では、同じ病気の人との情報交換や交流ができます。
リンパ脈管筋腫症に伴う心のケア・心理社会的支援
LAMは若い女性に多く、就職、結婚、妊娠・出産、子育てといった人生の重要な時期に診断されることが多い病気です。そのため将来への不安、喪失感、抑うつ、適応障害が生じやすいといわれます。特に「妊娠を控えたほうがよいのか」「女性ホルモンが悪化に関係するなら女性としてどう生きればよいのか」といった、この病気ならではの葛藤を抱えやすい点が特徴です。いつ再発するかわからない気胸への不安や、酸素ボンベを使う姿を人に見られることへの抵抗もあります。見た目では分かりにくい息切れが周囲に理解されにくいこと、肺移植をめぐる意思決定も大きな心理的負担になります。眠れない、気分が沈む、何も楽しめないといった状態が続くときは、一人で抱え込まないことが大切です。主治医や看護師、医療ソーシャルワーカー、必要に応じて精神科・心療内科や公認心理師などに相談しましょう。患者会で同じ経験をもつ人と話すことも、孤立感を和らげる助けになります。
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リンパ脈管筋腫症の受診の目安
- 突然の胸の痛みや急な息苦しさが出たときは、気胸の可能性があるため、すぐに医療機関(夜間・休日は救急)を受診してください。
- 安静にしていても息苦しい、唇や指先が紫色になる、パルスオキシメーターの値がいつもより明らかに低いときは、救急受診が必要です。
- 急な腹痛・腰背部痛、血尿、冷や汗やふらつきがあるときは、腎血管筋脂肪腫からの出血の可能性があり、救急受診が必要です。
- 息切れや咳がだんだん強くなる、胸やお腹が張る、白く濁った尿が出るなどの変化があれば、早めに主治医を受診してください。
- シロリムス服用中に発熱、咳や息切れの悪化、ひどい口内炎や下痢が続くときは、感染症や薬剤性肺炎の可能性があるため、早めに連絡・受診してください。
- 若い女性で気胸を繰り返す場合や、喘息と言われたのに治療で改善しない息切れがある場合は、呼吸器専門医で胸部CTを含む精査を受けることをお勧めします。
リンパ脈管筋腫症についてのよくある質問
Q. LAMは遺伝しますか?
A. 大部分を占める孤発性LAMは、病変部の細胞に後天的に生じた遺伝子変異によるもので、子どもに遺伝することはありません。一方、結節性硬化症に伴うLAMでは、背景にあるTSCが常染色体顕性(優性)遺伝のため、子どもに遺伝する可能性があります。心配な場合は遺伝カウンセリングで詳しく相談できます。
Q. シロリムスは一生飲み続ける必要がありますか?
A. シロリムスは病気を治すのではなく進行を抑える薬です。中止すると呼吸機能の低下が再び進む可能性があるため、効果と副作用を見ながら長期に続けることが一般的です。妊娠を希望するときや手術の前後など、休薬が必要な場面もあるため、自己判断で中止せず主治医と相談してください。
Q. 妊娠・出産はできますか?
A. LAMの患者さんが出産した例はありますが、妊娠中は気胸や乳び胸水が起こりやすく、呼吸機能が悪化することがあります。また、シロリムスは妊娠中には使えません。呼吸機能などの状態によってリスクが大きく異なるため、妊娠を考えた時点で主治医や産科医と十分に話し合うことが大切です。
Q. 飛行機に乗っても大丈夫ですか?
A. 病状が安定していれば、多くの患者さんが飛行機を利用しています。ただし、気胸の直後や治療中は避ける必要があります。低酸素になりやすい人は機内での酸素使用が必要になることもあるため、旅行前に主治医に相談してください。
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この記事について
最終更新: 2026-10-18。発行: 株式会社Medi Face。本ページは、MSDマニュアル プロフェッショナル版、難病情報センター、各学会の診断基準・診療ガイドラインなどの公的・専門的情報を参照して作成した一般的な医学情報であり、診断・治療の代替ではありません。個別の診療は主治医・専門医にご相談ください。参考: MSDマニュアル プロフェッショナル版、難病情報センター。記載内容に誤りや古い情報を見つけた場合はお問い合わせからお知らせください。