好酸球性消化管疾患
Eosinophilic Gastrointestinal Disorders
好酸球性消化管疾患(Eosinophilic Gastrointestinal Disorders)|好酸球性消化管疾患は、白血球の一種である好酸球が食道・胃・小腸・大腸の壁に過剰に集まり、慢性の炎症と機能障害を起こすアレルギー性の病気です。乳幼児から高齢者まで発症します。飲み込みにくさ、食べ物のつかえ、腹痛、下痢、嘔吐、腹水などの症状があり、日常生活や食生活に長く影響します。治療を続けながら症状と上手に付き合っていくことが大切です。
好酸球性消化管疾患の要点
好酸球性消化管疾患は、好酸球が食道・胃・小腸・大腸の壁に過剰に集まり、慢性の炎症を起こすアレルギー性の病気の総称です。飲み込みにくさ、腹痛、下痢、嘔吐、腹水などがみられ、国の指定難病(告示番号98)に指定されています。
| 別名・略称 | EGIDs、EGID、好酸球性胃腸炎、好酸球性食道炎、EoE、EGE、好酸球性胃腸症 |
|---|---|
| 分野 | 消化器・肝胆膵疾患 |
| 病型 | 食道に限局する好酸球性食道炎と、胃・小腸・大腸に及ぶ好酸球性胃腸炎に大別 |
| 好発年齢 | 乳幼児から高齢者まで幅広く発症 |
| 主な症状 | 嚥下困難、食べ物のつかえ、腹痛、下痢、嘔吐、腹水など |
| 主な検査 | 内視鏡検査と生検による好酸球浸潤の確認、寄生虫・薬剤など他の原因の除外 |
| 病態 | 食物抗原などに対する2型(Th2型)免疫反応が関与すると考えられている |
| 受診する主な診療科 | 消化器内科、小児科、アレルギー科 |
好酸球性消化管疾患とは
好酸球性消化管疾患(EGIDs)は、消化管粘膜や壁に好酸球が異常に浸潤し、組織障害と症状を起こす慢性炎症性疾患の総称です。寄生虫感染、薬剤、他の全身疾患など明らかな原因による好酸球浸潤を除外したうえで診断されます。病態の中心は食物抗原などに対する2型(Th2型)免疫反応と考えられ、IgEが関与する即時型アレルギーとは機序が異なる部分が多いとされます。そのため血液のアレルギー検査で原因食物を特定しにくいのが特徴です。
病変部位により、食道に限局する好酸球性食道炎(EoE)と、胃・小腸・大腸に及ぶ好酸球性胃腸炎(EGE)に大別されます。近年は病変部位ごとに好酸球性胃炎、好酸球性腸炎、好酸球性大腸炎などと細分する国際的な命名も提唱されています。好酸球性胃腸炎は、浸潤の深さにより粘膜型(下痢・吸収不良・蛋白漏出)、筋層型(壁肥厚による狭窄・通過障害)、漿膜型(好酸球性腹水)に分けるKlein分類が古くから用いられます。好酸球性食道炎は1990年代に独立疾患として認識され、欧米では嚥下障害の主要原因の一つとなりました。日本でも2000年代以降に報告が急増し、2015年に「好酸球性消化管疾患」として指定難病(告示番号98)に指定されました。乳児の新生児・乳児食物蛋白誘発胃腸症は近縁の病態として扱われますが、指定難病の対象範囲は年度により見直されることがあるため、最新情報は難病情報センターで確認してください。
好酸球性消化管疾患の疫学・患者数
欧米では好酸球性食道炎の有病率が人口10万人あたり数十人規模と報告され、増加傾向にあります。日本の有病率は欧米より低いとされますが、内視鏡検診の普及と疾患認知の広がりで診断数は増えています。日本の好酸球性食道炎は30〜50歳代の男性に多く、検診の上部内視鏡で無症状のうちに見つかる例が少なくありません。好酸球性胃腸炎は小児から高齢者まで幅広い年齢に発症し、明確な性差はないか、報告により異なります。日本は欧米に比べて好酸球性胃腸炎の比率が相対的に高いとする指摘もあります。いずれの病型でも、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーなどのアレルギー疾患を約半数前後が合併するとされます。指定難病の受給者は年間数千人規模と推定されますが、軽症で助成対象外の患者や未診断例を含めると、実際の患者数はより多いと考えられます。
好酸球性消化管疾患の原因・病態生理
単一遺伝子による遺伝病ではなく、複数の遺伝的素因と環境因子が関わる多因子疾患です。家族内での集積が知られ、好酸球性食道炎では上皮由来サイトカインTSLPの遺伝子領域や、食道上皮に発現するプロテアーゼCAPN14の遺伝子領域などが疾患感受性に関わると報告されています。環境因子としては、食物抗原(乳、小麦、卵、大豆、魚介類など)、吸入抗原(花粉など)、出生前後の環境や抗菌薬曝露、生活環境の衛生化(衛生仮説)などが議論されていますが、決定的な原因は特定されていません。
発症の流れは次のように考えられています。まず食物などの抗原と上皮バリアの脆弱性をきっかけに、上皮細胞がTSLPやIL-33などのアラーミンを放出します。これにより2型ヘルパーT細胞や2型自然リンパ球が活性化され、IL-4・IL-5・IL-13が産生されます。IL-13は食道上皮に強力な好酸球遊走因子エオタキシン-3(CCL26)を誘導し、同時にデスモグレイン1などの接着分子を低下させてバリア障害を増悪させます。IL-5は骨髄での好酸球の産生と生存を促します。組織に集まった好酸球は、主要塩基性蛋白(MBP)や好酸球ペルオキシダーゼなどの顆粒蛋白、サイトカインを放出して上皮を傷害し、肥満細胞とともに蠕動異常や知覚過敏を起こします。炎症が長く続くとTGF-βを介した線維化やリモデリングが進み、食道では狭窄、腸管では壁肥厚による通過障害が生じます。漿膜まで炎症が及ぶと、好酸球を多く含む腹水が貯留します。
好酸球性消化管疾患の症状
- 嚥下障害(飲み込みにくさ): 好酸球性食道炎で最も多い症状で、固形物が胸につかえる感覚が典型的です。よく噛む、水で流し込むなどの無意識の代償行動のために、自覚が遅れることがあります。
- 食物の嵌頓(つかえ): 肉やパンなどが食道に詰まって取れなくなる状態で、内視鏡による除去が必要になることがあります。若年〜中年男性の食物嵌頓では本疾患を強く疑います。
- 胸やけ・胸痛: 逆流性食道炎に似た症状で、酸分泌抑制薬だけでは十分に改善しない場合に本疾患が疑われます。
- 腹痛: 好酸球性胃腸炎で最も多い症状で、上腹部から腹部全体に及ぶ持続性または反復性の痛みです。
- 下痢: 粘膜型の好酸球性胃腸炎に多く、吸収不良や蛋白漏出を伴うことがあります。
- 悪心・嘔吐: 胃や十二指腸の病変、あるいは筋層型による幽門・腸管の狭窄で起こります。乳幼児では哺乳不良や反復性嘔吐として現れます。
- 腹部膨満・腸閉塞症状: 筋層型では腸管壁の肥厚により通過障害が起こり、腸閉塞として外科的治療が検討される例もあります。
- 腹水: 漿膜型の特徴で、腹部の張りや体重増加として現れます。腹水中には多数の好酸球を認めます。
- 体重減少・成長障害: 食事量の低下や吸収不良による症状で、小児では身長・体重の伸び悩みとして気づかれることがあります。
- 貧血・低蛋白血症・浮腫: 粘膜からの出血や蛋白漏出によって鉄欠乏性貧血や低アルブミン血症が生じ、むくみの原因になります。
- 小児の摂食行動の異常: 食べるのが遅い、固形物を嫌がる、偏食などの形で現れ、単なる好き嫌いと区別しにくいことがあります。
- 合併するアレルギー症状: 喘息、鼻炎、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーの症状を伴うことが多く、診断の手がかりになります。
好酸球性消化管疾患の経過と合併症
好酸球性食道炎は自然に治ることが少ない慢性・再燃性の疾患です。未治療の期間が長いほど、炎症型(浮腫・白斑・縦走溝)から線維狭窄型(輪状溝・狭窄・細径食道)へ移行しやすいことが知られています。治療を中止すると多くの例で再燃するため、維持療法が検討されます。一方、日本の検診で偶然見つかる無症状例には、長期間進行しない例もあると報告されています。好酸球性胃腸炎の経過は、1回の発作で寛解しその後再発しない単相型、寛解と再燃を繰り返す再発型、ステロイドを減らすと悪化する慢性持続型に分かれます。ステロイド依存・抵抗性の例では長期管理が課題になります。
合併症として、好酸球性食道炎では食道狭窄、食物嵌頓、まれに特発性食道破裂が問題になり、拡張術や内視鏡処置が必要な例があります。好酸球性胃腸炎では、腸閉塞、幽門狭窄、蛋白漏出性胃腸症による低栄養、消化管出血、腸重積、まれに穿孔が報告されています。また、ステロイドの長期使用に伴う骨粗鬆症、糖尿病、感染症、白内障、小児の成長抑制など、治療関連の合併症にも注意が必要です。
好酸球性消化管疾患の診断・診断基準
診断の基本は、①症状、②内視鏡と生検による組織学的な好酸球浸潤の確認、③好酸球増多を起こす他の疾患の除外、の3点です。好酸球性食道炎では、食道生検で上皮内に高倍率1視野あたり15個以上の好酸球を認めることが国際的にも日本の基準でも中核所見です。病変は斑状に分布するため、食道の上部と下部を含めて複数箇所(合計6か所程度が推奨されることが多い)から生検します。好酸球性胃腸炎では、胃・小腸・大腸の生検で高倍率1視野あたり20個以上の好酸球浸潤(生検は複数箇所)、または腹水中の多数の好酸球が診断の柱です。筋層型では粘膜生検で病変を捉えにくく、画像所見や全層生検が参考になります。末梢血好酸球増多は診断の参考になりますが、全例で見られるわけではありません。寄生虫症、薬剤性、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症、好酸球増多症候群、炎症性腸疾患などを慎重に除外します。
- 上部消化管内視鏡(好酸球性食道炎): 縦走溝、白斑(白色滲出物)、輪状溝、浮腫による血管透見の低下、狭窄が特徴で、EREFSスコアで重症度を評価します。所見が乏しい例もあるため、疑わしい場合は生検が重要です。
- 食道生検: 上皮内好酸球が15個以上/高倍率視野であることが診断の要件です。好酸球の微小膿瘍、基底細胞層の過形成、細胞間隙の拡大、粘膜固有層の線維化などの所見を伴います。
- 上部・下部内視鏡と胃腸生検(好酸球性胃腸炎): 発赤、びらん、浮腫、ひだ肥厚などは非特異的で、正常に見える粘膜からも複数箇所生検します。部位ごとの正常の好酸球数の違いを考慮して病理学的に評価します。
- 末梢血検査: 好酸球増多、総IgE高値、貧血、低アルブミン血症、炎症反応を評価します。好酸球数は病勢評価の目安になりますが、正常値の例も少なくありません。
- CT・腹部超音波: 腸管壁の肥厚、腹水、リンパ節腫大を評価します。筋層型・漿膜型の診断や腸閉塞の評価に有用です。
- 腹水穿刺: 漿膜型が疑われる場合に行い、好酸球の多い滲出性腹水であれば強く示唆されます。悪性腫瘍や感染症の除外にも役立ちます。
- 寄生虫検査・感染症評価: 糞線虫、アニサキス、回虫などの寄生虫は好酸球増多の重要な原因です。便検査、血清抗体、渡航歴や食歴(生魚など)を確認します。
- 血液疾患・全身疾患のスクリーニング: 著しい好酸球増多や臓器障害がある場合は、好酸球増多症候群や骨髄性腫瘍(FIP1L1-PDGFRA融合遺伝子など)、血管炎を念頭に、骨髄検査やANCA測定などを考慮します。
- アレルギー検査・食物負荷: 特異的IgE抗体や皮膚プリックテストでは原因食物との一致率が低いとされます。原因の特定には、除去食と再導入による症状・内視鏡所見・組織所見の変化を確認する方法が基本です。
好酸球性消化管疾患と鑑別すべき疾患
- 胃食道逆流症(GERD): 食道下部に軽度の好酸球浸潤を起こしうるため、内視鏡像、生検部位(上部食道の浸潤の有無)、治療反応性を総合して鑑別します。
- 寄生虫感染症(糞線虫症・アニサキス症など): ステロイド投与前に必ず除外すべき疾患で、特に糞線虫ではステロイドにより重症化する危険があります。
- 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA): 喘息と好酸球増多に加えて、神経障害、皮疹、腎障害などの多臓器病変やANCA陽性を伴う場合に疑います。
- 好酸球増多症候群・骨髄性腫瘍: 著明な持続性好酸球増多と、心臓・肺・皮膚など消化管以外の臓器障害を伴う場合に、遺伝子検査を含めて評価します。
- 炎症性腸疾患(クローン病・潰瘍性大腸炎): 腸管にも好酸球が増えることがあり、潰瘍の形態、肉芽腫、陰窩の構造異常などの病理所見で区別します。
- 薬剤性好酸球浸潤・アカラシアなど: 原因薬剤の服用歴や食道内圧検査の所見から、薬剤性障害や食道運動障害を鑑別します。
好酸球性消化管疾患の治療
治療の目標は、症状の改善だけでなく、組織学的寛解(好酸球浸潤の消失)と線維化・狭窄の予防、そして栄養状態と生活の質の維持です。好酸球性食道炎では、プロトンポンプ阻害薬(PPI)やカリウムイオン競合型アシッドブロッカー、局所ステロイドの嚥下療法、食物除去療法が主な選択肢で、狭窄には内視鏡的拡張術を併用します。好酸球性胃腸炎では、全身ステロイドによる寛解導入が中心です。ステロイド依存例では、局所作用型ステロイド、免疫調節薬、栄養療法などを組み合わせます。病変部位、重症度、年齢、合併するアレルギー、患者の希望を踏まえて方針を決めますが、国内では保険適用外の使い方を含む治療もあります。個々の治療の選択は主治医や専門医とよく相談してください。
- 酸分泌抑制薬(PPI・P-CAB): 好酸球性食道炎の第一選択として広く用いられ、相当数の患者で症状と組織所見が改善します。酸の抑制に加えて、エオタキシン-3の発現抑制作用も報告されています。
- 局所ステロイドの嚥下療法: 吸入用ステロイドを吸入せずに口に含んで飲み込み、食道粘膜に直接作用させる方法で、全身性の副作用が少ないのが利点です。国内では適応外使用となる場合があり、口腔・食道カンジダ症に注意します。
- 全身ステロイド(プレドニゾロン): 好酸球性胃腸炎の寛解導入で中心となる治療で、多くの例で速やかに効果が得られます。漸減中や中止後の再燃が課題で、骨粗鬆症などの副作用対策を並行して行います。
- 食物除去療法: 乳・小麦・卵・大豆・魚介類・ナッツ類を除く6種除去や、より少ない品目から始める段階的除去などがあります。再導入で原因食物を特定し、栄養士の支援のもとで行います。
- 成分栄養療法: 抗原性の低いアミノ酸ベースの成分栄養剤で栄養を補給する方法で、高い寛解率が報告されています。小児や重症例、ステロイド依存例で用いられますが、味や長期継続性が課題です。
- 抗アレルギー薬・免疫調節薬: ロイコトリエン受容体拮抗薬などの抗アレルギー薬の有効例が報告されています。ステロイド依存例では、チオプリン製剤などの免疫調節薬が検討されることがありますが、エビデンスは限られています。
- 生物学的製剤: IL-4/IL-13経路やIL-5経路を標的とする抗体製剤が、海外では好酸球性食道炎に承認され、好酸球性胃腸炎でも臨床試験が進められています。国内の適応や承認状況は変わりうるため、最新情報を専門医に確認してください。
- 内視鏡的拡張術・内視鏡処置: 食道狭窄に対してバルーンなどで拡張し、嚥下症状を改善しますが、炎症そのものは抑えないため薬物療法と併用します。食物嵌頓には緊急内視鏡で除去を行います。
- 外科的治療: 筋層型による高度の腸閉塞や穿孔などで内科治療が難しい場合に限って検討されます。術後も再燃がありうるため、内科的管理を続けます。
好酸球性消化管疾患の予後・長期フォロー
本疾患が直接命に関わることはまれで、生命予後はおおむね良好と考えられています。消化管のがんのリスクが明らかに高まるという確立した証拠も現時点ではありません。一方で慢性・再燃性の経過をたどる例が多く、嚥下障害、食事制限、反復する腹痛や下痢、ステロイドの副作用が長期の生活の質に影響します。好酸球性食道炎では、継続治療で狭窄への進行を抑えられることが期待されます。好酸球性胃腸炎では、単相型で治療後に再発しない例がある一方、ステロイド依存で長期管理を要する例も一定数あります。
長期のフォローアップでは、症状だけで病勢を判断せず、必要に応じて内視鏡と生検で組織学的な活動性を確認します。症状と組織所見が一致しないことがあるためです。血液の好酸球数、アルブミン、ヘモグロビン、体重・成長曲線を定期的に確認し、ステロイド使用中は骨密度、血糖、眼科的評価などの副作用モニタリングを行います。小児は成人期へ移る際に、小児科から成人診療科への移行(トランジション)を計画的に進めることが大切です。
好酸球性消化管疾患の日常生活の注意点と公的支援(医療費助成)
食事では、よく噛む、一口を小さくする、水分と一緒にゆっくり食べるなどの工夫が食物嵌頓の予防に役立ちます。食物除去療法を行う場合は、自己判断で過度な制限をすると栄養不足、特に小児の成長障害につながります。管理栄養士の指導のもとで代替食品を取り入れましょう。加工食品の原材料表示の確認、外食時の対応、学校給食での除去食対応(学校生活管理指導表の活用など)も重要です。ステロイドを使っている間は自己判断で中止せず、感染予防や骨の健康(適度な運動、カルシウム・ビタミンDの摂取)に気を配ります。喘息や鼻炎などのアレルギー疾患の管理も、消化管症状の安定に役立つ可能性があります。家族内で発症することはありますが、単一遺伝子病ではないため、きょうだいや子どもに必ず発症するわけではありません。不安がある場合は主治医に相談し、必要に応じて遺伝カウンセリングを利用できます。
利用できる制度・相談窓口
好酸球性消化管疾患は指定難病(告示番号98)です。診断基準を満たし、重症度分類で一定以上と判定された場合、または軽症でも高額な医療費が継続する場合(軽症高額該当)に、特定医療費(指定難病)の助成を受けられます。申請には難病指定医による臨床調査個人票が必要で、窓口は住所地の都道府県・指定都市の担当課や保健所です。18歳未満(継続の場合は20歳未満)では、小児慢性特定疾病医療費助成制度の対象となりうるため、主治医や自治体に確認してください。医療費が高額になる場合は、健康保険の高額療養費制度も利用できます。療養や就労、学校生活の相談は、各都道府県の難病相談支援センター、保健所の保健師、医療機関の医療ソーシャルワーカーが窓口になります。患者会や難病情報センターのウェブサイトも、情報収集や交流に役立ちます。
好酸球性消化管疾患に伴う心のケア・心理社会的支援
慢性疾患とともに生活するなかで、再燃への不安、先の見えない治療、通院や検査の負担から、抑うつや不安、適応障害が生じることがあります。本疾患に特有の課題として、食べることへの恐怖(つかえや腹痛を恐れて食事量が減る)、除去食による食の楽しみや会食・外食の制限、学校や職場での理解の得にくさ、家族、特に食事を準備する保護者の負担が挙げられます。小児では偏食や摂食困難が育て方の問題と誤解され、親子ともに自責感を抱えることもあります。こうした気持ちは決して特別なものではありません。主治医や看護師、栄養士、心理職、医療ソーシャルワーカーなどに早めに相談することが大切で、必要に応じて心療内科・精神科での支援も受けられます。
Medi Faceでは、慢性疾患に伴うこころの不調についてのオンライン相談も行っています。お問い合わせはこちら。
好酸球性消化管疾患の受診の目安
- 食べ物が胸につかえて取れない、唾液も飲み込めない状態が続く場合は、すぐに救急受診してください。
- 嘔吐の後などに激しい胸痛、背部痛、呼吸苦が出た場合は、食道破裂の可能性があるため救急受診が必要です。
- 強い腹痛と腹部の張り、嘔吐が続き、排便やガスが止まった場合は、腸閉塞の可能性があり速やかな受診が必要です。
- 吐血、黒色便、血便、急なふらつきなど出血を疑う症状があれば、早めに受診してください。
- 飲み込みにくさ、繰り返す腹痛・下痢、体重減少、むくみなどが数週間以上続く場合は、消化器内科(小児は小児科)を受診しましょう。
- 治療中に発熱や感染症状が出た場合や、ステロイドを飲み忘れて体調が悪い場合は、主治医に連絡してください。
好酸球性消化管疾患についてのよくある質問
Q. 食物アレルギーの血液検査で陰性でしたが、それでも食べ物が原因になりうるのですか?
A. はい。本疾患はIgEを介さない遅延型の免疫反応が主体と考えられており、血液検査や皮膚テストで原因食物を特定しにくいことが知られています。原因の確認には、除去食と再導入で症状や組織所見がどう変わるかをみる方法が基本となるため、主治医や栄養士と相談しながら進めてください。
Q. 検診の胃カメラで好酸球性食道炎と言われましたが、症状がありません。治療は必要ですか?
A. 日本では無症状で見つかる例が多く、長期間変化しない例もあると報告されています。一方で、狭窄に進む可能性も否定できないため、経過観察とするか治療を始めるかは、内視鏡所見や生活背景を踏まえて主治医と相談しましょう。
Q. ステロイドはずっと飲み続けなければなりませんか?
A. 好酸球性胃腸炎では寛解後に減量・中止できる例もありますが、再燃して再開が必要になる例もあります。依存例では副作用を減らすため、他の治療との組み合わせが検討されます。自己判断で急に中止すると症状の悪化や副腎機能の問題を起こすおそれがあるため、必ず主治医の指示に従ってください。
Q. 子どもに遺伝しますか?
A. 家族内で発症しやすい傾向はありますが、単一の遺伝子で決まる病気ではなく、遺伝的素因と環境因子が組み合わさって発症すると考えられています。親が患者でも子どもが必ず発症するわけではありません。気になる症状があれば早めに相談してください。
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この記事について
最終更新: 2026-10-18。発行: 株式会社Medi Face。本ページは、MSDマニュアル プロフェッショナル版、難病情報センター、各学会の診断基準・診療ガイドラインなどの公的・専門的情報を参照して作成した一般的な医学情報であり、診断・治療の代替ではありません。個別の診療は主治医・専門医にご相談ください。参考: MSDマニュアル プロフェッショナル版、難病情報センター。記載内容に誤りや古い情報を見つけた場合はお問い合わせからお知らせください。